こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

正義が爆発「科学戦隊ダイナマン」その 2

放送時間が変更

 この作品の印象的な点として放送時間の変更が上げられる。放送曜日が移りましたっていう簡単な話ではなく、それまで30分枠だった番組が途中から25分枠に変更となるのだ。初回9話は30分枠、それ以降は25分枠と短めになる。

 これは大事だ。CMを除けば一話25分だったのが次には20分になってしまう。時間が短くなっても変わらず一話完結のドラマを作り続けなければならない。この5分の違いにスムーズに順応してシリーズを続けていくことになるから、当初は現場が大変だったのではと思う。

 

 ここからしばらくの間、戦隊シリーズ作品は25分枠で戦うことになる。シリーズの歴史の変わり目ともなる記念作がダイナマンだった。

 だが聴いたところによると、30分枠に戻った時には5分拡大により間延びした感じになったとスタッフが語ったことがあったとか。ダラダラとオチを後伸ばしにする長編よりも、より短い期間でしっかり話を落とす短編を書く技術の方が難しく、身につければ凄いとも言う。ここでも同じ事が言えるのかもしれない。

 

 途中から一話が短くなることで、視聴側としては何だか損した感じもあった。けど5分短いこちらのフォーマットの方がサクサクと見やすくて良かったかもと今では思う。そう考えると一話25分って長過ぎなのかもしれない。

 

ジャシンカ帝国

 9本尻尾の帝王アトンを頂点にし、その下には7本尻尾の軍神カー将軍、ボスの息子の5本尻尾のメギド王子、その従姉妹の4本尻尾の王女キメラの面々が続く。

 キメラの4本尻尾の描き方がしっかりと細長い従来の尾ではなく、4つに別れてはいるがまるで花の蕾のように短く可愛いらしい点が面白い

 

 これの後に7本尻尾の女将軍ゼノビア、次には敵か味方か謎の戦士ダークナイトが追加された。

 彼らジャシンカ帝国メンバーのキャラも良い。敵キャラが前回以上に魅力的なのがダイナマンの良さだった。

 前作だと地味めで敵側に華がなかったが、今回のアトン、メギドは鎧武者をアレンジしたようなスーツで格好良いし、メギドはイケメン。ダークヒロインのキメラも可愛く華があって良かった。

 毎度の怪人のデザインもゴーグルファイブより格好良い。記念すべき一話目のカニシンカからセンスが良かった。

 

 途中からは仲間を出し抜いて出世を狙うメンバーの裏切り行為があったりと、ダイナマンを抜きにしても組織内で揉め事が起きる。後半から追加されたゼノビアが組織を引っ掻き回すトリガーとなる良き立ち位置にいたと想う。

 敵組織のお家騒動も面白み要素の一つだった。

 

メギドの人生

 尻尾が多いほど偉いというのが有尾人社会の掟。メギド王子は、そんな命の次に大事な尻尾を序盤回からダイナレッドに切られて5→4本尻尾になってしまう。身分の証が一つ奪われた彼がそこから立身出世するサクセス性も見える展開が楽しめた。

 メギドも裏の主人公と呼べる注目の一人だった。最初は戦士のプライドを傷つけられ、その後は作戦失敗が連続することで一度は組織を追放される憂き目にあった。ボスの息子なのにこの厳しい道程は可哀想。そこからは闇の戦士ダークナイトに扮して出世までの道のりを歩むことになる。このダークナイトが真っ黒の戦士で、マッドギャランぽくて格好良かった。まぁマッドギャランの中の人はダイナブラックの春田純一なんだけど。

 向こう側にもダークヒーローが登場したことで後半回は盛り上がった。スーパー戦隊なのにメタルヒーロー寄りなデザインのダークナイトが好きだった。

 

 苦行の果てに組織一強かった父をも越えたメギドが語った戦士の矜持にも注目出来る。

 それまで一族の価値観として尻尾の数は絶対に無視出来ない物だった。それだけに終盤では、夢野博士が産んだ尻尾を増やす研究成果を躍起になって狙う組織の面々が描かれる。

 追放され、尻尾を全て無くして自分を鍛えたことで、メギドは尻尾の数に拘ってふんぞり返るのは堕落の証であり、真の強者は心身共に最強であるべきと答えを出す。プライドが高いばかりの坊っちゃんだったメギドがよくぞそこまでの境地に達したと褒める事が出来る。

