こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

スーパーOLお姉さまの日常「お姉さまとお呼びっ!! 」

「お姉さまとお呼びっ!! 」はこいずみまり作のOLお姉さま漫画。

 

 今回は2006年12月1日にぶんか社より発行された文庫本タイプを読破。上下2巻で完結。

 00年代半ばとか最近のようでしっかり遠い世界。いや~00年代って素敵な時間でしたよね。最高だと思う。

 

 何分古いものだし、ウィキに個別ページもないので詳しいことは謎だけど、これ以前にオリジナル版も出ていたとか。一体いつからいつまで連載されていたものかも分からない。

 

 前情報をマジで何も知らないままたまたま中古本屋で発見したのを「なんかジャケットがセクシーでいい感じだしタイトルの響きも好き」と思ったままにレジに持って行ってお持ち帰りした。ちゃんと上下セットでね。

 それが10年ちょっと前のこと。購入当時にしっかり読んだらその後は押入れでこの春まで眠っていた。暗所でじっくり眠っていたため古いにしては結構状態が良い。

 

 この春に本を整理して片付けようと行動したのだが、マジで数が多くて困る。今のところ結局何も減っていない。

 4~500冊くらいある。これらの大半は手放そうと思うのだが、すぐに売る、捨てるは何か悔しい。手放す前にもう一回読んで、読み終わったものから順に店にでも持っていくかということになった。

 そこで第一段読破となったのが今作だった。たった2巻で終わるからね。

 しかし漫画一作品をしっかり読んだのは実に10年ぶりくらい。ここ10年はしっかり漫画を読んだことがなかった。買いもしなかったし。まぁアニメとかゲームとかで忙しかったからね。

 

 そんな私の漫画人生リニューアル第一歩記念作品となったこの本はなんともラッキー(かもしれない)。作者のこいずみまり先生におめでとうを言いたい。本人はなんのこっちゃな話だと思うけど。

 

 で、これが意外と読むのに時間がかかる。まぁ描いている方は読む方の8~50倍くらいは時間をかけているはずだからそれも仕方ない。そんで結構目が疲れもする。でも一番の感想は楽しいだけどね。

 久しぶりの漫画読書に持ってくるには短めで内容もポップでライトで好きな感じでとにかく楽しかった。

 

 文学とか参考書とかも全部ごちゃ混ぜで、私ってばとにかくページを捲って活字なり絵を目で追いかける事自体が好きだったのだな~とか改めて気づけた。

 コロナが流行ってからは図書館も行かなくなったので、そもそも読書自体も久しぶりだった。

 大人になって行くほど、本を手にどっかり長めの時間座すことが減るよな。時代が進むほどに暇が死んで忙しくなる一方だからな。

 

 では読書自体に馳せる想いはここらで終わりにして、本自体の感想とかを書き殴って行こう。

 

     お姉さまとお呼びっ!! 上     お姉さまとお呼びっ!! 下

 

内容

 主人公はモデル経験もありのスタイル抜群のOL 田代ヨネ子28歳。彼女の愉快で特殊な日常を追って行く。

 

 彼女の会社生活、20歳の弟たかしと共に暮らすアパート生活を主に描いていく。

 

 ショートな4コマエピソードの連続で綴るスーパーOLお姉さまライフをお楽しみあれ。

 

感想

 ヨネ子がかなり面白い女で好き。久しぶりに読んだけど案外中身を覚えているものだった。

 

 基本のコマではデフォルメな感じでキャラが小さめだけど、毎度の扉絵では等身の長い美しいヨネ子が描かれる。この先生のセクシー度が本気の絵は、美しく色っぽくて好き。変な女だけどヨネ子はエロくて格好良い。

 

 慎重は170センチ以上で、体型も引き締まって出る所はしっかり出ている。それで美人なので見た目は完璧だけど中身が普通に変人で面白い。

 この見た目で名前がヨネ子なのは色々とミスマッチ。本人もそう自覚し、名前を変えたがっている。実家が米屋さんということで、最初はイネって名前が候補だったけどなんとかそこを回避してヨネ子になった。名付けたのは祖母。

 何かと人生の足を引っ張る自分の名前と戦いながら生きるヨネ子の精神はなかなかに屈強なものだった。とにかく図太い女だ。

 

