こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

男女の友情はありえるのか?「恋人たちの予感」

 

恋人たちの予感」は、1989年に公開されたアメリカ映画。

 

恋人たちの予感 (字幕版)

 

 主人公の男女二人が出会って結婚するまでの約12年間をコミカルに辿るものである。

 

 最初は学生時代から始まり、二人は口喧嘩をする不仲な状態、それも互いに変人のように意識していて恋仲には至らない。

 その後互いによその男や女とくっついて別れてをし、その中でも友人関係を保っていく。

 最初こそ言い合いも多かった二人だが、1時間くらい見た段階になると、どうせお似合いだから速くくっつけばいいのにと思っていた。

 

 作中全編に渡りついてまわるテーマが「男女の友情はありえるのか」。ある程度の期間良好な関係を保った男女が、いつかは辿り着く永遠のテーマを扱った点は興味深い。 

 セックス無しで男女はどこまで互いを知り仲良くなれるのかの限界に迫っている。このテーマについては是非を問うのが難しく、私も長いこと生きたが男女のそこのところははっきりと判断出来ない。

 

 序盤の車の中のシーンで、ハリーとサリーが根明、根暗について語りだし、末には「カサブランカ」のオチについて言及し始めるトーク内容が興味深いものだった。

 いつ死ぬか分からないから、本を買えば結末から読むというハリーの語りに深い人生観を感じ、ゆえに記憶している。そんな話をしながらも、ブドウを食っては車の窓から皮を吐き出して捨てるハリーはマナーが悪いと思えた。マナーにうるさい我が家でこれをやったら車から放り出されるだろう。

 

 名作映画「カサブランカ」の名は序盤で登場し、中盤のテレビを見るシーンでは実際に一部が流れている。さすがに見て知っているこの作品をネタにあげてくれるのは嬉しかったしテンションが上った。

カサブランカ」のオチについて、ハンフリー・ボガートイングリッド・バーグマンを逃したのか、バーグマンがバーの主人では心許ないということでラズロの元へと逃げたのか、というかなり野暮ったいトークを展開していた。あれは美しい映画で美しい最後ということにして余計な言及はしない方が良い。しかし興味深い映画トークだった。オタク的にはレベルの高い言い争いだった。

 中盤ではテレビ放送している「カサブランカ」を見ながら二人が電話している。とにかくコイツらは「カサブランカ」が好きだということが分かる。確かに時代を越えて愛される映画だと思う。

 

 二人が外食を取るシーン、飛行機の機内食を食べるシーンでサリーのオーダーのこだわりがでまくっていた。とりあえず料理にかける諸々のソースはかけずに横に添えて持って来いというサリーの細かい注文がうるさい。店側からすると面倒臭すぎるものだったのが印象的。

 

 中盤でハリーはサリーに彼氏を紹介し、サリーもハリーに彼女を紹介するが、二人を放っておいてそれぞれの友人同士がくっついて結婚する。どちらも振られて残りものとなり、これはもう残った二人でくっつけという神の啓示なのではないかと思えた。

 

 ついに友人の一線を越えて体を重ねた時、ハリーとサリーはそれぞれ親友に電話して相談するが、電話を受けた親友達は夫婦となって二人一緒の部屋にいる。主人公二人がそれと知らず同じ家の同じ部屋に電話をかけている画が面白かった。この辺のコミカルな展開は「フレンズ」「フルハウス」ぽくて良い。

 

 新婚夫婦の友人を前に「今はバラ色の生活でも、もし離婚すれば家財道具はどっちの物かという醜い争いが始まる」と語る離婚経験者ハリーの言葉が悲しいけどリアルなものだった。

 友人夫婦が家に変なテーブルを置くか置かないかの件で揉める件も面白かった。

 

 真の愛に気づいたハリーの告白が格好良い。生涯を共にしたい相手がいるなら、さっさと一緒の生活を始めた方が良いという言葉には「確かに」と頷けた。ストレートな告白が良かった。

 

 レストランでサリーが快楽でイッてしまった小芝居を始め、それを見た奥さんが店員に「彼女と同じものを」と注文する一幕が面白かった。同じ物を食えば快楽を得られると思ったのだろうか、本編に関係のないキャラだけどあのおばさんは面白かった。

 

 作中の合間合間に挿入される成功した熟年夫婦のインタビュー映像の存在も印象強く、最後にはそこに夫婦になったハリーとサリーが出てきてオチとなる演出はおしゃれだった。

 

 作中では10年以上時間が流れているが、90分程の映画なのでサクッと見れて楽しかった。最後もハッピーエンドで素晴らしいロマンティックラブコメディーだった。

 

恋人たちの予感 [Blu-ray]

恋人たちの予感 [Blu-ray]

  • 発売日: 2018/11/21
  • メディア: Blu-ray
 

 

スポンサードリンク