「鬼武者」は、2023年10月にNetflixにて配信された全8話のアニメ。
1話はだいたい25~30分前後。各話でまちまちなタイムで統一感がない。
令和になって鬼武者か。しかもネトフリで。今期は地上波アニメがマジで多いから配信勢にまでチェックを入れるのが大変だったぜ。
忙しいけどこの鬼武者は見たかった。すっかり懐かしのタイトルとなった鬼武者がなんで今アニメなのか。そこも気になる。去年も何で今?なゲーム原作アニメとしてシェンムーが上がってきたし。
レトロゲーのアニメ化も案外良いものかもしれない。最近毎日のようにやっているゲーム世界もどきな異世界アニメよりはずっと楽しめた。
鬼武者といえばPS2のかなり初期のヒットタイトルだったという。これは我が家のお兄ちゃんが楽しんでいたので、プレイしているのを後ろから見たことがある。私は未プレイだけどね。
バイオはビビるから無理だけど、鬼武者ならイケる!そう意気込んでお兄ちゃんは1~3、その他鬼武者とつく派生作品も遊んでいた。
私がバイオのコードベロニカをドリキャスで遊んでいると、その横でお兄ちゃんは小さくなっていたものだ。基本的に怖いのはダメらしい。
それとこの夏に懐かしくなってPS2を引っ張り出して鬼武者をやったら思った以上に画面がガビガビでヤバいって言ってた。PS4とSwitch、それからスマホゲームで慣れたお兄ちゃんからするとPS2ではゴミ画質だというのだ。
マジかよ。私はもっとガビっているセガサターンを普通に遊んでいたのに。今になってもまだPSPで遊んでいるし。
そんなわけですっかり懐かしの鬼武者の今を見るぜ。
主人公はおっさんの宮本武蔵。思った以上におっさんが深まっている。
既にやり手剣士として色々やり尽くした感があり、戦いの中でも加齢による体の負担が見える所があった。
山道を行く中で一番強い武蔵が一番最初にバテていたのも印象的。寄る年波には勝てないと分かる。
あれ?こんなにおっさんだったっけ?ていうか敵が信長でこっち側はもっと若い武者って感じじゃなかった?アニメで武蔵をやっている大塚明夫がゲームだと信長役じゃなかった?ゲームと違くない?
どうやら違うらしい。武蔵も小次郎もゲームに出ているが、アニメとゲームとは結構違うらしい。
化け物討伐後に出る魂を特殊な小手に吸収してパワーに換える要素はゲームと一緒だった。
すごい田舎な山道を渋いパーティで冒険し、ボスに辿り着いたらしっかり討伐する。RPG的なクエストを片付ける内容だった。
疲れたおっさんだけど武蔵はめちゃ強い。剣豪の剣戟アクションは最大の見所。
で、ちょっと笑ったのがあんなにイカつい顔して強いのに吊り橋を渡るのが怖いということ。武蔵の意外な弱点を発見した。
恐らく高所恐怖症なのだろうけど、本人曰く高い所が怖いのではなく、足場が不安定な所を渡るのが危ないから慎重になっているとのこと。なるほど、上手いかわしかただ。
武蔵と旅を共にする連中の多くは同じ道場の門下生達で、その師範もいる。
元々は皆大変仲良しで、剣の道を共にしながら人生もエンジョイしていた。しかしある地点で思想が別れて離反、裏切り問題が出て悲しいことになる。
回想シーンでは師範も含めて皆楽しそうにしている。だからなんでこんなことになったんだと切なくなる。
この仲間達も個性的で好ましい。そして各員を演じる声優達がなかなか強いメンツで固定されている。
道場の仲間達に加えて僧侶の海全、途中の村で拾ってくる娘っ子のさよが加わる。
むさ苦しいおっさん達ばかりの中にさよがいることで視覚的に爽やかさが増す。マジでメインキャラがおっさんばかりだから女性キャラがいるだけでなんかありがたい。
ゲームの鬼武者でもおっさんの坊主とか不良ぽい兄ちゃんとかが仲間になって華がなかったような。そんな記憶があります。
さよが良かったな。今はガキだけど将来は良い女になるはず。
山道に詳しい、旅路の食事となるうさぎをハンティングできる、食える野草採取もお手の物、という観点からさよはサバイバル能力高きヒロインだった。素晴らしい。
さよ役は私が最近注目している山根綺。他のアニメではもっとアニメアニメした萌え声で挑んでいるが、ここではそんなにアニメ芝居せず、自然なそこらの人間て感じの喋りになっていた。だからすぐに彼女と気づかなかった。この現場の中だとかなり若いキャストになるのな。
旅の途中で仲間達が順に散っていくのも印象的。各員の散り際も見所として描いている。予想以上に険しい旅となったため敵味方含めて散って行く命の物語もあります。
鷹匠の五郎丸が一番愛嬌のあるヤツで好きだったけど序盤で散ってしまう。相棒の鷹も戦闘に参加して敵の化け物を蹴散らしてくれるのが格好良かった。鷹がサポートキャラとか良いな。ロックマンで鳥のビートが援護してくれるのを思い出した。
海全が灼熱の鐘をどかせるために燃え尽きながらお経を読むシーンにはグッと来た。鐘の中に捕まったさよを助けるためにめちゃガッツを見せたな。あそこは格好良かったっす。海全の形見の数珠を手にして旅を続けるさよの姿にもグッときた。
平九郎は一度は知りをまくって逃げようとしたが、最後は捨て身の毒の術を使って男を見せた。
男達の散り際にもドラマがあって良かったな。
強敵の吉岡三兄弟の襲撃を退けたら次には三姉妹も襲撃してくる。しつこいよ。
三兄弟と比べると雑に片付けられた三姉妹にちょっと笑った。
チャンバラシーンは気合を入れて作っていて格好良い。一話目冒頭からも武蔵VS戦う坊主軍団の大立ち回りが見れる。
化け物に体を乗っ取られたさよの両親の首をはねた武蔵の居合い切りがすごく鮮やかで格好良かった。抜刀術はチャンバラの華だな。
武蔵といえばラストバトルはやっぱり小次郎。
小次郎役の関俊彦は、同期のネトフリ枠「PLUTO」でもラスボスの声だった。今期はネトフリ枠で重要キャラを演じる縁が強かったのだな。
高倉健が小次郎を演じた大昔の武蔵の映画を見たことがある。あれみたいに船の櫂で武蔵が戦っていたのは印象的。あの映画も面白かったなぁ。確か内田吐夢監督映画だったかな。
敵の本拠地の地下に落ちたら例の木の船があって傍に櫂も落ちていた。急に船だから、これは作り手がそのシーンをやりかたってことなんだろうな。
武蔵は寺から鬼の小手をレンタルした時に、必ず期日を守って返すと言っていた。最終回終盤シーンではちゃんと寺に小手が戻ってくる。最後に約束は守られたんだなぁ。あそこはなんだか哀愁漂うシーンで良かった。海全が寺に戻れなかったのは悲しい。
戦いから生還したさよが、宿の湯を頂いて良い顔をしているラストには希望を感じた。今後彼女はきっと良い女になるだろう。
見やすい8話サイズでまとまっていて結構楽しかった。バトルも熱くて燃えたぜ。他のアニメもだらだら長引かせないで8話くらいでサッとまとまり良く終われば良いのに。このくらいのサイズだったらワンクールの視聴分がもうちょっと楽になるかも。
懐かしの和風アクションアニメを楽しむ良き秋になりました。
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