こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

アニメ放送30周年を迎えた今こそクレヨンしんちゃん放送1年目振り返ろう「クレヨンしんちゃん DVDメモリアルボックス1992-1993」を見た感想

 おめでとう。しんちゃんも三十路である。この瞬間を迎えられる事が当たり前と思うなかれ。

 この世には30年を待たずして天に召される命もあり、生き残っていても「めでたいなぁ~」などとはとても言ってられない困った状況の三十路だっている。しんちゃんの30年目は、コンテンツとして大成を迎えた末のこと。つまりは手放しでキャッホーが出来る三十路。よろしければ多くの人にこの感じで三十路を迎えた欲しいものだ。

 

 そんなこんなでとにかくめでたいしんちゃん。記念イヤーとなれば見ているこちらだってしんちゃんと歩んだ人生をあれこれと振り返るというもの。

 あの日先輩だったしんちゃんも、気づけばすぐに私よりも年下になっていた。5年生きればもうコイツよりも先輩だからな。そうして多くの人類がしんちゃんを人生の先輩とちょっとだけの期間仰いだらすぐに追い越して行ったことであろう。

 

 そんな人生ロマンも感じつつ、しんちゃんも歴史なげぇな~と思う。そこから転じて、ではこの30年戦士もまだぺーぺーの時代はどんなだったのか知りたくなった。これは思考の流れとしては当然のことであろう。

 

 良かった。この私が10年前に取った行動が本日の私を助けることとなった。まるで昨日ようにも感じる10年前の世界、当時はアニメクレヨンしんちゃん20周年記念イヤーだった。そのタイミングで、放送スタート1年目のエピソードを可能な限りまとめた「クレヨンしんちゃん DVDメモリアルボックス1992-1993」という素敵すぎる商品が発売された。

 チビの金銭感覚で見る日本の円盤ボックスはアホみたく高い。それも大きくなれば安く感じるようになるのかと思いきや、今日見てもやっぱり高いわ!

 発売当時の私の懐などスノーボール・ジ・アース、日本語で言うところの全球凍結状態。つまりは金が無い。なので小金持ちの祖父に頼んでこの高いけど素敵にメモリアルなボックスを買ってもらったのだ。小金持ちの祖父を持っていて良かった良かった。マジ感謝。

 このボックスなのだが、8枚入りの特別な仕様のものだし高額なことからそもそもたくさん作って売っていないのか、今で中古だってかなりお高くなっている。おまけに期間限定の要素もあったから余計に買えなかったのだろう。すっかりプレ値の一品になっている。しんちゃんマニアに転売するなら今が好機だろうが、これは手放したくはない。

 アイテムとしてもそうだし、内容も資料として貴重である。版権とかの都合で止む無く収録を断念したエピソードが数話あるものの、残りは全部入りなのでボリューミーでとっても楽しい。

 

 30年前の振り返りとしてここ一週間で見た30年前のクレヨンしんちゃんの感想とかを書きなぐって行こう。

 

TVアニメ20周年記念 クレヨンしんちゃん DVDメモリアルボックス1992-1993 (期間限定生産)

 

 まず最初に思うが、矢島晶子しんちゃんが懐かしい。そして一話を見ると、同じ矢島晶子ボイスでも演技方法がそれ以降と違っている。実際に声優本人周りでも変わっていないのに途中で声優が変わったの?と言われるくらいに初期とそれ以降で芝居が違っていたという。確かに声が違うのかってくらい最初のしんちゃんが新鮮に思える。同じ声優でも演技の幅があるよな。長い放送期間の中でベストな芝居を探って行ったという事かもしれない。

 

 一年目とこの前の土曜日に見た最新回で絵柄も違う。キャラデザが違う。しんちゃんの目がなんか小さい。そして最近ではやらない細目の表情とかもあってこれはこれで面白い。

 ひろしもみさえも気持ち若く見えたりする。しんちゃんは坊主だからそのまんまだが、ひろしとみさえは髪型もちょっと違うようだ。

 当時は野原家両親のテロップの役名がママとパパになっている。あまり名前をプッシュしていなかったのか。

 

 みさえと家庭内で完結するエピソードが結構多めだったな。みさえの出番が多く、彼女がいないと成立しない。平日のお昼だとどうしてもそうなるよな。

 ひろしは日が暮れて会社から帰ってこないと登場しないスタイルで、初期だとそこまで頻繁に出番もない感じだったかな。

 

 バカなガキの面倒を見る専業主婦の悲哀がそこら中に見える不憫展開も目立つ。みさえの持ち前のガッツはコレの相手をしていれば自然と得られるものだったのかもしれない。心身ともに図太く強くないとしんちゃんの教育は困難かもしれない。

