こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

極めろ!神の一手「ヒカルの碁」

ヒカルの碁」は、原作 ほったゆみ、作画 小畑健による囲碁マンガ作品。

 1999年から2003年にかけて週刊少年ジャンプにて連載された。ジャンプコミックスは全23巻がリリースされた。後にアニメ、テレビゲームにもなった人気作である。

 

 楽しかったGWが終わって生活が通常ダイヤに戻った。それに合わせて、というか生活的に合わせられず心身の調子が悪いという人が幾人か出てくるタイミングでもあるという。それって5月病のことなのかな。5月に限定せずもう長いこと何月だろうが病気したことがないのでよく分からない。

 とにかくGW中でも終わっても私は元気元気!

 じゃあ今日も元気にブログだな。

 

 この度、倉庫から出てきたことで「ヒカルの碁」のマンガを読み始めた。しかし「ヒカルの碁」も四半世紀くらい前のマンガになるのか。連載開始時にはまだ20世紀だったんだ。もっと最近の作品かと思っていた。

 

 読み始めたタイミングで、Yahooニュースに「ヒカルの碁」の舞台化が決まったという記事が出てきた。なんでこのタイミングで来たのだろう。私の中でも今更「ヒカルの碁」ブームが来て、舞台演劇世界にも懐かしい風が吹き込んでいるようだ。良いことだ。

 でも囲碁の対局って舞台でどのように表現するのだろう。あんなちっこい石なんて客席から見えるわけないし。

 

 本作の事は先にアニメで知ったんだよな。家にビデオがあってそれを見ていた。

 当時も今日にもなっても結局囲碁なんて全くルールが分かっていない。ヒカルやアキラくんを見て私も覚えようとは思ったものの、どうしてもサボり癖が出て勉強ならずだった。←反省です

 

 マンガにも書かれていることだが、囲碁は素人が見た所でどっちが勝っているか負けているか、上手いか下手かなんでマジで分からんらしい。私も全然分かっていないのけど、見たら面白いんです。不思議。

 この作品のすごい所は、囲碁なんて全く知らんでも面白く見れること。それだけ作り込まれたキャラと人間ドラマだけで魅せているってことです。

 我が家で囲碁が分かるのはお兄ちゃんとじいさんくらい。ルールが分かっていない私や母でもヒカルの碁のアニメは楽しく見れました。

 

 ゲームボーイアドバンスゲームキューブでソフトが出ていて、それもゲッツはしている。でもルール分からんから遊んでもよく分からん。キャラが好きで入手しただけだね。

 マンガの原作者語りコーナーでは、ほったゆみ先生がアドバンスやキューブのゲームを遊んで「面白い!」と評価している。私もいつかはルールを覚えて遊びたい。

 

 このマンガも久しぶりに読んだわ。かなり前に安売りの中古を購入して一回読んだだけだからな。全く知らん競技がテーマなのに謎に面白かったと記憶はしていても話はほとんど忘れていた。この度久しぶりに引っ張り出して読んだらすごく面白い。ハマったわ。

 光るキャラ、そいつらの関係性で魅せるドラマ、そして囲碁にかける佐為の切ないまでの想い、どれを見てもジワる。あと小畑先生の絵はやっぱり美しい。美術的にも見惚れます。

 

 囲碁なんて渋いテーマだから派手さはないものの決して地味でもない。華やかなキャラと魅力的シナリオでハマった。対局シーンなんてページを繰る手が速い速い。中だるみなくエンドまで進めました。

 

 こんなに面白かったのか。またいつものようにやり玉にあげてこき下ろすことになるが、最近は深夜にやっているクソアニメばかり見ているから、こうしてクソ要素排除の高潔な一作を見るとなんかすごい目の浄化が進む。

ヒカルの碁」の時代だったら今みたいに「クソアニメに出来る」というネタ的理由で映像化向けに原作を引っ張ってくる文化がないものなぁ。古い時代ほど真面目な作品が多かったというのも間違いではない考えだな。今ほどその分野でおふざけが許されていないものなぁ。味わい深い作品ですなぁ。

 

 久しぶりにマンガを読んでもやはりヒカルは川上とも子、アキラくんは小林沙苗とアニメの声が聞こえてくるのです。ライバルなこの二人のキャラの声はハマっていたなぁ。どちらも好きな声優だし、二人共キレイな萌え声を操れるのに少年役で熱血しているのが印象的だった。こうなるとアニメもまた見たいなぁ。アニメは確か途中までしか見たことがないんだよな。

 マンガの中にあるほったゆみ先生が語るコーナーでも声優さんのことを褒めていた。アフレコを見に行った貴重なお土産話も記載されていた。これは声優好きとしてはありがたい内容。

