こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

世界を救え 光の聖石「RAVE」

「RAVE」は、真島ヒロ作のマンガ。

 週刊少年マガジンにて1999年から2005年にかけて連載された。

 コミックスは全35巻がリリースされた。

 

 GWが終わってちょっと経ってすっかりいつもの日常が戻ってきた。そう思ったところでRAVEを読み始めた。倉庫から出てきたからってことで懐かしくなって読んだ。

 RAVE、懐かしいぞぉ。タイトル読みは「レイヴ」なんだけど、同級生が「なんでラブじゃないの?」って言ってたことが謎に記憶に残っている。まずはそんなどうでも良い思い出が一つ。

 

 これはウチのお兄ちゃんが10巻くらいまで持っていて、それを読んだら面白くて続きが見たいぞ!となり、残りの巻は私が買ったという経緯で全巻が我が倉庫にピシっと揃っているのだ。

 これを初めて手に取った時には、ジャケットにデカデカと謎の生物 プルーが描かれていることからどんな内容か想像しづらない物だったと記憶している。初期の巻だと主人公少年のハルでなくプルーの存在をプッシュしたジャケだったんだよな。

 あのジャケだからぶっちゃけ最初はギャグものなのかな、「花さか天使テンテンくん」みたいな感じかなとか思ってページをめくったものだ。で、内容は清々しくファンタジー冒険だから意外だった。

 

 ていうかコレ35巻も出ていたのか。意外と長い。それに連載開始時だとまだ20世紀のマンガだったのか。もっと最近の作品なのかと思った。

 絵柄や大冒険感、あとはヒロインにナイスバディのおっぱいデカ娘が多くいることからちょっと「ONE PIECE」ぽいと言われていたような。ウチのお兄ちゃんもその他知人の読者も言っていた。

 

 アニメもやっていてそっちも楽しんだものだ。主人公のハル役が関智一で、ヒロインのエリーは川澄綾子が演じていた。マンガを読んでいても二人の声でセリフが聞こえて来る。

 アニメは原作の半分にも満たない所で終わっていたような。真島ヒロがコレの後に描いたフェアリーテイルはたくさんアニメをやって、今後また新作をやるっていうのにね。RAVEもまたアニメをやればいいのにってお兄ちゃんが言っていたなぁ。同じキャストでまた見たいかも。

 

 連載が終わってからもそろそろ20年が経過する懐かしのマンガを久しぶりに読んだら普通に楽しかった。なのでその感想とかを書いて行こう。

 

RAVE(1) (週刊少年マガジンコミックス)

内容

 世界は闇の力を発動させる魔石ダークブリングを有する組織「デーモンカード」に征服されつつあった。その魔石に対抗出来るのは、聖なる力を宿した聖石レイヴのみ。

 レイヴの力を操れるレイブマスターとして選ばれた少年ハル・グローリーは、ダークブリングを扱うデーモンカード軍団を打倒すべく大いなる旅に出るのだ。

 今ここに光と闇の聖戦が開幕する。

 ↑

 というのが簡単な流れ。

 

感想 

 いつからか定着した「腹減った~」から始まる少年ものあるあるをしっかり踏襲し、ハルくんも腹ペコ状態から物語がスタートする。よく言う腹減ったスタートの例にコレも含まれていたのか。覚えていなかった。

 読んですぐの感想がそれね。

 

 田舎島で元気にシスコンをやっていたただの少年のハルくんが、伝説の勇者的資格を得て世界中を旅する。大冒険ファンタジーの導入としては基本的だな。

 お姉ちゃん大好き男子のハルが「~って姉ちゃんが言ってた!」って言うアレは私の中でちょっと流行りました。いや~姉ちゃんがいないもんで。

 カトレア姉ちゃんは可愛かったしエロかったね。後にシュダとでぇきてぇる事になったのは意外だった。シュダがハルの未来のお兄ちゃんになるっぽいな。

 

 これを読んで忘れられないのが変な生物の存在。ハルの相棒の一応犬に分類されているプルーはじめ他にも変なのが出てくる。

 初手からぐいぐい来るのが、ハルの家の壁に張り付いた謎の植物のナカジマ。これは我が家でも人気でした。しょっちゅう出てくるわけではないのだけど、清々しくバトルファンジーをやっている中で異質過ぎるから記憶に残る。微妙にキモイところも面白くて愛せる。ナカジマは人気キャラだった。

 プルプルのゼリー状の謎生物グリフも印象的なキャラだった。

 プルーとグリフの古巣の仲間のてっぺいっていうキャラもツボだった。この作家はこういう気の抜けた変なキャラを描いて緩いギャグをやるのにも向くな。作者あとがきページとかでも本来はそっち系のフザケたノリが好きな人だと自己紹介があったくらいだし。 

 そっちの世界観を広げて描いた「プルーの犬日記」も後にリリースするが、あれも面白かった。

 

