こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

サイバーなエリート警察達の戦い「電脳警察サイバーコップ」

電脳警察サイバーコップ」は、1988年10月から1989年7月まで放送された全36話のサイバーな特撮ドラマ。

 昭和のケツから平成の頭に突っ込む形で奇跡の3クール放送となった。なんたるメモリアル。

 

 だいたい同期に放送していた作品として「世界忍者戦ジライヤ」「仮面ライダーBLACK RX」の名を上げることが出来る。これらと肩を並べて時代を作った作品だったのか。なるほど、コイツは黄金時代だ。リアタイ勢はウハウハで人生の退屈を潰していたことだろう。過ぎ去りし熱き時代があったのだな。羨ましい。

 

 で、リアタイしていない私は、先に上げた他2作ならDVDで見たけど、サイバーコップは未チェックだった。

 これは親が知っていて「面白かった」と語っていたが、なかなか見る手段と時間が作れず、見たいと思いながらもズルズルと令和時代までお預けする事となった。これをやる内に人は未練を残して死ぬのだと我が祖父が説いていた。見たいものはさっさと見ておけ。

 そしてこの度、やっと親と同じ景色を楽しむことに成功。全36話をだいたい1週間でチェック完了した。

 

 これが普通に面白く「こいつは名作や」と思っている。

 主に東映特撮にむしゃぶりついてガキ時代を過ごした私としては珍しい東宝の等身大テレビヒーローとなった。巨大もの以外で頑張る東宝の仕事を見るのもまた一興。とにかく東宝は良い会社だ。

 そんな東宝が生んだ名作をプレイバック!

 

内容

 時は西暦1999年。

 文明の発達と共に犯罪も多様化を極め、東京シティでも日夜大規模な犯罪が行われるようになった。

 これに対抗するため、警視庁はサイバー技術を惜しみなくつぎ込んだスーパーチーム「ZAC」を結成させる。

 警察学校で優秀な成績を修めた彼らエリート集団はサイバーコップと呼ばれている。

 サイバーコップメンバーは強力なビットスーツを装着し、悪の組織デストラップが放つ刺客を打倒する。

 

 世界の未来を守るために戦うサイバーコップの熱き物語がここに刻まれる。

 

感想

 すごい。リアルだととっくの昔に過ぎた世紀末が、本作のだと今見ても十分に近未来。

 

 誰がどう見ても特徴的というかクセある要素といえば、随所に見られる合成技術がそうだ。昭和時代も最終盤が迫ったここへ来ると、そろそろデジタル技術も産声を上げるって訳か。

 今やっている「仮面ライダーギーツ」に見るゴリゴリのCG技術なんかと比べると可哀想なくらい稚拙な出来だが、この時代にコレなら大健闘だろう。今あるもので最大限スペックを引き出す職人魂は清々しい。当時だとかなり斬新な映像として楽しめたのではないだろうか。

 とは言っても古めかしいものだから、とにかく諸々危うい合成映像だった。この危なっかしいギリギリのラインの合成映像で魅せる作品美がまた良いではないか。これはこれで胸震えるものがある。私の感性もなかなか変。

 今見れば技術の退化具合がすごいものとして逆に新鮮な物にも見えるってもの。最新時代に振り返る過去世界の面白みってこういうところにあったりするんだよな。

 

 OPでブレードライナーが走っているところなんかは結構違和感が強い。思い出したけど、この普通に浮いたCGの出来はセガサターンのゲームの演出みたいだ。セガサターンの方がちょっと先の時代だけど、この段階だと4、5年でクオリティに大差も出ないだろう。

 

 表面にしっかりと出る格好良さはもちろんある。ビットスーツデザインやジュピタースーツの変形ギミックなんかはピカイチだと思う。でも微妙に隠しきれないダサさも愛しい。この微妙な感じなんかは、スーパー戦隊ものよりも超星神シリーズを感じる要素だったな。

