ちょっと前には桜が舞っているぜと想っていたのに、気づけば2021年も夏が迫っている。
未だ混迷のコロナ時代からの脱出とはいかず、数年前と比べると世の中が色々おかしいことになっている。だがしかし、世の中がどうであろうがアニメという文化は不朽にして不滅なものなのだ。アニメを見るという私の生き様は変わらない。変わらないままに今期もテレビでたくさん垂れ流されるアニメ共を時間と体力の許す限り見尽くした。
今期もあるわあるわの各ジャンル作品。相変わらず数が多い。
アニメってのは本当にピンからキリまであるものだ。楽しいものは楽しく、つまらんものは見ていてマジでキツイ。今期もレベルで言うと肯定様々バラつきある作品郡が連なったが、とりあえず乗ってしまった船なので、一話目を見たからにはどの作品も完走した。趣味とは別に、一旦手を付けならなるたけ最後までやってしまいたいという質の人間なのである。
特定の作品を持ち上げる際、その良さを他と比べるため、引き合いとして別作品の名を出すことがよくある。そこで引き合いに出した作品の下げコメを行うのはよろしくないことだが、それでも言わせてもらおう。個人的に今のところ年内1位の熱い作品となったのは、前クール放送の「ウマ娘プリティーダービー season2」。コレと比べるとどうしても新しく視聴した4~6月放送アニメは見劣りする感じもあった。まぁウマ娘の存在がこの世に無かったとしても、普通に見てクソだったものもあったけど。そんな感じでウマ娘ロスを未だ引き摺りながらも駆け抜けた春クールアニメの振り返りを行おう。
- バック・アロウ
- 異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω
- 擾乱 THE PRINCESS OF SNOW AND BLOOD
- えとたま ~猫客万来~
- カードファイト!! ヴァンガード overDress
- SSSS.DYNAZENON
- 灼熱カバディ
- ましろのおと
- ゴジラ S.P <シンギュラポイント>
- Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-
バック・アロウ
エルシャとアタリーって可愛いよな。あとはプンスカしてギャンギャンうるさいレンもこれはこれで好きになるヒロインで良かった。てなわけでまずヒロインが神々しい作品だった。
信念がテーマになっているロボバトルものだが、その中で信念なき信念やとにかく人まかせで行く信念もあったりして一口に「信念」と言っても多様化を極めていると分かる。
後半クールではバック・アロウは一体何者なのかという肝心要の真実に迫っていく。政治が絡んだ世界の闇も見えたりしてスリルに事欠かない展開が最後まで楽しめた。ラストバトルのテンションの高さは嫌いではない。
三木眞一郎の声は好きだが、悪者のルドルフがとにかく嫌い。こいつはムカつくボスキャラだった。
フィーネ姫の淑女の一面、暴れ者の一面をそれぞれ異なる芝居で見せた小清水亜美のナイスな働きぶりは印象的。同じくジジイと若返った姿とで二面性ある芝居を見せたゼツ役の堀内賢雄も良い味を出していた。声優の芝居が良く、集まった面々も豪華で良かった。
美少年の村の存在にはウケる。今期では本作と同期放送アニメ「美少年探偵団」で美少年要素の補充が出来たことだろう。
異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術Ω
これは地雷タイトルだぞぉ!と思って一期を見たのがもはや記憶の彼方だったのだが、彼方より記憶を引っ張り出して色々思い出す。そして二期も元気に視聴。
主人公が魔王口調でないと人前で話せないという愉快なコミュ障、あとはそこそこエッチだったくらいしか一期の記憶がない。まぁ二期でもそんな感じだったけど。
この主人公みたいな感じのヤツが会社面接に来たら痛いけどちょっと面白いかもしれない。
それにしてもまさか2期があるとは……。22世紀まで待っても続編は無いと思っていた作品が、ここへ来ていきなり新作をやると知ってビックリ。
まずはタイトル、そして中身がこんなのだから、親の前で見るにはかなり神経を鈍感にしてかからなければならない。なので、親の目の届かない場を地球の端っこに見出し、そこでこっそり視聴した。
こんな感じで作品を見るにあたっての想いは色々あったものの、中身については大した感想も言えない。見終わってたくさん感想が出てくるようなものでもないと思う。