 RAVEでは清々しくファンタジーをやっていて爽快だ。最近の深夜にやっているフザケたファンタジークソアニメと比べるとこっちの方がスマートで清潔感があって心地よい。

 いや~良いわ。改めて真っ向からファンタジーを楽しむのも良いものだ。最近は隙があればふざける変なファンタジーが多めだから、私もちょっとひねくれファンタジー野郎になっていたのかも。そこへ来て一昔前の直球でまともなファンタジーバトルを見ると安心かつ安全に楽しめる。

 

 先代のレイヴマスターのシバじいさんに選ばれて2代目としてハルは戦いに赴く。

 冒険で目指すのは他にもあるレイヴ。集めて行く内にこちらがパワーアップしていくといういかにもRPGな要素には素直にワクワクしたじゃないか。

 レイヴマスターのハルはお供の犬 プルーと冒険を始める。世界を救うファンタジー冒険を犬とご一緒かぁ。あとは戦車にでも乗り込めば「メタルマックス」的世界だな。

 

 作品を象徴する武器とえばやはりテン・コマンドメンツ。選ばれしレイヴマスターが所持する剣である。先代のシバが使っていたのを受け継いでハルくんがぶん回します。

 コレは久しぶりに読んでも覚えていた。ベルセルクみたいなデカい鋼鉄剣だが、これが全10種に変形するからすごい。良いなぁコレ。10の変化を見せるテン・コマンドメンツの設定には夢とロマンと中2イズムがある。物語が進む中で徐々に種類が解放されて、次はどんなのが来るんだと楽しみになったものだ。

 爆発の剣エクスプロージョン、音速の剣シルファリオンとか効果も名前も中2的にワクワク来て良かった。シルファリオンの発動でハルがめちゃ速く走れるようになるのは、生活の中で実用性があって良い。

 使えば能力の強大さから所有者の方でやがてルーズコントロールになって暴走してしまう魔剣サクリファーなんてものも用意されている。10もあれば取り扱いがムズい形態も出てくるのも面白い。発想がユニークです。

 とまぁ全体的に中2イズムに満ちた爽快ファンタジーなんだよね。

 

 ハルの武器がパワーアップして技が増えて行くバトル要素にもワクワクしたが、敵が用いるダークブリングも使用者毎に能力がバラバラで面白い。種類ごとに色々な異能力が楽しめて良かった。色んなアイデアをぶっ込んでいるんだな。ダークブリングも全部でいくつ出たか覚えていないってなくらいたくさんあった。

 強いヤツが6人集まってのオラシオンセイス、シックスガードの勢力も中2脳に受けが良い要素だった。あの手のすごいヤツらが集まっている感じっていくつになってもワクワクするよね。

 

 ひとまず漢字表記した横にそんな読み方すんのか!てな中2的響きのカタカナルビを振っている中2フォーマットが見られるのも良い。やっぱりこのノリだな。我々が愛したファンタジー中2世界観といえばコレ。渋い漢字の横にちゃらついた中2読みを添えるこの表記の仕方に妙に安心を覚える。

 

 光と闇のバトルはいつだってワクワクとハラハラがあって楽しかったぜ。

 冒険も最初は田舎島から始まり、都会の街に攻め込み、次には空にも海中にも行くし、魔法都市や魔界にまで突っ込む。ファンタジーRPG的世界は一周している。

 人間だけでなく魔族、竜人、人魚、鬼族その他何でも化け物など種族も様々登場する。総じて楽しい。

 

 ハルの戦いの物語と共に展開するもうひとつの気になる展開がヒロインのエリーの記憶を辿る物語。

 ハルの冒険が始まって早々に出会う彼女は記憶喪失状態であり、長い物語の中でそこを解明していくのも面白要素だった。

 この可愛い子ちゃんに一体どんな大いなる謎があるのか。だんだんと壮大な事になっていくからエリーも重要人物。

 魅力的なヒロインが幾人が登場したがやはりエリーだな。このちょっと抜けたがところがある活発なギャル感は良い。完全に可愛いっす。

 

 作家の絵のレベルもスタート時からぐんぐん上がって、男キャラのイケメン度、女子キャラの美しさも目に見えて精度が増して行っている。コミックスで連続で読むとよく分かる。

 20巻くらいになるとエリーがすごい大人びて見える。ここら辺からレイヴの絵としては完成形を迎えたっぽい。序盤だとまだまだガキに見えるエリーがどんどん色っぽくなるから楽しい。実際このくらいの(10代後半くらい)ギャルは数年で一気に大人びて見えてくるからな。

 こうして益々女らしくなってくるエリーに恋する仕様の作品でした。ウチのお兄ちゃんも段々エリーが可愛くて好きになるって言ってた。まぁ分かる。

 

 RAVEを求める冒険を共にすることで、ハルとエリーのLOVEもしっかり育っていく。ここのラブな感じも良かったな。バトルばっかりが青春じゃないからな。

 ハルがエリーの頭を撫でるシーンで、お前髪サラサラなのな~と気づいて言っちゃうシーンとか印象に残る。あそこ、好きっす。ちょっとリアルな男女のお近づき感だよね。まぁ感じ方には経験による個人差ありかもだけど。