 破天荒で普通にやることが変人なお姉さまに、会社の仲間も弟のたかしも翻弄される感じになっている。

 しかしたかし君はこんなに美しくて面白いお姉さんがいていいな~。とにかく人生に退屈しなさそう。

 家の事は面倒見の良いたかし君に全部やらせるヨネ子の自活力はとても低い。弟の扱いが召使いなんだけど。まぁこのお姉さまなら許せるかなって感じ。

 

 盛んなお年頃の弟に対して、遠慮なしに性的なあれこれのネタをぶっ込むお姉さまの気遣いの無さが一周して良い関係に見える。なんだかんだで姉弟仲良しなんだな。この年齢差でも友人みたいな距離感で話すのって何か良い。

 

 許せる範囲で下ネタもあり。ヨネ子は男との交流が盛んだけどコレといって決まった男は作っていない。

 読んでいくと、古き良きバブル期を生きたこれまた古き良き女だと分かる。古い時代の人間だから微妙に古いネタをぶっ込んだりしてくる。最近の人間の私には元ネタが謎なものも少々。

 

 今は銀行に100万預けても利息が10円のケチな時代だけど、バブル時代は金利が6.5%だったこともあったと話しているシーンがある。すげぇ高いなぁ。そんな時代があったのか。お金が笑えるくらいに膨らんでいくではないか。てか今の銀行のケチな金利はどういうことやねん。いくら時代が変わったからといっても、この露骨な数値の高低差にはすごく残念。

 会社のボーナスの事情もバブル期特有の感じがあったらしく、今とは違うっぽい。当時と今とで社会人の生活の都合も結構違うと分かるお仕事系漫画でもあった。

 OL生活の愉快な所と共に微妙に悲哀さも見える。

 

 普通にOLをするリアルに即したものと思いきや、唐突にフザケたファンタジー要素も持ってくる。

 ヨネ子のライバルモデルに顔が犬のモデルがいたり、あとは顔がカエルとかパンダとかクマの人も出てくる。ヨネ子だけは普通に話をしているのをたかしがツッコむ感じになっているのが印象的。たかしはツッコミ役として重宝出来るポジションだった。

 

 会社に女性ホルモンを打ち込んだ心が女子の男性社員が入ってきたりするのも特徴的要素。

 絶対に叶姉妹をパロった化膿姉妹という露出度やばめの変なOL姉妹も出て来る。

 内容はとてもユニークである。

 

 大学生のたかしの日常もピクアップされる。たかしと恋人のエミちゃんとのやり取りもユニークなものとして記憶に残る。

 シスコンへの裏返りが好みに出たのか、姉とは諸々の要素が真逆の女を選んでいる点は興味深い。美人な姉の横で育った弟の性的好みがこのような形で出るものなのかとちょっと深く考えてしまう。

 いま一歩のところで童貞の向こう側の世界に旅立てない奥手な弟キャラの彼のことは結構応援したくなる。

 ヨネ子と比べるとちんちくりんのエミちゃんも可愛いくて良かった。

 

 ラスト展開では、避妊に失敗したヨネ子がまさかの妊娠からの出産を決め込んでしまう。ここでは、やることをやった後はコーラで股間を洗うと避妊成功しやすいという昔の豆知識が紹介されている。もちろん科学的根拠はないらしく、その昔あった迷信らしい。エロ本のモザイク部分にバターを塗ったらくっきり見えるとかいうアレと同じようなものか。コーラの迷信は初めて聞いた。野球のビール浴びと同じくせっかくの美味しい飲み物がが勿体ねぇ~と思うばかり。

 父親の候補が多くて結果誰だか分からん状態で終わる。それでも結構幸せな親子関係でさらっと終わっていて良かった。しかも子供が男の娘に育っているのはセンセーショナル。子供は男だけど可愛かった。

 この作品ならこのオチでまぁ良かったじゃんって感じ。

 

 OLネタと不快にならない加減の下ネタ、そして弟との家庭生活、それぞれの要素がいい感じに混ざり合って楽しく読めた。とても良い作品だと思う。

 4月から頑張っているであろう日本のOL軍団達にも勧めたい。忙しくて沈み込みがちな己の心を鼓舞出来るコンテンツになると期待出来る。

 

 田代ヨネ子よ、ありがとう。頑張れ日本のOLお姉さま達!

 

 

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