こしのり漫遊記

どうも 漫遊の民 こしのりです。

戦う交通安全!「激走戦隊カーレンジャー」

激走戦隊カーレンジャー」は、1996年3月から1997年2月まで放送された全48話の特撮テレビドラマ。

 

 東映さん公式YouTubeチャンネルで配信されているものをだいたい半年かけて視聴した。この半年間はカーレンジャーで楽しみました。とても面白かった。まずはありがとうと言いたい。

 もう次のメガレンジャーの初回配信も始まったところで、カーレンジャーの感想を殴り書いて行きたい。

 

 カーレンジャーは車がモチーフの戦隊シリーズになっている。現在放送中の戦隊シリーズ最新作 ブンブンジャーと一緒だな。古いけどブンブンよりも格好良くて面白かったっす。ブンブンを爆下げするわけではない。先輩としてカーレンジャーが偉大だったってことっすね。どっちも楽しんでいます。

 

 目立つ要素はとにかくコミカル。ていうかふざけていること。

 前作 オーレンジャーのシリアスバトル感はどこに行った?てなくらい全体的に緊張感が薄い異色のシリーズになっていた。当時だとここまでコミカルなシリーズは初めてだったのではなかろうか。

 

 いつものシリーズのように、まずは侵略してくる悪者がいる。それを迎え撃つため戦隊を結成して戦う。この構図は完備しているのだが、どうにもテンションが緩い。

 敵は宇宙を股にかける暴走族のボーゾック。奴らのやりたいことは、宇宙を暴走するのに邪魔な惑星を花火にして消すということ。マジで最低だな。ヒャッホーなノリでやることが迷惑集団過ぎる。

 後半になるとそのボーゾックを影で操っていたボスの暴走皇帝エグゾスが登場する。エグゾスの最終目標は、より快適な暴走が叶うよう宇宙規模のハイウェイを建設することだった。ちょっと聞けば交通環境が良くなって皆助かりそうと思えるが、所詮暴走族の楽園を目指すもので生産性に特化したものではない。スピード違反も交通事故も起こし放題の世界にするとのこと。やっぱりやっていることが最低だな。

 宇宙暴走族は総じて害悪。ハイウェイ化計画完成のためには、我らが地球も邪魔もの扱いされ、花火にして消すべく作戦が進められる。地球を花火にして爆散してしまうとか怖すぎる。でもここまで怖いことをやろうって割には間抜けに見えちまう。そんなオモシロ集団だったのがボーゾックの皆さんでした。

 

 ボーゾックによって母星を花火にされた宇宙人のダップが地球に逃げ込んで来て、激走戦隊結成のために動いてくれる。ダップはマスター・ヨーダをもっと若く可愛らしい感じにしたファンタジー生物のデザインで好きだった。

 なんだかんだあって決まったメンバーは、車の会社で働くただのサラリーマンというのが印象的。

 対害悪宇宙人用の特訓を受けたレンジャー部隊でもなく、異能力を持つ戦士でもないただの会社員のため、俳優を見てもザ・芸能人の感じはなく、一般人の感じがする。そこには親しみが湧きます。

 

 カーレンジャーメンバーは、ドライバー、製図担当、メカニック、経理、営業とそれぞれ役割は違っても皆同じ会社の仲間。

 初回の段階で給与が低いと皆さん愚痴っている。それぞれ月収20万前後の額だとリアルな数字を発表している。96年の会社員の給与事情が分かる点で勉強になる。これは決して多くはない額なのかも。しかし戦隊もので厳しい月収都合を主人公たちが言っているとか世知辛いし、無駄にリアルで萎える。

 この点についてウチの親に聞いてみると、当時だとそんなもんだったかもだが、自分はそこまで低くはなかったと言っていた。ちゃんと稼いで私にしっかり食わせてくれた親に感謝です。

 安月給の上にヒーローまでやるなんてキツすぎると文句を言うところから始まる戦隊なのがなんともリアル。確かにヒーローは無償のものだからな。

 そんな感じでまずカーレンジャーサイドがウダウダ言うし、ボーゾックサイドも地球を消すとは決めたもののダラダラして進行が遅い。どっちも行動に対して腰の入れようが甘く緩いのに笑う。

