こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

二人の柳生十兵衛が美しい「十兵衛ちゃん2 -シベリア柳生の逆襲-」

十兵衛ちゃん2 -シベリア柳生の逆襲-」は、2004年1月から3月にかけて放送された全13話のテレビアニメ。

 

 前作から約5年も経っての2期である。かなり間を開けての2期となっているが、シナリオやアニメーションのクオリティも上がって全体的に良い出来だったと思う。

 初見だと、サブタイトルのシベリア柳生ってマジで何それ?ってなる。そんな感じで入りから気になる二作目だった。

 

 今作から主役の十兵衛ちゃん役が、小西寛子から堀江由衣に変わっている。他のキャラも声優の交代がちらほら見られる。

 堀江由衣推しなので、まだまだキャリアが浅い時分の彼女の若い声が聴けたのが嬉しい。彼女が歌うED曲も要チェックや!

 挿入歌を担当した岡崎律子の声も懐かしくて良かった。

 

十兵衛ちゃん 2 DVD-BOX 2

 

 前作では、300年続く柳生と竜乗寺の勢力抗争を描いた。そして今回も、実はもう一つあった300年に続く柳生のいざこざが描かれる。

 柳生には「江戸柳生」と「北柳生」という派閥があったことが明らかになる。柳生十兵衛がボスだった江戸柳生の方がメジャーであり、派閥として弱っちかった北柳生は隅っこに追いやられた末、シベリアで細々とやって行くことになったとか。シベリアに本拠地を構える北柳生改め「シベリア柳生」の勢力が、二代目柳生十兵衛である菜ノ花自由を狙って攻め込んでくる。という新たな面倒が描かれる。

 シベリアに暗躍とか、そんなところに隠れて300年もやって来たのかよと思ってしまう。世界のこんなところにもまだあった300年の燻りのアイデアは意外性があった。

 

 ここに加えて、もう一つの勢力が、柳生十兵衛の本当の忘れ形見だった柳生フリーシャである。十兵衛ちゃんの持つハート型のラブリー眼帯に対抗して、フリーシャはスペードの眼帯をつけて変身する。主人公と同等の力を持つライバルキャラを出した点は、新たな面白みとして評価出来る。

 転校生として十兵衛ちゃんの学校にやって来るフリーシャもまた「ぽちゃぽちゃのぷりんぷりんのぼんぼーん」である。やはりコレが二代目の条件としてはずせないものになっているようだ。

 真の二代目は自分だと言ってフリーシャは十兵衛ちゃんのラブリー眼帯を狙ってくる。勝利してラブリー眼帯を手にした方が真の二代目というこの展開には、創世王の座をかけて戦う仮面ライダーBLACKとシャドームーンぽい関係性が見えて燃える。

 

 物語の中では、前作から一年の時が経っていて、十兵衛ちゃんは進級して普通の女子中学生の生活を送っている。しかし、シベリア柳生、単独で動くフリーシャの襲撃によって、いやいやながらもまたラブリー眼帯で変身して戦うことになる。

 今作では、鯉之助の息子の鮎之助が十兵衛ちゃんにラブリー眼帯を渡す使者として現れる。アイツに息子がいたのか!とビックリである。

 

 十兵衛ちゃん、フリーシャの二人の二代目柳生十兵衛、そしてシベリア柳生残党の三つ巴合戦となる点がポイントとなるシリーズ二作目になっている。

 

 十兵衛ちゃんが普通の女子から柳生十兵衛に戻るのと同じく、一旦はゴーストライターを卒業した十兵衛ちゃんのお父さんもまた、なんだかんだの末にてゴーストライターに再就職する流れになっている。親子揃ってリブートな話になっている。

 ゴーストライターの父の編集として御影が同居することになり、彼女がレギュラーキャラに昇格している。おっぱいが大きい色っぽい人妻である。

 御影の存在にドキドキしながらゴーストライターをするお父さんだが、御影にはゴツい旦那がいるので、こう考えるとイケない関係にも思える。

 

 重きテーマとして、やはり菜ノ花親子の家族愛が取り上げられている。そして今作ならではの見どころとして、二人の十兵衛の衝突、それを越えた女の友情も描かれている。これら二点は清きテーマとして光るものがある。

 自分の素性を隠してターゲットの十兵衛に接触する中、十兵衛ちゃんの底抜けな優しさに触れたフリーシャが精神的に苦しむ点は印象に残る。十兵衛ちゃんってめっちゃ良い子やん。だが、どうしても戦いたくないことから、またまた大事なラブリー眼帯を自ら手放す、捨てるという行為に走るのはいい加減危ないと気づいて欲しい。

 

 変身する前の二人は可愛く、変身後は格好良く美しい。眼帯で変身後のフリーシャはイケメン。ハート眼帯に対してスペードの発想は面白い。クローバーもダイヤも出して、眼帯変身バトルものとして三期まで広く展開すれば良かったのにとか思ったりもする。

 

 チャンバラバトル描写は前作よりも迫力があって良かった。十兵衛ちゃんや御影が激しく負傷するなど、前作よりも激しい戦いが描かれる。

 まだ20世紀放送作品だった前作と比べ、21世紀に入った今作の方が作画力が上がっている。

 

 今回でもギャグパート要員としてバンカラトリオが登場。そこに前作でボスキャラ格だった竜乗寺四郎も一緒になって盛り上がっている。前作で重要所を持っていったキャラとは思えないくらいに雑な扱いを受け、キャラ崩壊が激しかった竜乗寺四郎だった。第一シリーズからの転落具合について、他キャラクターからもツッコミを受けている点にはウケる。

 

 シベリア柳生の若き隻眼の剣客喜多歩郎がグラサンキャラということから、スクールランブルの播磨くんに見えてしまう。

 

 そんなわけで、シベリアという意外なところから再び争いの火種を引っ張ってきた面白アイデアが光る二作目だった。約20年も前のアニメでとても古いのだが、今日見ても趣あるものだった。やっぱり十兵衛ちゃんって可愛いよな。

 

 

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