こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

天使の羽で羽ばたく「美少女戦士セーラームーン セーラースターズ 」

美少女戦士セーラームーン セーラースターズ 」は、1996年3月~1997年2月まで放送された全34話のテレビアニメ。

 

 月野うさぎのミラクルロマンス最終章となるシリーズ5作目。この作品をもってして、通算201話放送したシリーズが幕を下ろすことになる。

美少女戦士セーラームーン セーラースターズ Blu-ray COLLECTION VOL.2<完>

 

 

 最初の7話は復活した前作ボスのネヘレニアを討伐するエピソードが、残りの回は次なる侵略者セーラーギャラクシアとの戦いが展開する。

 

 ネヘレニア討伐のため、前作「SuperS」ではお休みだった外部太陽系戦士の4人が再招集される。既存の5人とちびうさを合わせて全10戦士で事にあたる展開が見所となった。

 

 セーラームーンは背中に羽を生やした最強モードのエターナルムーンモードへと転身を果たす。

  

 シリーズ三作目「S」のラストで、土萠ほたるは転生して赤ちゃんから人生をリブートしいていたが、ネヘレニア討伐のため、能力が復活して元のサイズに戻って戦うことになる。ちびうさとほたるも本作のベストカップルの一組として推したいので、二人の絡みがまた見られたのは良かった。

 

 無事ネヘレニアを倒した後にちびうさは未来に帰る。

 ネヘレニアの復活というイレギュラーはギャラクシアの仕込みだったということが後で分かる。次にはそのギャラクシアの恐ろしい作戦が展開する。

 

 

 セーラースターズ編ではいろいろ新しい試みが見られた。見所は様々。

 

うさぎ達がちょっと大人な高校生になる

 これまで中3だったうさぎ達が今回シリーズからは高校に進学する。

「S」のはじめの段階で受験勉強の話が出て、その後も合間合間で受験勉強するシーンが挟まれた。「SuperS」ではそこまでお勉強をしているイメージもなかったので、受験はどうなったの?と思っていた。学力が危ういうさぎちゃん、美奈子ちゃんもちゃんと進学出来て良かった。

 

 うさぎ、亜美、まことは中学から一緒で、美奈子とレイは別の中学に通っていた。ここで美奈子が合流し、4人が同じ学校になる。ここでやっとまこちゃんも皆と同じ制服を着れるようになったことが嬉しい。うさぎちゃん達と同じ学校でも中二で転校して来て以降、卒業までずっと一つ前の学校の制服で着ていたから仲間外れ感が否めなかった。ここへ来てちゃんと皆と一緒だと分かる。

 レイちゃんのみはエレベーター式のお嬢様学校にいたので、受験無しでそのままよその学校に通っている。

 

 高校生になり、一つ大人になったということで、うさぎちゃんとまもちゃんの関係も一歩前進したっぽい。まもちゃんがうさぎちゃんに指輪をプレゼントしてもっとラブラブになっていた。

 

 しかし今回シリーズの新しい仕掛けは、まずまもちゃんを前線から離脱させることにあった。大学生のまもちゃんに海の向こうの学校から留学のお誘いがかかり、まもちゃんは日本を離れることになる。まさかの遠距離恋愛ステージに突入。

 

 二人は愛を誓い合って別れ、うさぎちゃんはお手紙を送ると約束する。そして飛行機で飛びった後、まもちゃんはギャラクシアの襲撃に合って消されてしまう。

 

 手紙を送っても一通も返って来ない。まもちゃんと音信不通になって不安になる中、うさぎちゃんの運命は目まぐるしく変わって行くことになる。

 

 

追加戦士「セーラースターライツ」登場

 本作からの一番目新しい要素が追加戦士のセーラースターライツの存在である。三人組の戦士で、普段は男子学生としてうさぎ達と同じ学校に通っている。そして三人組のアイドルグループとしても活躍していて超売れっ子でもある。

 

 ちょっと戸惑った要素が、男なのに変身したら女になるということ。男前に見える女子の天王はるかが変身するセーラーウラヌスとは違い、こちらは女体化しているらしい。変身前にはなかった胸や尻が変身後にはいい感じに出来ていることにまずままずの衝撃をもらった。変身後には言葉使いも女性のものに変わる。