 OP曲は意外にロックしていて格好良い。お気に入り曲だ。上杉刑事が歌うEDのポップソングもノリが良くて好き。

 しかし気になるのがOPムービーの出来。この出来は大変良いと思う。でもセンスが昭和で、今見ると結構笑える。恥ずかしいテンションで魅せるアイドルのPVみたいな演出が目立つ。サイバーコップ各員がどこかを飛び越えたり、高い所から降りる、または昇るのパーフェクトにちょいダサな演出が光っていた。失礼な話だが、このOPムービーを見ただけでウチのお兄ちゃんがめちゃ笑っていた。

 というわけで本編に入る前のOP段階から素晴らしい。それからテンションの高いアバンタイトルの出来も好き。アバンから既にテンションが高くて元気な作品だぁというのも印象として強く残る。

 

 メンバーが結構やんちゃな感じの見た目で、最初は皆で仲良くバンドをやっている。後半ではバンドシーンは無しになったな。もっとやれば良いのに。当時はバンドブームとかも来ていたっぽい。意外にもポップな集団だった。

 プライベートは楽しそう。しかし公務員の中でも特別すぎる責任重大枠であることから、なにかあれば即プライベートが潰れる。バンドを楽しんでいる間にも犯罪が起きれば、すぐにお仕事開始なのだ。キツイ現場だな。それについて文句を垂れるメンバーの描写もあり。

 

 お話の肝は、第一話で追加メンバーとして入ってくるジュピターこと武田 真也の謎を追う過程にある。

 気になる導入なのは彼が記憶喪失だということ。他メンバーは警察学校上がりのエリートだが、武田はインターポールからの推薦枠で加入している。この段階で色々特別。そんな彼はインターポールに拾われる以前の記憶がない。これは怪しい。

 自分が誰だか分からず、敵のバロン影山に付け狙われることで武田の心は揺れる。ここにミステリー性とドラマ性を感じる部分があって良い。

 迫り来る敵とドンパチやるだけではなく、大人も楽しめるようなドラマ性やキャラの掘り下げがあるのも作品の魅力だった。

 

 後に武田は未来からやって来た未来人だと分かる。バロンとルシファーも同じ時代から飛んで来た。

 これは主人公だけが現代人で後は未来人のタイムレンジャーと逆パターンだな。最終回では武田とセットで上杉も未来に行くことになる。時を越えた大ドラマで魅せたな~。

 最終回は主役のジュピターだけでなく、マーズビットを身につける北条さんの見せ場のターンもあって良かった。最後は北条さんがヒーローだろう。

 北条さんと敵幹部 ルナのラブな物語も良かった。ルナのキャラデザをいのまたむつみが担当しているのは意外。

 

 武田と仲間達の関係性も良い。不安な状態にある彼をなんだかんだ理解してサポートしてくれる仲間達のキャラも良い。特に寄り添ってくれる上杉智子とのラブな関係性にも良さがある。

 北条さんが最初こそヒール役で武田の事を認めない設定も印象的。そこから結構デレるのも面白い。北条さんはイケメン。

 

 毛利さんが面白すぎる。女好きでお調子者で基本的にフザケている。ネタ全開メンバーやないか。クラスにいたら絶対人気者だろうに。毛利さんが一番好きだった。

 毛利さんには、親のいない家庭でたくさんの兄弟の世話をする責任がある。その重圧からの開放を願ってわざとフザケたフリをしているのではないかと西園寺は分析しているが、北条さんはあれは素でフザケた人間であると評価している。この意見の差も面白くて笑った。何れにせよ現場で愛されている人材。

 

 毛利さんとセットで西園寺も結構なコメディリリーフだった。ちょっとマザコン気味でお人形さんを愛でる習性を子供の頃から継続させている。根の優しい良い青年だと思う。

 

