こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

おとぎ話でのベストな恩返しの形「おとぎストーリー 天使のしっぽ」

「おとぎストーリー 天使のしっぽ」は、2001年10月から12月にかけて放送された全13話のアニメ。5.5話が存在するので実質は14話ある。

 

 今更になって初めて見た21世紀開幕一年目の放送作品。なんとジャスト20年前の作品だ。

 以前から作品の名前だけはどこかで聞いて知っていたけど、中身のチェックはこんなに遅くなってしまった。

 サクッと全話楽しく見てみると、これが新世紀アニメかぁ~とちょっと感動してしまう。

 

 昔話に、ツルや亀を助けると後で恩返しに来てくれるというものがある。かつて助けた動物達が、美少女の姿になって恩返しに来てくれたら一等嬉しい。素敵。萌える。それが叶う物語が本作「天使のしっぽ」である。

 

 昔話の恩返しにグッドな構想を得た結果、主人公がかつて助けた動物達が、美少女の姿に転生して帰ってくるという楽しい物語が誕生した。本当に発想がナイスなんだよな。

 本作には前世がカエルのヒロインがいるが、カエルを助けて人間と同じくらいデカイボスのカエルが頭を下げに来たりしたら怖いしキモい。どうせ恩返しに来るなら美少女の姿で、これがベストなんだよな。

 普段動物なんか助けない、だから恩返しについて考えない、必要がない。そんな私だけど、この作品を考えた人の出した「恩返し」についてのアンサーはそれで正解だと素直に思えた。

 

おとぎストーリー天使のしっぽゲームオフィシャルファンブック (Gakken mook―Megami magazine selection)

 

 冴えない青年の睦 悟郎を主人公に、ファンタジックに萌える素晴らしき物語が展開する。

 一話冒頭では、就職先が倒産したことによって無職になってしまった悟郎の姿が描かれる。無職状態になって街をふらつく主人公を描くなんとも景気が悪い幕開けとなる。がしかし、その後すぐにも守護天使となって主様の元に帰ってくるヒロインズが登場。話数が進むごとにチョイ出し追加となり、合計でなんと12人も集まってくる。そして悟郎のアパートで仲良く共同生活を行うのである。

 

 悟郎は少年時代からも動物にとても優しい男だったのだ。生涯でとりあえず12個の命を助けている。で、全部メスなのね。

 登場ヒロインそれぞれの前世は、キンギョ、カメ、ヘビ、タヌキ、サル、キツネ、インコ、カエル、ハムスター、イヌ、ネコ、ウサギと実に様々。

 ヘビやサルというレアなところまで抑えているとは、悟郎の動物好きもかなりのもの。

 

 ヒロインの名前はキンギョのラン、インコのツバサのように、前世の動物名と名前がセット。覚えやすい仕様。

 ランはランチュウだからランだという。ランチュウって、そこらのキンギョよりもずっと上等な高い品種だよな。

 

 タヌキのミドリ、キツネのアカネは、カップ麺のアレから来た名前じゃないのかな。

 

 なんか一杯いたけど、川澄綾子が好きだし、真面目キャラも良かったことで、カメのアユミが推せるかな。

 ウサギのミカが一番バカな盛り上げ役ギャルぽいだけど、演じたゆかなのご主人様にグイグイ行くはしたない女の演技は好き。

 インコのツバサは一定数需要がある僕っ娘。ちょっと低い声で一人称が「僕」の娘を野川さくらが演じているのは何かレアだな。他では媚び媚の可愛い萌え声を出しているからな。

 

 可愛い子ちゃん達とただイチャついてダラダラするだけのものでもなく、テーマには、ご主人様と動物たちの主従の愛という清いものも見える。

 ヒロイン達を転生させた女神様は、人間と動物の仲が円滑に進むよう調整する役割も持っている。そして悟郎は、人間と動物の架け橋ともなるすごい賢者の末裔らしい。

 

 人間に転生したヒロイン達は、前世での死に繋がるトラウマを持っていたりもするので、その点はややシリアス。

 守護天使の中には、ご主人様以外の人間は悪しき者として嫌悪する者もいる。動物が持つ人間への敵対心というものも確かにあると分かる作風になっている。

 萌え萌えな見せ方で売る萌えアニメではあるが、動物愛護や環境保全についてもやんわり考えさせられる良き点もある。なによりもヒロイン達からご主人様に向けての一途な愛を描く点は清いのだ。とにかく動物には優しくしようってことを言ってる。