 川上とも子が喋ればヒカルそのものが喋っているようだったと評価していた。確かに大変マッチした配役だった。川上とも子の声好きだったのにもう聴けないから残念だ。

 

 ヒカルの碁の単行本は、白黒の碁石をイメージして各巻背表紙が白黒と順番に続く。この仕掛けはおしゃれ。これで思い出したけど、同じく小林沙苗が出演していたアニメ「D.Gray-man」のマンガも白黒で背表紙カラーが連続する仕様になっていた。あっちもマンガを買って読んでいたなぁ。

 

 こんな感じで色んな事を思い出す中、マンガを読んだ感想とかを書き殴っていこう。

 

ヒカルの碁 23 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

内容

 進藤ヒカル少年は、じいさんの家の倉庫で古い碁盤を見つけた。

 碁盤には平安時代の天才棋士 藤原佐為の魂が宿っていた。ヒカルには佐為が見えるということで、以後佐為はヒカルに取り憑く。ヒカルに取り憑くことによって佐為はまだまだ囲碁を打ちたい、そして神の一手を極めたいと現代に夢を抱くのである。

 

 最初は佐為の指示で碁を打っていたヒカルだが、天才囲碁少年 塔矢アキラとの対局を経て自分でも囲碁が打ちたいと思うようになる。やがて佐為に頼らずに戦う自分の囲碁能力も磨くようになっていく。

 

 こうして佐為の碁の上で生まれ育ったヒカルの碁の物語が成っていくのである。

 神の一手を求める碁打ちの物語に感動です。

 

感想

 神の一手といえば、プリパラの東堂シオンちゃんが初登場時に早くも極めてしまった領域だと思い出す。

 で、ヒカルの物語では終始それを求めて人生を歩む姿を描いて行くのだな。やはり囲碁の深堀り作品ですなぁと分かる。

 囲碁アニメもアイドルアニメも好きなオタクの最初の感想がコレ。

 

 これを最初に見た時には、同時期にビデオで見ていたシャーマンキング的なやつなのかな?って思った。マンキンみたく佐為が守護霊ポジで主人公をサポートしている要素だけは通ずるものがあるものな。こうして囲碁競技にスピリチュアルな運命を導入させる流れは当時だと新しい発想だったはず。

 

 碁石の握り方も知らない素人のガキのヒカルが、天才軍師 佐為の言葉があれば誰でも打ち負かせる無双モードになっている。このチートを使えば本因坊秀策に並ぶくらいの栄冠なんてすぐなのだが、やがてヒカルがチートを捨てて自分の囲碁をやるようになる。

 この出会いと独り立ちの展開は清い。今をときめく少年に読ませる漫画のあり方として良き。

 ヒカルは全部佐為に打たせれば最強になれたのに、自分で戦いたいと願うのか。挑戦する男児の覚醒展開が良い。

 最近私がよく見ている一話目から凡人がチートスキルを経て無双するクソアニメと比較すればアンチ成分があるなぁ。チートという鎧を脱ぎ去り、裸で臨んでのし上がってこそ人生は充実して面白い。

 

 佐為の能力に天才のアキラが倒れることから始まるアキラの碁の物語も面白い。これが不思議で、最初は佐為の碁だから完封されるが、次にヒカルが打った碁では呆れるくらいザコ。はじめましてで最強だったヤツが次には弱い。このトリックは何だ?といつも心揺れるアキラ少年の青春は刺激的なものになったはず。

 緒方さん、桑原のじいさん、アキラのオヤジの塔矢名人ら歴戦の碁打ちもヒカルに注目するが、なぜこの程度で注目がいくのか各員謎を持ったままになっている。

 このヒカルという存在が業界の謎になっていく囲碁ミステリーな設定も面白い。読者にはネタが全バレだけど、他の人物は何も知らないままヒカルに翻弄されるのだな。

 

 佐為がいる。このトリックは終始口外せず、最終話までヒカルと佐為だけの秘密囲碁ストーリーになっていた。秘密貫徹物語とはなんか清潔感があるかも。

 たまにヒカルの失言で佐為の存在が周囲にバレそうになることもあったけど、なんとか誤魔化して来ました。ヒカル、口に気をつけろ!とツッコミながら読んでいた。

 

 佐為が打てば強すぎるから世の騒ぎを生むことになる。そこでヒカルと佐為が始めたのがプレイヤーが特定されないネット囲碁だった。00年代前半からもそんなものがあったのか。

 このネット囲碁をやるターンも不思議で面白かった。プレイヤーネーム「sai」で登録した途端佐為がネットで無双する。

 外国の強プレイヤーも全滅で誰も勝てない。囲碁の国際大会で色んな国の人間が集合すればこの中にsaiの中の人はいないのかと注意して見てまわる始末。

 佐為が凄すぎるから当時は無かった発想であろう特定班的思考も人々の間に広まる。佐為どんだけすごいねん。ネットでも伝説の碁打ちとして探されている。遂には塔矢親子もネット世界で粉砕してしまうからすごい。