 ヒロインの上杉はチームの調整役として素晴らしく機能している。強気で出来る女だなぁ。ちょっと可愛い。

 5人チームで作戦に当たるのに上杉だけビットスーツが無いのは寂しい。その点について上杉が上層部に掛け合うシーンは印象的。

 要は女だからナメて装備を寄越さないのではないか的な、男尊女卑に異を唱える形で意見していた。このくらいの時代からは女性の社会進出も激しく目立って行ったはずだから、男になんて負けるか!の勢いで生きる強い女子像も時代感としてスタンダートになっていたようだ。上杉は頑張る良きヒロインだった。

 一度サービス回で上杉のシャワーシーンが見れる回があったが、守られすぎてサービス感がかなり薄かった。

 

 隊長やオペレーターも含めてキャラ性が結構濃い。大犯罪に備えるスーパーチームだが、普通に面白い連中が揃っている。朝倉さんとか抜群におマヌケキャラで好き。

 各員が行うコミカルなやり取りも良い。格好良い特撮ヒーローが主役だけど、微妙にフザケている作りも好き。

 特にセリフ回しにはクセのある節が効いている。ウィットに富むと言えば聞こえが良いが、同時に微妙にダサいとも言えようセリフのセンスは今見ると新鮮。このくらいに流行ったであろうヤンキードラマやトレンディドラマのノリで、キャラの関係性を面白おかしく見せる工夫をしている。とにかく昨今の作品では聞かない新鮮な味わいの笑えるセリフが随所に見られる。こういうの最高だと思う。

 

 2クール目から出てくるダークヒーローポジのルシファーも格好良い。ルシファーも男前だな。スーツセンスも良い。

 真っ白だけど真っ黒戦士ハカイダーの要素を感じる。敵か味方かどっちだ?のポジで男喜ぶ2丁拳銃をぶっ放す。これは格好良い。

 ルシファーのスーツ装着は他と違って携帯性に優れる普通の変身ヒーローみたくなっている。変身ポーズにバンクもあり。振り付けが意外にも荒々しく、近づいたらふっ飛ばされそう。

 ルシファー愛用武器のギガマックスは優れもので、火力の強いバズーカ兼移動用マシンにもなる。このアイデアは良いな。普通に欲しい。

 

 ビットスーツはどれもセンスが良い。

 個人的にサターンの両肩にセットされているディスク型レーザーが一番良い味を出していると思う。ああいう装備は特撮オタに受ける。

 ジュピターの角が折り畳み式で、本気モード時に伸びてくるのは仮面ライダーカブトにも見られるギミック。怒りのサンダーアームはタイガーセブンみたい。愛用バイクの ブレードライナーは仮面ライダー龍騎のライドシューターみたいだ。何か色んな作品の風味を感じる。

 

 現場に武器を持ち込む方法も特殊な仕掛けで面白い。そこらにある電子機器から呼び出すことが出来るシステムは画期的でめちゃ便利。例えば公衆電話やATMで必要情報を持ち込むとその場に届く。すげぇ。

 戦うのに公衆電話を使うのが必要って「魔神英雄伝ワタル」のシバラク師匠みたい。

 

 物語自体は34話目で決着がつき、ラスト2話は視聴者リクエストの名場面集となっている。このラスト2話が最高に面白い。リアタイしていたら私も企画に参加したかった。

 MCをするサイバーコップの面々が、中途半端に役設定を背負ったままリアルで喋っている感じが特殊。撮っている音声さんや監督に向けて話しかけるメタな展開も見せている。もう終わるからって結構フザケてるから楽しい。ここまで来るとかつて敵だったルシファーも皆と仲良しになっていてほっこりする。

 

 従来の特撮熱もしっかり見せ、ネタ要素もかなりぶっこむ娯楽性に優れる傑作だった。なんでもっと上に行けなかったのだ。良い作品じゃないか。中の人同士も仲良しそうでほっこりする。

 そういえば今年で放送35周年記念じゃないか。BDにしてもう一度世に出しても良いのではないか。

 サイバーコップ最高!

 


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