こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

夜に紛れる人間の闇を暴く「Night Walker -真夜中の探偵-」

「Night Walker -真夜中の探偵-」は、1998年7月から9月にかけて放送された全12話のテレビアニメ。

 

 原作は1993年に発売された同名のアダルトゲームである。今となってはもはやオーパーツとも呼べる太古の発明PC-9801対応のゲームソフトだったという。古すぎて知らない世界。

 

 原作ゲーム発売から5年かけてのアニメ化となると結構時間がかかっている。パソコンの話ならこの間にWindowsシリーズが台頭してそれまでの流れが大きく変わったはず。

 当時、我が家は学区で初めてWindows95搭載パソコンを導入した家庭としてちょっと話題になっていたと親族から聞いたことがある。

 

 そんな本作は、日本テレビアニメ史初のアダルトゲームを原作にしたオリジナルテレビアニメとなった。これはすごい。時代の流れに太い杭を打ち込んだ記念碑的一作だ。じゃあしっかり見ないとな。

 

 このアニメ一本を紐解くだけで時代のうねりが見えてくるというもの。文明の進化に伴ってオタク文化隆盛の歴史も見えてくる。

 

 では真夜中を待ったところで感想とかを書き殴っていこう。

 

Night Walker-真夜中の探偵- DVD-BOX

 

内容

「紫藤探偵事務所」の所長 紫藤龍彦は、表向きには普通の探偵だが、その正体はヴァンパイアである。

 彼の裏の仕事は、ヴァンパイアの力を用いて闇夜を徘徊するブリードという化け物を退治すること。

 

 ブリードに対抗する組織のエージェント松永 弥生をお供にし、事務所のお茶くみの山崎 理保にも協力してもらって紫藤は怪奇事件を解決していく。

 

感想

 面白い!実に良い感じだ。

 

 血液を扱ってのおしゃれなヴァンパイアバトルも良しで、グロとちょっとのエロもありのアダルティな魅力のある一作だった。

 

 OPからしてダークな夜の街並みが伺えて非常に雰囲気が出ている。

 主題歌はいつも馴染みのアニソンシンガー達ではなく、OPはBUCK-TICK、EDはLa'cryma Christiと、いずれも怪しげな闇夜にマッチした良質音楽を奏でる有名勢が担当している。この点は意外な組み合わせ。

 

 BUCK-TICKの「月世界」は、2回聴けばその怪しげにして格好良いダークネスロックの虜になってしまうものだった。2回聴けば色々覚える。このどうしようもなくダークでアンニュイな感じはハマる。他に似たような曲がない独特な感じがあるな。

 都会の夜に鉄筋を組み立てて行う工事現場前を歩いているイメージが浮かぶ曲だった。

 対してLa'cryma Christiの「未来航路」は、夏をイメージする爽やかロックでアニメを気持ちよく締めてくれるものだった。

 これら主題歌が優秀だった。

 

 探偵ものらしく扱うエピソードには、まず人間様が持ち込む等身大の案件があり、それを追っていく中でブリードの案件も絡んで来る感じになっている。遺産目当てに家族で結託してじいさんをキルしてしまうというコナンとかでも普通に取り扱う事件もありだった。通常案件も化け物退治も行う紫藤の忙しい探偵家業が描かれる。

 

 紫藤は皆さんが知る所の映画やアニメにもよく出てくる血を吸うヴァンパイアである。それとはまた別に、人間に取り憑いて体を乗っ取るブリードという化け物がいる。種族が違えどいずれもファンタジーな勢力のぶつかり合いが描かれる。

 

 狡猾なブリードは、人間心理の弱みをつくことで人間の体の乗っ取りを行う。毎度の事件の中には、人間の持つ欲望や愛憎、加えて愚かさが見え、最後にはどこか切ない感じになる。いずれも人の「闇」という真実を描いているドラマ性は見ごたえがある。毎度一話完結で面白い内容が描かれている。

 

 世紀末の古いアニメだが絵柄はとても良い感じ。

 主役の紫藤はイケメン、その相棒の使い魔のグニはチビなマスコットで可愛い。

 紫藤の周りには血液提供者の弥生がいて、後には同じくヴァンパイアの仲間になってしまう理保がいる。このツインヒロインで三角関係みたくなる色っぽさもまた良い。

 弥生が大人のエロさ満点で、理保は萌えな感じのまだ未成熟な学生。属性の異なる二人のヒロインはどちらも美しく目の保養になった。

 

 紫藤が弥生を吸血するシーンでは、やはり吸われる方がなんか気持ちよさそうと分かる。ストブラとかでもそうだよな。吸血シーン=セクシーシーンにもなる。

 

 今となっての強い見所は、理保を演じているのが当時まだ未成年の坂本真綾なこと。声が若くて今とかなり違って聴こえる。この拙い感じがレア。理保とリアルに年齢が近い時の芝居だったはず。

 理保が微妙にセーラームーン木野まことっぽく見えるのだが、そのまこちゃんを演じていたのは、もう一人のヒロイン弥生を演じた篠原恵美という組み合わせが個人的にエモい。

 

 紫藤を慕って終始純なラブをばらまく理保に萌えた。こんなダークネスでグロいアニメにも萌えなヒロインという華がしっかりあるのが良きポイント。

 

 紫藤には、かつてヴァンパイアとして人を殺めたり人生を狂わせて来た後悔と葛藤がある。今はむやみに人間を吸血することはないが、その当時を知って記憶を掘り起こしてくるキーパーソンがカインというヴァンパイアだった。オスのヴァンパイアだがこいつも紫藤ラブで最終回ではマウストゥマウスでキスしてくる。ここ二人の間には微妙の範囲をやや越えたBL要素も見えたりする。

 

 最終回では幻覚オチだったけど、理保が闇落ちしてマジで最悪な事になるエピソードが展開した。これには本当にカインの見せた幻覚で良かったと思えた。闇落ちした理保はセクシーさとデンジャラスさが盛られていて、あれはあれで良かった。

 坂本真綾が良い芝居をしていたので、若き日の彼女の芝居までチェックしたいガチ勢にはおすすめな作品。

 

 まさに夜に見てマッチする深夜向けアニメだった。見るなら夜だな。

 怪奇的夜の闇はブリードが運んでくるだけではなく、人の心の中にもしっかりある。そこのところが分かる面白い作品だった。

 

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