 こうして毎度あっちもこっちもバトルをするにしてはテンションが緩いことでギャグ要素が強い。そこが最大の面白みっすね。タイムボカンシリーズのあっちとこっちのやり取りをちょっと思い出しもする。

 

 カーレンジャーメンバーもユニークで5人のやり取りはほっこりして良い。

 おかしな丁寧語を使う土門 直樹、コテコテの関西弁の上杉 実はクセのあるキャラで面白かった。

 戦隊シリーズだと早々に敵側にこっちの正体がバレているパターンがあるが、カーレンジャーはなぜか敵に身バレせず長期間やってこれていた。普通に働く会社員だからってことで逆にバレにくかったのかな。

 

 バレていなくてどこの誰だか分からないことから、ボーゾックやシグナルマンが変身前のカーレンジャーメンバーを見れば「一般市民」と呼ぶのが印象的。概念としてはいつも傍にあるものだが、人に向かってそれを言うのを聞くのは意外と少ないワードかも。一般市民に寄り添うシリーズだったと言えよう。

 カーレンジャー、シグナルマン、ボーゾックの勢力構図の外にある者は一貫して一般市民というモブ扱いなのが何か面白い。

 

 一応6人目の追加戦士枠のシグナルマンもクセが強いネタキャラ感があり、キャラとして従来性に欠けるかも。カーレンジャーとはデザインも異なり、戦隊よりはメタルヒーロー感がする。大塚芳忠がコミカルに演じたシグナルマンも名物キャラです。

 基本は真面目で不良警官というわけではないが、結構ポンコツでトラブルも運んで来るのがシグナルマンの面白さだった。意外とトラブルメーカーだったかも。

 カーレンジャーともボーゾックとも揉めることで、迷惑な第3勢力になることもあった。初登場からさっそくカーレンジャーと揉めてるのも笑った。

 シグナルマンは宇宙を股にかけて暴走族を取り締まる警察官だから、カーレンジャー以上に戦う交通安全かも。

 あの感じでシグナルマンが妻子持ちという設定も嘘だろってなる要素。嫁の髪型がありえんことになっていて、まるでサザエさんのようだ。仕事と家庭、それぞれの場で戦うことから、会社員をやっているカーレンジャーと同じく彼にも親しみと哀愁を感じることが出来た。

 

 ロボットが格好良いのも定番の特徴。前作オーレンジャーの時からちょこちょこCGを使って迫力ある画像を見せてくれる展開が目立って来たが、こちらでもロボアクションや合体に当時としては進んだCGを使っていて素敵。このくらいの時代のCGって何か痺れるものがあるな。なんでだろう。

 

 後半から投入のVRVロボを運んで来たVRVマスターもイカしたキャラ性があって思い出に残る。全身真っ黒なボディスーツ姿で、小林清志の声がマッチするイケオジ感がある。

 でも地球でやっていることが散髪屋に行ったりパチンコ屋に行ったりで庶民的なのがネタっていた。ヒーロー側のゲストキャラなのに景品を抱えてパチンコ屋から出て来るのはシュールでウケる。中身がダップの親父だとは見抜けなかったぜ。

 

 敵のキャラが面白いのも強い魅力だった。敵サイドも好きになる。

 ボーゾックの連中なんて普段は宇宙暴走族の溜まり場のバーみたいなところでダラダラやっているし、地球に来る面々も観光みたいなテンションだから笑う。 

 ボーゾックの怪人が地球で買った芋羊羹を食ったらデカくなるという謎の設定も受ける。これって結局なんでそうなるのか究明がなかったような~。

「芋長」という老舗店で買った物のみ巨大化が可能で、そこらのコンビニの芋羊羹だと逆に縮小化してザコチビになる。賞味期限が切れて鮮度が落ちたのを食うとちゃんと体調を崩して弱体化する。このように羊羹でステータスの上げ下げが決まる体質なのに笑う。

 ラスボスのエグゾスだって古い羊羹を食わせて弱らせていたし。羊羹無しには語れない作品だな。

 定期的に芋長に買い出しに行くメンバーがいるのも笑う。略奪とかでなくちゃんとレジで金を払って買っている悪者という風景もシュールで笑えた。

 