 ラストでは世代交代劇が描かれ、アトンからメギドへとボスの代替わりが行われる。これを経てのダイナマンとのラストバトルは熱かった。

 

 帝国の最後では、それまで不仲のポーズを取っていたメギドとキメラの愛も見えてドラマがあった。

 ピンチの中キメラを地下に逃がそうとするメギドの気遣いが見えたが、キメラは滅びる時も一緒の道を取って逃げなかった。ここの終わり方は切ないけど、愛の物語としては美しくも見えて良かった。

 

ヒロインのお色気要素

 ダイナマン側の立花レイとセットで作品の華兼お色気要員となったキメラの存在感の濃さも忘れることが出来ない。

 

 キメラが最も輝いたと言って過言ではない29話は神回だった。この回の冒頭で、キメラは全裸で海水浴を楽しんでいた。ここは屈指のセクシーシーンだった。

 岩場でキメラが脱いだ服を偶然発見した星川竜は、そのまま服を強奪。キメラは着替えが無くてバスタオルで基地に帰ってくる。悪者を懲らしめるためとはいえ、女子に対していたずらみたいな事をする星川の好感度が危うい。

 

 盗んで来たキメラの服を冷やかしでレイが着るシーンもレアなので注目。

 ここでキメラが取った作戦が、自分の服のカラーである赤色の衣服を来た者を呪うというもの。キメラの赤い服を着たレイはめっちゃ苦しむことになる。不特定多数を広範囲で苦しめることが出来る服の色決め呪いの作戦は安易なアイデアに見えて普通に怖い。ついでにダイナレッドも苦しめられる事になっていた。

 

 ここ以外でもレイとキメラ、それぞれの勢力の華達は水着シーンが用意されていた。子供番組にしてはサービスが良いものだった。当時見ていたお父さん達は喜んだことだろう。

 

進化獣

 毎度登場するジャシンカ製の怪人達を「進化獣」と呼ぶ。これは既存の地球生物を化け物並に進化させた物である。

 カー将軍が扱う装置には「生命のスープ」という生命の進化を激しく促す発明が盛り込まれている。帝国が有する多くの生物の遺伝子とこれを合わせることで、規格外の化け物を産む事が出来るのだ。

 遺伝子から生命の歴史の始まりを辿り、そこから急激に進化させて進化獣を誕生させる。まさに温故知新の化け物と言えるのが進化獣である。ここにも科学戦隊の科学要素が見える。

 

 面白かった進化獣は、キメラ屈指のお色気回の29話の次の回に登場したトゲアリシンカ。

 学生服を着たガリ勉怪人であり、学問でダイナマンの弱点を導き出す。出で立ちからしてかなりコミカル。時には強めにコミカル展開に突っ込むのもダイナマンの良さだった。

 基礎を抑えた学習をしっかり行うトゲアリシンカは、最初こそダイナマンの弱点を突いて優勢に立つ。しかし、お硬いガリ勉にはちょっとしたイレギュラーが命取りになる。教科書に無い動きをその場で即興でやられると対応できず、一気に劣勢になってしまった。

 これはガリ勉怪人的にいえば受験に落第した屈辱であり、トゲアリシンカはめっちゃ落ち込む。それからまた猛勉強するのだ。その内には、落第の屈辱をバネにして勉強した分がパワーアップに反映されワンランク上の段階に変身して強くなる。

 こんなコミカル要素についてカー将軍が「受験の失敗が次への成功に繋げるための進化になった」みたいな真面目な解説をしているのに笑えた。カー将軍が言うのだからそうなのかと妙に納得出来てしまう。

 

 残り1クールくらいを残して最後の進化獣が登場し、早くも出し尽くしてしまった。次はどうなるの?と待っていたら、それまでの進化獣と金属を合成してつくる「メカシンカ」のシリーズが始まった。こちらはメカメカしくロボットみたいになっていて、それまでとは雰囲気の異なる化け物になっていた。こっちの怪人のデザインも格好良くて好きだった。

 

スーパー戦隊シリーズ 科学戦隊ダイナマン VOL.1 [DVD]

 

 というわけで正義も大爆発のスーパー戦隊シリーズ第7作目「科学戦隊ダイナマン」が楽しかった。

 

 スポンサードリンク