 あとヒカルにネットを教えてくれた三谷くんの姉ちゃんが可愛かった。

 それとウチのお兄ちゃんもネット囲碁をやったことがあるって言ってた。私もルールが分かるなら挑戦したいものだ。

 

 少年の体を借りてもネット世界でもなんでも良いから強者と囲碁を打ちたくて仕方ない佐為の純粋な囲碁愛が清い。私はこの佐為というキャラをとても気に入った。最初はヒカルと佐為でツイン主役みたいなものだからな。

 その佐為を中盤で成仏させ退場させる流れを取ったのは意外すぎた。最終回まで居座るものかと思っていたのに。この展開で行くことについては、原作サイドでも慎重に覚悟を決めたのではなかろうか。キャラ人気投票でもトップを行く佐為を退場させて次章を始めるってのは、読者からいろんな声が上がると予想出来たはず。

 

 佐為の物語に一番胸が熱くなって泣けたんだけど。

 現代を生きる囲碁の猛者と戦いたいのに肝心な体がないし、ヒカルにしか姿が見えない。体がないことで自由に囲碁が打てない。そのことに苦悩し葛藤する佐為の心情が濃く描かれているターンには胸を打たれるだけだった。

 緒方さんにこちらの席で打とうと誘いをかけるも聞こえていないというシーンは切ない。

 塔矢の父から指名を受けてヒカルが打つ時には、佐為が碁盤の前に座り込んでヒカルに席を譲らない。ここら辺りからは、現世に居座ることが出来る残り時間が長くはないと佐為もなんとなく気づいている。制限時間が少ない中でマジになる佐為だが、ヒカルは佐為が消えることなんて全く予想しないから二人の温度差がまた切なく見えてくる。

 誰にも見えていないけど自分は確かにここにいるのに!と心の叫びを上げる佐為の物語の終盤展開が悲しい。泣ける。

 

 佐為の碁だったのがヒカルの碁へと変わって行き、もう自分は打たせてもらえない。皆は自分よりもヒカル自身をしっかり見るようになっている。そう気づくと佐為は大変焦るのである。ここ、すごい緊迫感が伝わって良い。 

 これからも猛者と自由に打てるヒカルに嫉妬し、自分はもう打てないのが口惜しい。正直すぎる碁打ちの心情が吐露される。読み手には分かるその想いをヒカルが全く気づかないところがどうにも切ないんだよな。

 

 佐為とヒカルの道が一緒になったようで違えたような寂しさも感じる切なさが見える。それが佐為が消える直前のエピソードの印象。深い所を描いている。

 好きな事に向ける純粋な興味、好奇心があり、それがやがては執着にまでなっていく。佐為の囲碁への想いはまさに執着。愛は執着の材料です。

 好きなものに対してあんなにまで情熱を燃やす佐為の最後の想いを知れば、胸が締め付けられるような思いなる。

 私にも確実にコレが好き!というものがあるので、佐為のあの想いには強く共感出来た。平安時代だろうが令和時代だろうが、人の持つ熱や愛は普遍にして不朽だな。

 佐為編のラストには泣きました。明確な別れの時だとヒカルに分かることなく、普通の暮らしの中で消えて行くのが幽霊的リアルだったかも。別れまでのゆっくりなターンなんてなく、ある日突然だからヒカルもショックだよな。私は佐為が好きだった。

 これの後にヒカルの夢に佐為が出てきて優しく微笑むところとかも泣けたなぁ。

 

 普段全然知ることがない囲碁業界の都合が知れることでも貴重なバイブルとなった。

 なんかこの世界も凄まじい世界だな。身を置くのが想像し難いぶっ飛んだ世界。

 ヒカルなんて最初は小6からスタートだけど、中学でもうプロになって最後は団体で挑む国際戦にも出ている。ヒカルの出世ぶりがまさに怒涛のもので凄い。全部読んだ今となっては、年齢詐称して筒井さんや加賀と中学生囲碁大会に出ていのたが懐かしぎる。

 

 ヒカルの親も人の進路として異質過ぎるからすごい驚いていて、何をどうしたものか慌てている。それも分かる。そこもリアル反応だな。

 まだガキなのにプロ?なに言ってんの?みたいな反応を示すヒカルのママンの言動にも納得。

 これがすごいんだなぁ。サッカー、野球、相撲みたくもっと大きくなってからではないんだ。小学生、中学生でも大人に混ざってプロとしてやっていけるってのがすごい。囲碁界の子供は子供であって子供ではないと作中でも言われているが、その通りで皆心にすごいものを抱いている。ガキに見えた越智くんだって志は一級品だったものなぁ。そういやザコそうなきのこメガネのキャラデザで越智があそこまで良キャラに描かれたのも意外。