 昨今だと子供をぶち殴る描写は控えた方が良いということでめっきり見なくなったゲンコツ、ぐりぐり攻撃、平手打ちの表現がたくさん見られる。てか毎週じゃないか。これぞクレしん劇場だよな。ゲンコツをかますシーン用のバンクが存在するくらいだからな。ゲンコツバンクなんてよそでは見ない発明だよな。

 それにしてもしんちゃんがゲンコツをくらいすぎ。しかし、こいつバカだし親の神経を逆なでする天才だから殴られてもまぁ仕方ないかなとも思える。人目には荒いみさえの教育方針だが、これはこれでベストなのかもしれない。

 

 ゲンコツは主にみさえの技だが、一年目放送を見れば数回はひろしが繰り出す場合もあった。ひろしのゲンコツは珍しい。まぁコイツが親の事を舐め過ぎだからたまには良いと思う。

 幼稚園でもバカばっかりやるからネネちゃん、風間くんからゲンコツを食らうこともあった。本当に友達をするってのならたまには殴った方が良いのかもしれない。そのレベルで暴れた素行持ちの5才児だからな。

 

 思えばしんちゃんで初耳だった会話における面倒な現象の「ああ言えばこう言う」の要素もよく見られる。

 しんちゃんがバカだと思いきや頭の回転が早く、みさえが言った事に対して巧みかつムカつく反論をしてくる展開がパターン化される。めっちゃ言い返して来るからみさえが切れるのは当然だと思う。

 

 例えば、みさえが朝飯に出した「ただの豆」に対して「じゃあ万引きしたの?」「買ったの?」としんちゃんは尋ねて来る。当然お金と引き換えに得たものだと言えば「じゃあ、ただの豆じゃない」と結論を出す。

 こんな感じのとんちめいた発想で物を言うしんちゃんにはちょっぴり感心も出来るが、しっかりムカつくのも事実。通常運転でこんな事ばかり言うしんちゃんだからみさえが切れるのは分かるというもの。

 このような会話劇にはムカつくのにたっぷりのユーモアさが見えて笑える。

 

 ちなみにしんちゃんワークスで1番ツボったとんちめいたギャグは、このDVDには収録されていないが割りと初期にあったものだった。

 接客でお客さんに「景気はいかが?」と質問することがあるが、それに対して「じゃあ、お一つもらおうかしらケーキ」と返すネタに1番クスリと笑ってしまう要素があった。こんなやり取りを、みさえとごっこ遊びをする中で見せたしんちゃんのセンスはすごい。ただの豆のネタにしてもそうだが、よくもそんな下らないネタを思いつくな。

 しんちゃんには、シュールで下らないけど、それを思いつく凄さはさすがと言えるギャグがたくさん盛り込まれている。

 

 可愛いし根はいい子だと分かっているけど、それでも一年目のしんちゃんの悪ガキ度は昨今よりもかなり強めだった。ほっこりエピソードよりも、しんちゃんがとにかくムカつくで終わる回が多め。こんな調子だった初期から数年後に、感動を呼ぶ映画シリーズ展開がよく叶ったなと思う。

 

 悪意はないのだろうけど、確かに人や施設にまで害なすしんちゃんの厄介ぶりはすごい。

 放送初期の準レギュだったバイト戦士しのぶのバイト先にことごとく迷惑をかけてしのぶから職を奪う、本屋さんでもお店に多大な迷惑をかける、幼稚園で先生に迷惑をかける。これらはパターン化されている。

 ねねちゃんのママを切れさせてうさぎが殴られるアレも一年目にはお決まりになっていた。てかここまで周りを巻き込んで悪さをするこいつのやっていることもすごいなと思える。

 

 一年目だとひまわりはまだ誕生していないし、シロも序盤はいない。途中で捨て犬として拾ってくることでシロが合流する。ひまわり登場に先んじて、ひまわり役のこおろぎさとみがモブキャラで出ている回があった。

 しんちゃんが良く乗り回しているあの三輪車購入エピソードもあった。色んな要素の歴史が分かって良いな。

 

 名物キャラのアクション仮面、助手のミミコくんは何気に第一話目から出ている。ミミ子くんを演じる小桜エツ子は、成人女性とは思えない神がかったロリ声を出していな。すげぇ。

 たまに出てくるチーターも含めた幼稚園のいつもの仲間達、おけい、父方の祖父母も一年目から出ている。一年目の段階で集団コメディーとしての基盤作りは上々な感じになっていたな。紅さそり隊とかはまだ登場せず、もっと後に合流する軍団だったんだな。

 