1クールものにしてはやや短めの全10話放送だった。1クールフル放送ならもう2、3話あるところだが、この作品に関してはここから数話続きがあったらきっと疲れる。少し短めの放送で良かったかなって感じ。
OP、ED曲は、意外な布陣で臨んだご機嫌ナンバーになっていて悪くなかった。
追加キャラのルマキーナはじめ据え置きキャラまで、とりあえずヒロイン達が可愛かったのが一番の想い出かな。
擾乱 THE PRINCESS OF SNOW AND BLOOD
今期はコレと「MARS RED」が古風にして和風なアクションものとして楽しめた。
コレは個人的にかなり好きな作品だった。
まずは絵が美しい。主人公の雪村咲羽は美しきヒロインで、私の「今期アニメベストヒロインランキング」のかなり上位に食い込んでいる。悲しみを背負い、戦いに心が疲れた感じが色っぽいヒロインだった。髪を上げた時、降ろした時、それぞれが可愛いのも良かった。
咲羽を演じた三森すずこの演技も良かった。改めてみもりんの芝居が好きだと思える。同期放送作品「オッドタクシー」では、人気アイドルの役を行い、主題歌でもアイドルみたいな曲を歌っているのに、こちらではテンションが大きく異なりシリアスでクールな芝居を見せてくれた。この二面性ある演技の魅せ方が出来るのが格好良いぜ。とりあえずみもりんを推したい。
もう一人のヒロインとしてキャラが立っていた花風エレーナを演じたRaychellの低い声での芝居も良かった。バンドリの時とは全然違う芝居だったが好きな声だ。一見冷たいようで実は思いやりのある良い女の面も持っているエレーナのややツンデレな所が見えるのも良かった。
ロリヒロインの浅陽も愛らしく、咲羽との姉妹感に萌えた。咲羽が人間らしくあるための最後の砦になった浅陽の重要ポジにも注目出来る。
闇の世界に生き、一度は気質に戻ろうとするも、それでもやはりまた闇に引っ張り込まれる。そんな感じで終始雪村咲羽の運命は悲しく厳しいものだった。この作品はとにかく全編に渡って「悲しみ」が散りばめられている。ゆえに美しく、見応えがあった。
異能の力を用いる変身バトルヒロイン要素もある闇の稼業がテーマの作品だった。主人公が悲しみを背負う女戦士ということからアニメの「デビルマンレディー」のような感じもある。バトルシーンも格好良く描いていて楽しめた。
最終回は美しく、悲しく、そして終わり方が格好良いというわけで印象に残る。
やっと人の道に戻って浅陽と生きていけそうだったのに、最後の最後で咲羽は追手に処刑されてしまう。お姉ちゃんが死の淵にあるのに気づかず楽しく話しかける浅陽が描かれるのが可愛そう。この後はさぞショックだったことだろう。
美しい進化を遂げた17歳の浅陽が力強く人生を歩む姿を描いたオチのシーンは格好良かった。
悲しいけど深いドラマありの見応えある作品だった。たまにはこういうシリアス強め作品も悪くない。
えとたま ~猫客万来~
懐かしい。テレビ版が終わってから順調に日々が過ぎ、程よく記憶も薄くなって来た時にまさかの新作到来。これの新作がまた見れるなんて全く予想外のことだった。でも嬉しい再会だった。前作も結構好きで楽しく見ていたんだよな。単発SPでなく、また1クール分やってくれても良かった。
とにかくキャラが可愛い。主役のにゃ~たんがちょっとデジコっぽくて可愛いと思って見ていたと思い出す。そういやデジコも令和になってリブートすると聞いた。嬉しい限りだぜ。
同じく十二支をテーマに盛り込んだ作品「フルーツバスケット」が調子良くファイナルシーズンに入って大変盛り上がりを見せている。そんなフルバファイナルと奇しくも同期放送になったこの巡り合わせにエモを感じる。
新作ではとにかく十二支の皆が仲良しこよしで萌える日常が見られて良かった。
久しぶりに見て気づいたけど、花守ゆみりってコレに出てたんだ。テレビ版放送時だと無名に近かったのではないか。当時は気づかなかった。
のんびりな日常シーンだけでなく、ちょっと変わったバトルシーンもあって楽しめた。
にゃ~たんを愉快に演じたりえしょん(村川梨衣)のうるさい芝居も好きだった。
カードファイト!! ヴァンガード overDress
ヴァンガるのを止めて久しい中視聴。このシリーズってまだやってたんだ。
たまたま見たら絵がとても可愛い!と思えた。それだけで来週も見ようってなって今に至る。
ルールとかは良く知らんけど、なんか楽しいので毎話視聴。
男子主人公のユウユは、一話目から女装した男の娘として登場。まさかのサイドからヴァンガってくるから侮れない。