 

 スターライツがアイドルなって世界中に歌を届ける理由は、彼女たちのプリンセスである火球皇女に気づいてもらうため。銀河でたった一人のプリンセスのためだけに歌い続けるという切実な思いに心打たれた。

 

 敵か味方か、スターライツは最初は謎の立場だった。外部太陽系戦士とは酷く対立することもあった。そこにセーラームーンはどこまでも歩み寄って和解を図ろうとする。敵対する中で心が惹かれ合い、やがて戦士達の心がひとつになる展開も良かった。

 

 

三角関係が楽しい

 スターライツメンバーの星野(せいや)、夜天、大気も揃ってうさぎ達と同じ高校に通うことになる。ここでうさぎと星野が接触して新たな展開が生まれる。

 

 セーラースターズ編で一番の見所は、うさぎと衛の関係に星野が割り込むことで発生する三角関係にある。

 

 終始うさぎは、衛から音沙汰が来ないことに不安を感じる。このシリーズでは、後半も後半に迫ったところまで行かないとまもちゃんは再登場しない。

 まもちゃんの魂のみは介入するが、肝心な恋模様はうさぎと星野の間でのみ展開する。

 星野からうさぎに興味を持ち始め、うさぎもさすがにドキドキしてしまう。

 

 後半回の戦闘シーンで、ピンチになったセーラームーンの前にバラが投げ込まれることがあった。スターファイターが投げたそれを見てセーラームーンには一瞬ファイターがタキシード仮面に見える。

 それまではまもちゃんから手紙の返事がなくても皆の前では明るく振る舞って不安を表に出さなかったうさぎが、このシーンを迎えてからは意地を張り通せずに悲しみをあらわにする。

 うさぎの心が一番弱ったところで、ここぞとばかりと星野が「おれじゃダメか?」と言い迫るところにはさすがにドキッとした。これにはよっぽど強固な操立てをしないとやられてしまうだろう。星野が格好よい。

 

 どこまで行ってもうさぎちゃんの永遠の王子様はまもちゃんなので、星野君の思いは届かない。しかし、個人的には星野くんを勝たせたい思いが強く残るのも確かなこと。

 

 今は亡き新山志保が、男子と女子の二面性を持つ星野の声を見事演じたわけたことは高く評価出来る。良い女優だった。

 

 この春から始まった新作デジモンでは可愛いアグモンを演じている坂本千夏が、ボソッと低い声で喋る夜天を演じているのが印象的。アグモンの後にこの演技を見たら芝居の振り幅がスゴイとも思う。

 

 

敵もセーラー戦士

 セーラーギャラクシアをボスとした軍団メンバーはいずれもセーラー戦士である。追加で登場するスターライツも含め、今回はどこを見てもセーラー戦士だらけ。今回だけの特徴的な仕掛けがこれだった。

 

 敵の狙いは人類が持つスターシードを収集すること。スターシードを取られた者はセーラー怪人に変身し、セーラームーン達を襲ってくる。これまでのシリーズでは向こうで用意した怪人を派遣して来ていたが、今回はそこらの日本人を怪人にするというちょっと怖いやり口だった。

 基本的に怪人化したら殺すしかないとされていたが、エターナルムーンの力があれば浄化出来る。そんなわけで今回シリーズではセーラームーンが最強化しすぎて、他のメンバーとのパワー差がかなり開いた感じがする。

 

 ギャラクシアの下に幹部のセーラー戦士が4人いる。これらはなかなかコミカルな憎めないキャラだったのだが、ボスのギャラクシアはとことんまでに悪く、ミスした者は情け容赦なく処刑する。今までで一番怖いボスだったかもしれない。そんな感じで、今回シリーズではテンションの明暗がはっきり分かれるのも印象的だった。

 

 ここでちょっと思うのが、セーラー戦士とは名乗るけど、もはやセーラー服の原型が無くなってるヤツが多くないかということ。スターライツだって従来のセーラー服にしては布が足りていないし、こんなに露出度の多いセーラー服があるかって感じに思えた。