 みさえと長電話する事でお馴染みのおけいの初登場は、バイク事故で入院した先の病院のシーンだった。こんな大怪我状態の初登場だったのか。

 しんちゃんのおじいちゃんにあたるひろしの親父はやっぱりふざている。このじいさんの図太くてふざけたキャラ性も好きだった。じいちゃんとしんちゃんの顔が一緒やないか。

 そういえばみえさ側の両親は一年目ではまだ登場していなかった。

 

 しんちゃんが生みし救いのヒーローぶりぶりざえもんも一年目には既に登場している。でもしんちゃんが書いた絵として出てくるのみで塩沢兼人の渋いボイスの豚はまだ出て来ない。

 作中作としてぶりぶりざえもんのエピソードを展開する時には、しんちゃんがぶりぶりざえもんの服を来てぶりぶりざえもん役になっていた。これは珍しい初期だけの演出。こんなのもあったんだ。塩沢兼人を迎えるまでの繋ぎの見せ方だな。

 

 しんちゃんのお決まりパターンとして馴染みがあるのがよしなが先生とまつざか先生の喧嘩。この二人の喧嘩が結構好き。

 どれかの映画版でもひろしがよしなが先生の事を可愛いと言っていたくらいだから、よしなが先生のイメージはやはり可愛い。まつざか先生も性格に難ありだがそれはそれえで可愛い先生というイメージがある。先生たちは昔からも元気で可愛いイメージがあるよな。 

 これも今では余計に良くない要素となっているが、二人はどちらの教え子が優秀かを競うことがある。組別で差別的な事を言っちゃだめだよな。園児を賭けの対象にしたり、園児そっちのけで暴走して喧嘩もするからここはコメディの先生の描き方になっているよな。ヤクザみたない顔の園長もクセのある部下がいて大変だよな。

 園長の声が納谷六朗、よしなが先生は高田由美の時代だから初期キャストの懐かしい声も楽しめる。高田由美の声って綺麗ですごい好きだったんだよな。今は元気にしているのかしら。

 あとはヒロインでいうと本屋の中村さんも結構可愛い。

 

 一年目だとひろしが家でタバコを吸っているシーンが何度か見られる。これは珍しい。タバコのイメージは無かったな。しんちゃんのいる横でも普通にプカプカしている。子供に優しいパパ像を強く見せることを意識しがちな現在の作風ならぶっ込めないシーンだろう。30年の間にひろしはタバコを止めたのだろう。

 

 やっぱり諸々が古いんだよな。しんちゃんの家の電話、炊飯ジャーとかもやっぱり今見ると古いし、しんちゃんのじいちゃんが当時としてはおしゃれで進んだ携帯電話を使っているんだけど、これもタイプとしてはオールド。

 風間くんやひろしがバブル崩壊の事を話題に上げるシーンがあることからもそれなりに時代が古いと窺える。

 古さといえば作画にモロに出ていて、色が少なく発色も弱め。90年代前半だとまだこういう画像なのか。確かに見た目にはしょぼい感じになるが、目には優しい作りがこの時代には見られる。今のスマホゲームとか色が多すぎて発色もすごいから、レトロゲーに慣れた立場からすると目への刺激が強すぎるってすぐに思うもんなぁ。

 

 そんな感じで古さは当然あるものの、しっかり面白い。これは確実に面白い。現在放送しているものよりも尖ったギャグ性、逆にシュールさも見える初期の作風はこの時だけの面白みがある。これはこれで良い。一年目のまとめが可能な貴重なDVDだったな。

 

 DVD7枚に本編が収録され、最後の8枚目は歴代OP、ED映像が詰まっていた。歴史が辿れるこの特典も良い。

 1年目の後期OPとなった「夢のENDはいつも目覚まし!」はずっと好きなんだよな。B.B.クィーンズならちびまる子ちゃんの「おどるポンポコリン」が1番有名だろうが、真に私が推す彼らの楽曲はしんちゃんのこちら。

「スキスキ♡マイガール」とかも好き過ぎる。アニソン感は無く、しんちゃんとはテーマ性としてもマッチ感はないものの、これは刺さる名曲。

 結構有名なOP曲の「とべとべおねいさん」を聴くと、良いんだけどバカみたいな歌だなとも思う。

 ユーモアもありだし、他には質の高いポップスも見られる。しんちゃんには優秀な主題歌が多い。30周年のしんちゃん強化月間なので、これまたいつかのタイミングで発売したのをいつかのタイミングで買った主題歌集アルバムも一緒に聴いて楽しんでいる。

 

 30年目なので、今年はしんちゃんを楽しもう。そして来年からもずっとね。

 

 

 スポンサードリンク