こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

魂で結ばる姉妹愛が熱い「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -」

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -」は、2019年9月に公開された劇場版アニメ。

 

 令和時代に入って早々に起きた例の放火テロによって京アニは大打撃を受けた。そんな困難を乗り越えて公開まで漕ぎ着けた本作は魂の一作になっている。

 あの忌々しい事件も二年以上前のことになったのか。

 あの事件は狂気の沙汰としか思えなかったが、それとは打って変わって本作は愛に包まれたどこまでも綺麗な一作になっている。

 視聴後にはテレビシリーズに引き続きまた泣かされてしまった。

 

 茅原実里が歌う主題歌の「エイミー」だけは先に聴いたことがあったが、本編は本日になってやっと見れた。曲名のエイミーって登場人物の事だったのかとコレを見て納得。この曲も良かったぜ。

 

京都アニメーション 京アニ ヴァイオレットエヴァーガーデン 外伝 永遠と自動手記人形 2020年ポスタースクールカレンダー

 

 今作最大の見所は、いたずらな運命のもとで出会って生き別れても尚魂で繋がる姉妹愛を描く点にある。魂の姉妹のエイミー、テイラーそれぞれの物語を前後編に分けてお届けする愛がたっぷりの物語性には泣ける。

 前編はエイミー、後半ではテイラーの成長の物語が描かれる。

 

 今回のヴァイオレットのミッションは、出張代筆ではなく、まさかのお嬢様学校に通う女生徒の家庭教師。

 気品ある乙女の心得を伝授するという、本業とはちょっと離れた仕事を行う外伝ならではの珍しいヴァイオレットの姿が見れる。

 

 お嬢様にしてはラフ、そして一人称が僕のエイミーを、気品あるお嬢様にするためのレッスンが展開する。

 舞台はエイミーの通う男子禁制のお嬢様学校。コレはユリユリチックな空気感があってドキドキするではないか。

 

 ヴァイオレットも付き人としてエイミーと共に学校に登校する。ヴァイオレットが学校にいるというのが珍しい光景として記憶に残る。

 モブのお嬢様生徒と比べてヴァイオレットが実に美しいこと。このことから、ここへ来て改めて京アニ最強ヒロインかもしれな彼女の美しさが際立っているのが分かる。やはりヴァイオレットはものが違う。

 

 美しい姫に見え、勇ましい騎士にも見えることからヴァイオレットは学校の女子にモテモテなのである。これは仕方ない。分かる反応。

 

 ダンス、飯のマナー、諸々の学問、お嬢様の特訓はとにかく面倒臭い。花より男子のお嬢様特訓でもやっていた頭の上に本を置いて落とさないアレもやっていた。

 これまで戦争しかしてこなかった女かと想いきや、こちらの分野もしっかり訓練済みのヴァイオレットは、師としてエイミーに問題無く指導している。

 ダンスでエイミーをリードするヴァイオレットは美しくて格好良かった。パンツスタイルの白いドレスで踊るヴァイオレットは大変美しくて目の保養になった。

 

 エイミーとヴァイオレットが友人として接するようになる関係性の変化が見える点は微笑ましい。

 学校に馴染めず友人のいなかったエイミーが、ヴァイオレットを信頼することで生まれる女の友情が良い。

 

 女子特有の絡みとして一緒に風呂に入る、寝る、髪を結ってあげるなどのシーンには萌えた。

 本邦初公開のヴァイオレットの入浴シーンは大変美しいものだった。エロさ皆無の美で見せる脱ぎのシーンは清すぎる作りになっていた。一周回ってコレはコレでエロくもあるという矛盾の感想も出てくる。とにかくエイミーとヴァイオレットが一緒にお風呂に入るシーンは良い。ちなみに後半にはテイラーとも一緒に風呂に入るシーンがあり、前後編共にヴァイオレットのレアなオフショットが見れるのだ。

 