 ガイナモ、ゼルモダ、グラッチの悪役レギュラー3人衆が愉快。この3人は見た目はきっちり悪者ぽいけど、どうにも憎めない良いキャラをしていた。

 それぞれ良いキャラデザをしていて、従来の幹部怪人とは異なる珍しいデザインだったかも。アメコミキャラの感じもあった。

 ガイナモのゴツいデザインは良い。顔の周りになんか被っているあのデザインの発想はナイス。おふざけキャラなのに無駄にデザインがイカしていた。

 被っているといえばもっと全身に被り込んでいるのがグラッチ。玉子みたいに見えるグラッチはシルエットからして面白い。

 ゼルモダは顔が悪すぎるだろ。絶対に悪者の顔で笑う。

 

 毎度のゲスト怪人もやはり間抜けな面白軍団に仕上がっている。

 とりあえず全員暴走族ではあるらしいが、その上で「ボーゾックの〇〇」のように、得意分野を活かした通り名と立場を持っている。意外と芸達者が集まっている模様。敵戦士が何かの達人だらけという点から「快傑ズバット」を思い出す。

 中には「ボーゾックの植木職人」なんていうまともそうな能力持ちもいる。毎度色んな達人が出てきて笑う。

「ボーゾック一の探し物名人」とかもう探偵じゃん!とツッコんでしまう者もいる。そんな感じでツッコミたくなる要素持ちが連続して行く。

 一番笑ったのはガリ勉怪人で「ボーゾック一偏差値が高い」という触れ込みのヤツが出てきたこと。もう暴走族じゃないやんけ!なヤツも多数出てくる。

 とりあえず皆バカそうで毎度なんか楽しい。良いことです。

 

 この荒くれたバカ者共の中で光り輝くのが悪役ヒロインのゾンネットちゃん。現在の戦隊モノでは出せないようなセクシーな格好で出てくるギャルです。こちらも良い感じに頭が悪そうでノリがよく、そしてセクシーなので目の保養になりました。多感な童貞が見るには、彼女の存在だけがやや危険です。これから見る童貞ユーザーはそこのところに注意。

 掃き溜めに光るセクシーギャルを置いたこの布陣は面白くて良いものでした。

 そのゾンネットちゃんも不良をやっていただけで、実は良いところのお嬢様だと後に判明する。後半では光のヒロインとして楽しむことが出来た。プリキュア用語でいうところの光堕ち枠かな。

 ちょっとずつ進んでいくレッドレーサーとゾンネットちゃんの恋物語にも注目でした。

 

 ラスト2話の最終戦はさすがにちょっとくらいの緊張感があった。

 ボーゾックがカーレンジャー達の会社に殴り込みをかけてきて、爆弾で全部ふっとばしてしまうのは痛手だった。会社が爆破されて自分達の働く場を無くしてしまったじゃないか。これは酷い。

 会社が無くなったところでエグゾスも攻めて来て、今までで一番地球が危ないことになる。ここでエグゾスを倒しておかないと地球も宇宙もヤバいとなり、カーレンジャーとボーゾックがまさかの共闘戦線を張ってエグゾスに対抗する流れは素晴らしく熱い。

 それまでずっとコミカルにやってきたけど、巨悪を前にこれまで争っていた勢力同士が手を取るとかオタク的に熱くなる展開で良し。

 

 エグゾスを倒す最終戦は格好良かった。先にロボ戦でラストはロボを降りてカーレンジャー5人で戦って勝つ。良きラストバトルだった。

 とても良い最終回だった。ボーゾックも地球で暮らすようになり皆平和にフィナーレで良かった。ガイナモは焼肉屋を始めて、ゼルモダ、グラッチは小学校に通い始めるというまさかの落ちにも笑った。

 

 笑えるギャグや羊羹の要素が面白い異色なシリーズとなったが、これはこれで新鮮で良かった。まさかこういう作風だとは思わなかったのでビックリ。長いことシリーズをやっていればこういう変わったのもあるのか。古い戦隊シリースも良いものだ。

 交通安全にも注目した作品なので、毎度の次回予告では交通ルールも教えていた。この点は子供に向けて教養があって良いです。これからも交通安全を心がけて東映特撮を楽しもう。

 あと芋羊羹が食いたくなる作りの作品だったので、ちょっと買って来ようかなって思います。芋羊羹って美味いよなぁ。芋羊羹の良さもプッシュした素敵な作品でした。

 

 

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