 

 だがしかし、ちょっと調べてみると、セーラー服とはひらひらとしたあの特徴的な襟がポイントらしく、あそこだけあればとりあえずセーラー服と呼んでセーフっぽい。というわけで、違和感はあれど皆仲良くセーラー戦士なのである。

 

 

強敵ギャラクシアの前に散っていく仲間たち

 シリーズ最終ボスとなるギャラクシアはものすごく強い。黄金のセーラーに身をまとい、髪型はちょっと大仏っぽく見えないこともない。堀江美都子が演じる女帝感が良く出ていた。

 

 狡猾な上に、正面切って武力で当たってもギャラクシアは強い。ラストバトルでセーラー戦士が次々と倒されていく展開は子どもたちが見るとトラウマものだったかもしれない。この感じを味わうのも無印ムーンの後半展開以来のことだ。

 

 序盤でまもちゃんを消し、次にはスターライツがやっとの事で見つけた火球皇女を登場から数話でもう殺してしまう。

 マーキュリー、マーズ、ジュピター、ヴィーナスも一度に殺されてしまう。

 

 外部太陽系戦士4人がアタックするが、これもダメで歯が立たない。

 殺されたくなかったらこちらの軍門に下れという誘いを受け、ウラヌスとネプチューンが裏切る流れには混乱した。一番のトラウマはここだったかもしれない。こちらについた証を見せろということで、裏切った二人は残ったサターンとプルートを殺してしまう。こんなウラヌスとネプチューンは見たくなかった。

 

 大事な仲間が次々と死んでいく中でセーラームーンは泣くばかりで何もできない。これを見ると可愛そうになった。

 無印ムーンでも悲しみを前に現実逃避するうさぎの心理が見られたが、こちらでもこの惨劇が実は夢だったと思い込むような行動に走る。すごく可愛そう。

 

 ウラヌスとネプチューンの真意は、裏切ったふりをして隙あらばギャラクシアを打つことにあった。仲間を手にかけてまでそんな芝居をうったのに、無残にも失敗し、彼女らも消されてしまう。愛し合う二人が、最後には互いの手を握り合って昇天するシーンは悲しいけど美しいものだった。やはりはるか×みちるはユリ界のトップカップルかもしれない。

 

 スターライツが頑張っても歯が立たない。激戦の中、スターファイター、スターメイカーの髪紐が解けて髪が降ろされるのがちょっとしたレアな見所。

 

 セーラームーンはいくら仲間を殺されても、あくまでギャラクシアとの和解を求める。甘っちょろいことを言っているといえばそうだが、最後まで断罪でなく和解の道を進んだことについては、逆に強固な意志を感じもする。

 

 セーラームーンとギャラクシアの一騎打ちは全裸による聖戦へともつれ込む。まるでデビルマンの最終回を見ているようでもある(錯覚かもしれない)。

 

 

 

 ギャラクシアを浄化した後には無事皆の魂が戻って復活するから最後には安心した。

 

 最終回ラストシーンは、久しぶりの再会を果たしたうさぎと衛が美しいフルムーンをバックにキスして終わる。これが見れて良かった。シリーズ5作越しのありったけの愛が詰まった最高のラストだった。

 

 放送回が予定よりも減ったことで、後半は原作の内容をややはしょった感じだったらしい。確かにセーラー戦士たちがやや雑に処刑されていった感じもする。不完全燃焼な部分もあったかもしれないが、この美しいラストシーンを見れたのは嬉しかった。

 

 これにて月野うさぎのミラクルロマンス完結。ここまで彼女の成長を追えば、さすがに感情も動くもの。娘を嫁にやったような達成感もわくもの。よいものだった。

 

 令和に入っても人々の心に響くミラクルロマンスだった。大変感動した。

 

 この作品のヒットのおかげで、変身ヒロインものが後に続き、現在のプリキュアシリーズがある。アニメジャンルとして一つの金字塔を打ち立てたセーラームーンはやはり偉大だ。アニメにも歴史ありだ。製作チーム、出演声優達も偉大なので感謝したい。良いものを見た。それに限る作品だった。

 

 

スポンサードリンク