 最終回でエリーの記憶が戻ってハルと結ばれるハッピーエンド展開はやはり良かった。

 

 後半になるとハル達とデーモンカード軍団の戦いなんて小さい問題に想えるくらいえらいことになっていく。

 世界丸ごとをぶっ壊すくらいヤバい怪物のエンドレスの存在が明らかになる、エリーのすごい力のエーテリオンが発動するかどうかなど、人類同士で争うチンケな話を越えて騒ぎの規模がとんでもなくデカくなっていった。そこの所の問題がデカければデカい程ファンタジーだからな。そんなとんでも展開も楽しめた。

 

 最終戦で出て来た四天魔王なんて中2脳的にワックワクする布陣だったな。ビルくらいデカい剣を振り回す「永遠のウタ」ってやつは初見からずっと覚えていた。名前が良いよな。

 ハルと同じく10の姿に変化する剣を持つライバルキャラでラスボスのルシアも良いヒール感で印象的。

 エリーを気に入ってハルよりも先にズキュンとキッスをかっさらうルシアの言動はアカンやろ。あそこを読んだ時にはウチのお兄ちゃんも「クソかコイツぅ!」って言ってた。ウケる。ルシアはジョジョのディオと立ち位置が似てるよね。

 連載当時には無かったオタクが気軽に呟けるSNSとかがあったとしたら、エリーファンがルシアの悪口をクソほど呟いたのだろうなぁとかifの想像をして読むとやっぱりウケる。←今日も頭が緩い

 

 キャラだとジークハルトとシュダが好きだった。この二人はかなり人気があったはず。二人共ハルを助けてくれるけど、いつもパーティーに固定ではなく外部から支援してくれる大人な点がちょっと美味しかった。

 

 ジークはイケメンで強いから女子人気が一番くらいに高かったはず。

 シンフォニアの地にいる謎のガイコツの正体がジークだと分かるエピソードは良かったなぁ。思わずホロリと来る感じがあった。今回はかなり久しぶりに読んで結構内容を忘れていたのだけど、ジークの格好良さと最後を飾るあのエピソードは覚えていた。

 

 シュダは最初はモロに敵対しているけど、中盤からはハルの仲間になる。ドラゴンボールでいうところのベジータやピッコロ枠だな。ああいう枠は昔から好き。

 最初は敵でも次章からは仲間の熱いノリはいつの世の少年誌でも受ける要素なんだよな。

 シュダが久しぶりに出てきてディープスノーとその手下達を全消しするバトル展開は好きだった。

 あとあそこでシュダがぶっ飛ばした一人のレイゼンビーというアメコミヒーローみたいなおっさんキャラも好きだった。

 レイゼンビーが一時パーティーメンバーになって着いてくることになるのだが、それについて読者が「レイゼンビーはいらないと思う」って作者に意見していた内容が面白い。読者から作者に質問出来るコミックスのコーナーでそういう意見が出ていたのに笑った。

 

 他に心に残ったエピソードは、後半になってシバが再登場してからお亡くなりになるエピソードとレイナが亡くなるエピソード。どちらも悲しくて胸が締め付けられる想いになります。ウチのお兄ちゃんも同じ所で胸がシュンとなってちょっと泣けたって言ってた。

 レイナは人気キャラだったはず。あそこで退場は意外だった。死したレイナの意志を宿した銀槍をムジカが所持するというあのエピソードの落ちにはグッとくるものがあったぜ。 

 それからムジカは初期と再登場でなんで髪型が変わったんだと皆言ってたな。どちらのムジカも好きだけど。

 

 シバじいさんの「ぐもぉ~」ていう泣き声も印象的。

 リーシャにそっくりなエリーと出会ったことで、半世紀くらいに渡る長い冒険に終止符を打ったラストに泣けました。ギャグ要員のジジイのターンもあったが、最後は勇者の大いなる冒険の終着となって胸熱だった。

 

 それと作者の真島ヒロにも好感が持てたな。昔だったら全飛ばしだったおまけページも今回は全部読んだのだけど、作家あとがきの内容も結構楽しかった。作品愛などを語っていてそれを読むのも面白かった。結構読者と距離感が近い作家なのだなと分かる。

 

 大アドベンチャーで清々しき読後感。本作の良さはコレに限る。

 主人公のハルくんは気持ちの良い青年で良し。昨今のなろうファンタジーなんかを見るとキモい主人公が少なくないので、ハルくんのように気持ちの良いヤツがなんかレアい。イケメンだしそこも良かった。

 

 というわけで世紀末から始まったファンタジー冒険活劇が本日読んでも楽しいということが分かった。あとナカジマの「んふふ」って笑いがなんかクセになった。

 いくつになってもワクドキファンタジー冒険は良いものだ。来世ではハルくんみたいに綺麗なお姉ちゃんがいる家庭に生まれて「~って姉ちゃんが言ってた!」って私も言ってみたいと思います。

 ではそんな期待を持ちつつ、残った命を大事に生きて22世紀に突入しよう。22世紀に死すのが私の人生の終着点(の予定でほぼ確定)。

 

 

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