こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

猫の目から見る優しい物語「彼女と彼女の猫 -Everything Flows-」

彼女と彼女の猫 -Everything Flows-」は、2016年3月に放送した全4話のテレビアニメ。

 

 一話が7分、8分くらいしかないので、全話通しても30分くらいあれば見終わることが出来る。本放送をたまたま見ていたのを最近になって思い出し、もう一度見たくなって視聴した。忙しい生活の合間にサクッと見れるサイズなのが助かる。サクッと終わる割には心に響く良いストーリーとしてまとまっているので、個人的に好きな作品だった。とにかく絵も世界観も綺麗な物語だった。彼女も猫も可愛いので癒える。

 

彼女と彼女の部屋

 

 タイトルにある通り、メインで登場するのは可愛いヒロインの「彼女」、そしてそんな彼女が拾って来て飼っている猫のダル。

 実家を出て都会でひとり暮らしをしている若い女子の生活を猫の目を通して覗き見しているような楽しい感じもちょっとだけあったりする作品だった。

 就職活動中の学生の身であるヒロインが、鏡の前で会社面接の練習をするシーンにはリアル性が見られた。こういうことをしている求職者はきっといるだろう。あちこちの会社面接に落ちて心が弱る様などは、多くの視聴者から共感を得られるものだったと想う。 等身大の女子の一面が見える日常シーンが良かった。とにかくヒロインが可愛かったので見ていて癒やされた。

 

 シングルマザーとなった母が、新しい旦那さんと新生活を迎えやすくするためにも早くに実家を出たヒロインの母親思いな点が見えるのが良かった。母を大事にすることを心がけて生きている私としては、好感が持てるヒロインだった。しかし、母を思っての行動が愛の行き違いにもなり、親子間にやや亀裂が入る展開も描かれていた。複雑な関係性の中でリアルにありそうな問題を扱っている点が良かった。ダルが受話器を上げて実家の母に電話したことがきっかけで、親子仲が戻る展開は美しいもので好きだった。やはり親子は手を取り合うのが望ましい関係だと言えよう。

 

 人間社会で色々苦労する飼い主様を一心に愛する猫のダルの真心がよく分かる語りは聴き応えがあるものだった。猫と人間では与えられた命の時間が違う、だからこそ二つの命が重なり合う時間が愛しいと感じているダルの叙情的な語りは心に響くものがある。

 10歳の老猫になった現代と子猫だった過去とで声の調子を変えて語るダル役の浅沼晋太郎の演技が良かった。ヒロインの彼女は花澤香菜が演じていたので、ここでゼーガペインのメインキャラ二人を演じた役者の共演となったのも嬉しかった。

 

 安らかに眠りにつくダルを描く後半は悲しい展開になっていた。しかし、運命の輪を巡ってまた大好きだった彼女に出会うというファンタジックにしてロマンティックな最後は爽やかなもので感動出来た。最後に出てきた白い猫は、作品監督である新海誠その人が声を当てている点もエモくて良かった。

 

 主人公ヒロインとルームシェアしていたけど、男を作って早々に出ていってしまう友人女子のことも忘れられない。私の推しの矢作紗友里が演じていたので友人にも注目してしまった。

 

 これといって大きな事件が起きる訳ではないが、ありふれた生活の中で幸福を拾っていくという平和なストーリーは心を癒やすものだった。忙しい社会の中でちょっと一休みして視聴するには良い要素が詰まった良質な短編ストーリーになっていて良かった。

 

 

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