 

 ラブコメというよりは、12人のヒロインと主人公の間に見えるのファミリー感が楽しめるファミリードラマ寄りな作りになっていた。とにかく悪くないもの、いやむしろ良い作品だった。

 

 中盤から後半にかけては、12人の守護天使の他に、四聖獣が転生したイケメン4人集が事件を巻き起こす展開も目立つ。

 大きな男子のお友達に向けて可愛いヒロインズを売りにした作風かと想いきや、途中からはイケメン成分が強くなる。この感じはちょっと異質。敵として登場するこの4人もなんだかんだの末に悟郎に懐いて、悟郎は美男美女からもモテモテになる。

 四聖獣それぞれに運命のフィアンスがいて、それらはヒロイン12人の中から選ばれる。ご主人様ラブな12人かと想いきや、内4人はこいつらに持っていかれるのか、そう思うとちょっと複雑。推していたカメのアユミも四聖獣の女に選ばれているし。

 

 てなわけで、イケメンからモテちゃう感じもやや楽しめる汎用性高きハートフルハーレムものだった。

 

 一話の段階で無職になって人生の迷子になる悟郎だが、動物が転生した姿のヒロインズ達との共同生活を経て、ラストでは獣医になると道を決めて歩みだす。動物を愛した彼が進む道が獣医とは、なんとも良い進路ではないか。最終的には主人公の成長も見える物語だった。

 

 動物にまつわるヒロイン達が12人も揃って押しかけてくるという点から「フルーツバスケット」と「シスター・プリンセス」の美味しい所を合体させたような感じがした。

 アニメの他、ドラマCD、音楽CD、ラジオ、漫画など、広くメディア展開を行ったものだという。

 当時の世界を知らないのだが、キャラもお話も結構いい感じで私は好きだった。なんでもっと有名にならなかったんだろう。

 

 12人いるのだから、メインで出演する女性陣も当然12人いる。中には田中理恵千葉紗子野川さくら川澄綾子ら、後に一時代を築く当時の若手達の顔が見える。懐かしい時代のスター達。

 経歴で言うとちょっとお姉さん組に、ヘビのユキを演じる氷上恭子、ウサギのミカを演じるゆかながいる。なかなか良き布陣で臨んでいるな。

 氷上恭子川澄綾子シスプリにも出ていたな。

 

 ヒロイン達の前世が終わった時期から転生時期にも差があったのだろう。そんな都合から、登場ヒロインの年齢は実にバラけている。

 年少組ヒロイン三人を演じたのは、マジで当時ガキだった女優達。中には、まだ義務教育時代だった平野綾の姿も見られる。本作が声優デビューだったという。こんなチビッ子の時からやっていたのか。サルのモモを演じているが、声が若くてすぐには分からなかった。後にはあの涼宮ハルヒをやることになるし、今ではミュージカル女優だからな。大きく、そして偉くなったものだ。

 

 そんな訳で声優陣を見てもなかなか楽しい。

 当時絶賛売り込み中だった野川さくらは、ナビゲート番組やプレステソフトのCMにも出ている。あとは年少の三人組声優達も。

 DVDで見たら、ここら辺りの映像も一緒に入っているんだな。これは貴重な映像が令和時代まで残ったものだ。

 初代プレステ対応のゲームが出ているとは、中度のゲームコレクターの私も知らなかった。結構楽しいアニメだったので、今度どこかで探して買おうかな。

 

 ヒロイン達が皆揃って歌うOP曲が意外な出来で面白い。

「しっぽのある天使たち 全員集合12人」「6、3、3で12人」というバカでもなんとか行ける計算の歌詞とかは面白い。ちょっとええ歌やん。ハマる。

 

 もうひとつ意外な驚きなのは、脚本が岡田麿里だという点。今ではメジャーな人だけど、こんな昔からこんなところに顔を出していたのか。

 

 すげぇな。こんな世界が、こんな番組があったのか。この手のものだとシスプリとかラブライブが有名だけど、それだけじゃなかったんだな。

 中にはもう引退した女優もいるらしいが、アニメから20周年経ったことだし、伝説の12人集合とかないのかな。誰か集合かければいいのに。

 

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