とっても可愛らしく、どうしようもなく懐かしいキャラデザに既視感があったのだが、それもそのはず。なんとCLAMPさんがキャラデザ担当していた。平成からずっとお世話になります。
ヒロインのメグミ、お巡りさんのトマリの二人のヒロインが可愛い。
家でのお嬢様姿とダンジ達がいる夜の遊園地に来る時で衣装と髪型が大きく異るメグミのイカす二面性がそれぞれ楽しめて良い。
最初はもっときっちりしたお姉さんと思ったトマリは、意外にもパワフルで都会的。ラブにおいては過激なアプローチも行うようでドキドキするヒロイン性もあって良い。演じた遠野ひかるは「SHOW BY ROCK!!」シリーズや「ウマ娘」でぽわぽわしたアホの子の役を演じていたけど、トマリの芝居はそんなイメージが変わるものだった。こういうはっちゃけお姉さんの芝居もイケる役者なのだと思えた。
ヒロインに萌えな要素アリだけど、ユウユとダンジの関係に微々たるBL要素を見ることもあり、これも意外な仕掛けだった。
SSSS.DYNAZENON
来た!グリッドマンに続きSの多いアニメ。実写グリッドマン、アニメ、そして次のコレとよくぞここまで企画の幅を広げたものだ。ありがとう。
今作もなかなか楽しいことになっていた。ヒーローや怪獣と戯れる青春はやはり楽しいのだ。
まずダイナゼノンが格好良い。そして今回もヒロインが良い。
メインヒロインの南 夢芽が可愛かった。今どき流行りのダウナー系女子ってやつか。ちょっと影があってなんだか気だるげな従来メインヒロイン感を外したこの感じもイケる。夢芽の印象的なセリフ「なんとかビーム」はウケる。
太もも女子にして敵側ヒロインだったムジナさんも色っぽくて良かった。ぶっちゃけムジナが一番好きなヒロインだったな。ニートのくせに女店長やムジナさんとお近づきになれた暦くんは勝ち組。女店長も良かったな。
追加キャラのナイト、2代目のコンビは、グリッドマンから参戦のキャラっぽいよな。2代目はかなり素敵なレディになっていた。
蓬くんは母親の再婚、夢芽は姉の死、暦くんはニート生活、ちせは登校拒否、こんな感じでメインキャラ客員が持つ厄介な青春の問題に突っ込んでいく展開も印象的だった。やや社会性も見える青春群像劇が楽しめた。
胸熱くなる戦闘パートも良く、同じく胸熱くなるOP曲、ED曲も良かった。
最終回ラストの平和な文化祭、その中で見える蓬と夢芽のラブな関係には思わずニヤけてしまう。
最終回で蓬くんが口にした「自由でなく、かけがえのない不自由を手にいれていく」の考えはまさに青春の模範解答。そうであるべきだ。良い言葉だ。口にしたことはないが、我々もこの概念を胸に抱いて今日まで生きてきたと改めて実感出来る。
なんでもない少年だった蓬くんが、戦いと仲間達の出会いを経てこのような素晴らしき答えに辿り着くまでの成長が見れた。ええやん。青春が弾けておる。今キミが必要なんだよ~って言いたい作品だった。
灼熱カバディ
これはジャンルとして新しい。そして面白かった。
名前は聞くけど中身はまるで何か分からないスポーツ「カバディ」を題材にした青春物語が楽しめた。
カバディって熱い!そして面白い!と思えるカバディ布教アニメになっていた。
思えばカバディの存在を初めて知ったのは、その昔「銀魂」を読んでからのことだった。新選組の山崎が任務そっちのけでカバディを楽しんでいるシーンがあり、その時にやたらと「カバディ」と連呼していて笑った覚えがある。これがあったから山崎のせいでカバディと聞くとネタ要素ありの何かというイメージが固まってしまった。しかし、この作品を見るとビックリ!しっかり灼熱できるガチスポーツだった。「卓球娘」に続き冠に灼熱をつけて偽りなしの熱いアニメだったぜ。そういやムネムネ先輩、元気してるかな。
カバディを知らない人間が山程いることを想定した上で、プレイ中にしっかり説明を入れてくれるのは助かる。毎話お勉強になる。頭と体、人間の力だいたい全部を使って取り組む奥の深い競技だと分かった。
主役の宵越の持つ強者ならではの孤独と鬱憤が描かれる点が印象的。サッカー部監督が宵越をゲイだと勘違いする序盤のおふざけは面白かった。
初回のみでさっさと引退したっぽいけど、覆面動画配信者時代の宵越も面白かった。配信者としての宵越しの青春もそれはそれで面白そうなのでもう少し続きが見たかったぜ。
ワンパンマンのサイタマ以来の愛せるハゲキャラ畦道も好きなキャラだった。畦道に彼女がいたのが意外。
他メンバーもキャラが立っていた良かった。あとは声優陣が豪華だった。