 エイミーがヴァイオレットの髪を結いたがるシーンには、生き別れた妹テイラーへの愛も見えて良い。

 エイミー監修のもと、ツインテポニテ、羊の角と、いつもとは違うヴァイオレットの髪型が見れるのはレアで愛しいシーンだった。ツインテヴァイオレットにはやられる。

 ツインテを作れば視界の両端が遮られて邪魔になるため戦闘向けではないと評論するヴァイオレットの女っ気の無さが彼女らしくて逆に良い。

 二人が仲良しな女友達になっていく様に萌えた。

 

 最初は男のようだったエイミーが女の心得を学んでレディになっていくというマイ・フェア・レディのようなサクセス展開が見れる良き物語だった。

 

 

 後半ではテイラー中心の物語が展開する。

 見習い郵便配達員としてベネディクトに弟子入りし、仕事を通して心の成長を迎えるテイラーの姿が見られる。こちらも清い話で良い。

 

 エイミーには妹代わりに髪をいじられていたヴァイオレットが、テイラーが来てからは姉役に回って逆に髪を結ってあげる。あっちこっちで妹ポジ、姉ポジをそれぞれ行うヴァイオレットの姿が見えた点が良い。鋼の腕で三編みを作るヴァイオレットを映すシーンは色っぽくて神秘的だった。

 

 ベネディクトがエイミーの手紙を孤児院にいるテイラーに届けたのが、テイラーの進路決定のきっかけになっている。

 配達員は幸せを届けるお仕事というテイラーの理論にはキュンと来るものがある。ベネディクトが口にする届かなくて良い手紙は無いという職人の矜持にもグッとくるものがあった。

 

 こちらではヴァイオレット達自動手記人形よりも、ベネディクト達郵便配達員の仕事がメインに描かれる。外伝だから他の仕事をしっかり見るのも良いではないか。

 で、今回はベネディクトがとても格好良い。

 消息知れずだったエイミーを見つけてテイラーの手紙を渡すまでのアシストをすることで、テイラーにとっては良き兄貴の一面を見せていた。実際にニイニイとも呼ばれていた。

 

 姉がすぐそこにいるのに、一人前の郵便配達員になるまでは会わないというテイラーの幼き覚悟にも泣けた。

 舌足らずで最初はヴァイオレットの名前が発音出来なかったテイラーが、後半ではちゃんとヴァイオレットの名前が言えるようになっている点にも良き成長が感じられてウルリとくる。

 

 泣きながら妹の手紙を読むエイミーの姿にも泣かされる。姉妹の愛を目の前にしたベネディクトも思わずもらい泣きしそうになっているのが良い。

 結婚後は一人称が私(わたくし)になっているエイミーが、妹の手紙を読んで涙ながらに「僕の妹」と言って一人称を変えた点にもグッと来るものがあった。所詮養殖のお嬢様を、天然のボクっ娘魂が凌駕した素晴らしき瞬間が見れた。エイミーはボクっ娘超新星であることが証明された。

 

 ベネディクトが働くシーンを映すと共に、文明が栄えてどんどん変わって行く戦後の街並みも映している点が気の利いた演出になっている。これから出来るデカい電波塔について、同じ婆さんが2度ベネディクトに質問して来るシーンが印象的。この頃から登場したレトロなエレベータなどもそうだ。

 

 華やかな文明開化の時代にだからこそ見られる女性像の変化についても作中に落とし込まれている。

 ヴァイオレットとは養成学校の同期だったルクリアに男が出来たと分かるシーンがある。推しヒロインだったのにショックだ。それまでは自動手記人形の引退の花道は結婚にあるとされていた。しかしルクリアは結婚して家庭を持っても職業婦人の道を行く。 

 これは当時の女性としては新しい生き方であるとアイリスとエリカが語っていた。女性は結婚したらさっさと家庭に入って当たり前という古き考えが崩れつつある新時代が描かれた事も印象深い要素だった。

 

 アイリスはテレビ版よりも可愛くなっていた。すごく健康的なお姉さんに見えて良い。

 

 テレビ版から据え置きの要素は、絵がものすごく綺麗な点。お嬢様学校のある田舎、校内、後半の街々など、バックの細かい書き込みの技術も素晴らしい。

 

 美しい姉妹愛を描く良き作品が見れて満足だった。極上の90分となった今作の出来は秀逸としか言えない。

 

 

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