 

 まだ見習いの院生の世界から既に異質すぎる。普通に学校に通っているガキからおっさんまで勢揃いだ。すごいなぁ。義務教育時代からこんな事してるとか考えられん。ヒカルや和谷が学生の身で院生をしていた頃だったら、私はまだ虫をとっていたぞ。

 中学生でもプロになったら給与振り込み用口座を作るよう言われ、確定申告の事も考えないと行けない。ヒカルがプロになった時にはそういう都合も描かれていた。すげぇ。

 やべぇな。中学の同級生がこんなことになっていたら次元が違うヤツに思えてきそう。

 なんだかんだでやっぱりガキの頃にはしっかり遊ぶのが良かろうって思ってしまった。

 

 とにかくキャラものとしても良かったな。絵が上手いからキャラクターも美男美女ばかり。それぞれのポジションやキャラとしての味わいも良い。 

 ヒカルとアキラの初期から出てくる奇妙なライバル関係の二人が良い。ヒカルの髪色が奇抜だし、アキラくんはまさかのおかっぱイケメン。

 オタク的イカすオカッパ3キャラといえばジョジョブチャラティガンダムSEEDイザーク、そして本作の塔矢アキラ。この3人だな。←もちろんマジで勝手な個人的ランク付け。

 

 ヒロインのあかり、奈瀬がめちゃ可愛かった。

 あかりちゃん良い子だな。絶対ヒカルのこと好きだろ。ヒカルにくっついて筒井さんに囲碁を教えてもらってこの子も囲碁ギャルになっていく。いつしかあかりの碁も開幕で楽しい。あかりの碁でスピンオフをやって欲しい。

 そして奈瀬ちゃん。彼女にはもっとときめくものを感じる。めちゃ可愛いな。久しぶりに読んでも彼女のことは覚えていたぞ。漫画18巻の番外編エピソードで彼女の主役回があるからそれがおすすめ。

 

 囲碁って和風な娯楽で日本が強いのかなって思っていたが、韓国、中国もめちゃ強いのだと描かれている。向こうの方が格上だな。

 伊角さんの中国棋院修行編が印象深い。そりゃエリートが育つわけだっていう厳しい競争社会の中で猛者を生んでいるのだな。中国の囲碁学校やべぇな。囲碁漬けで最強戦士が作りやすい環境が整っている。こんなにマジでやるの?とビックリです。それと伊角さんイケメンすぎて良い。

 伊角さんも良かったな。ヒカルとの対局では、焦りや集中力の欠落からまさかの二度打ちミス、ていうか反則をしてしまう。このシーンはすごい覚えていた。なんか胸が締め付けられるような、すごい気まずい感じになったシーンだ。

 反則負けはそりゃ応えるし、不本意な勝ち上がりになったヒカルの方も嫌な想いを引き摺って明日を迎えて気分が良くない。

 反則負けで出来た心の傷を癒し、碁打ちとしての再起をかけて始まる伊角さんの武者修行ターンも面白かった。人気キャラだってことで伊角さんにも試練を与えるよな。彼の事もすごく応援して見ていた。

 伊角さん、和谷の院生コンビも人気者だったよな。

 

 最後のジュニア団体国際戦では、まさかの日本が負けて終わる。中国、韓国とヒカルは2連敗。アキラは強いから二連勝だった。韓国の壁は厚いな。

 コ ヨンハ撃破ならずで最終回を迎えたのは悔やまれる。結局強敵のヨンハに負けて、公式戦ではアキラにも勝てていない。ヒカルが順調に成り上がるターンもあるが、こちらが見たかった勝ちがまだ見れてないんだよな。終わる時は結構急に終わったような。もっと続けられそうな感じもあったけどな。続編とかもあって良いと思う。

 

 とまぁ全く知らん囲碁の物語を読んで感じることがたくさんある。そんな不思議な出会いとなった良き作品でした。

 いつか覚えたいんだけど、いつかいつか言って多分棺桶の中まで持っていきそうな案件。囲碁を打てれば更に楽しい人生になりそうだな。まぁ時間がある時に勉強してみよう。佐為の生きた平安時代からかなり時が過ぎて令和時代になったが、それでもまだまだ神の一手の追求が捗る状態のようだ。

 プリパラだと東堂シオンちゃんが初登場時にいきなり極めてしまった神の一手。リアル世界だと一体誰が極めることやら。それは意外と未来の私なのかもしれない。碁盤は宇宙、神に到達するまでの道は無限のごとく先行きが謎。囲碁って深いなぁ。

 

 

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