女みたいな男部員なら入って来たけど、マネージャーとかのヒロインは封印で行くスタイルだったんだな。スポーツものは硬派にという考えも分かるが、ヒロイン無しの男まみれの暑苦しい青春は寂しい。ヒロインがいればなとも想った。
視聴後には試合中の掛け声「カバディ、カバディ」と相手にヒットした時の「ストラゴォ~!」のセリフが呪文のように脳に刻まれてしまい、思わず私生活の中で言ってしまう。この点には気をつけよう。
ましろのおと
「この音とまれ!」的な和楽器と青春を融合させた素敵な物語が楽しめた。
今回は津軽三味線を弾く高校生達の物語を描いている。演奏シーンでの三味線の音も良い。
主人公澤村雪の強めな訛り言葉は聞いて心地よいものだった。上京後にお水のお姉さんの世話になって暮らす雪くんの青春はなかなかにスリルがあるものだった。
ヒロインが多めで皆結構好きになる良い女達だった。携帯音楽プレイヤーでおばあちゃんが歌う思い出の歌を聴いている朱利は可愛らしく、メガネポニテの結も萌えだった。キャバ嬢みたいなキャピキャピ感のある顧問の先生も可愛い。強気な三味線女子のマイマイも良かった。おにぎりをくれる下宿先の小娘も可愛い。そして女優をやっている雪くんのママのキャラが強烈過ぎた。
主人公が大会に負けて終わってしまうので、勝利を掴むのが見れる次作があるのなら期待したい。
ゴジラ S.P <シンギュラポイント>
チビの頃からたくさん見てきたのでゴジラが大好き。なのでとりあえず見てみる。
まず言えることは、お話が小難しい。インテリキャラが復数登場し、高等学問を用いた理論をかます展開が印象的。高等学問を説くにはとにかくべらべらと長い喋りが必須。というわけで登場キャラもまぁべらべら喋る。セリフが多いんだな。難しいことを見やすくってことか、スマホ画面にセリフがそのまま出てきちゃうシーンはシュールで印象的。オタクには頭が弱い者が少なくない数いるのだから、あんまりそっち路線で攻めると参っちゃうだろうとも想う。
ゴジラでなくても良かったのかもってくらいゴジラがいないところで人間たちたがあれこれやっている。ゴジラ登場までなかなかの期間溜めに入るし。ゴジラアニメを見たはずが、何か別のものを見た感じもしなくはない。
こういう事がやりたいんだっていう造り手の好き勝手感は見えた。その点は潔い。この心って物事を作る上で結構大事。
ラドンが大量発生してありがたみが薄れる。令和時代にまさかジェットジャガーがテレビで見れるなんて全く予想外のことだった。怪獣が暴れまわるシーンは迫力があり、画は綺麗だった。
キャラデザは結構好き。ヒロインの神野銘だが、前頭部にちょんまげを作っていつも厳しい表情というヒロイン性はちょっと変わっていた。メインの子がこの感じなのは珍しいが、個人的には好き。
小岩井ことりが演じた出来るOL感のあるスーツ女がセクシーで良かった。
最終回ラストシーンを見るに、どうやらメカゴジラを作っているようだ。次はメカゴジラが出る続編でもやるつもりなのか。その時までにまたジェットジャガーを用意してもらいたい。我が家でジェットジャガーのウケが妙に良いんだよな。次作に期待しよう。
Vivy -Fluorite Eyeʼs Song-
主役のヴィヴィが美しい。物静かでクールなヒロインを演じる時の種崎敦美の声はとても良い。
ヴィヴィの相棒マツモト役の福山潤は、シンカリオンZでもロボの声をやっていたな。今期は福山潤のロボ芝居が楽しめたクールだった。
人間社会にすっかりロボが定着したSF世界で巻き起こる騒動を描くもので、ちょっと難しい点もあるかもしれないが、まぁ楽しめた。
歌姫ロボのヴィヴィが持つ行動理念のファーストプライオリティは、歌で人々を幸せにすること。ピンからキリまでいるたくさんいるシンガー達皆が持つ願い、それであってそれを実現出来るのはほんの一握りである。そんな一握り分の願いを叶えるためステージで歌うヴィヴィの生き様は潔く可憐。うん、萌える。
ただ歌うことで人を幸せにし、イコールして己の幸せも掴みたかったヴィヴィが、なんだかんだあってバトルバトルのスリルありまくりな日々に追い込まれて行く。その模様にハラハラするものがあった。
女子ながらもヴィヴィがやってのけるアクションシーンは格好良い。
たまに絵柄がノーマルを離れ、妙にリアルで艷やかなタッチになる表現の緩急も特徴的。
歌姫とは多くの人々の心の支えとなるかけがえのないものだ。そんな月並みにして無難な意見を言ったところで感想の締めとしよう。良いアニメだった。
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