年明けに「BLUE GENDER」というアニメを見た。それの総集編ビデオがあるというのでそちらも視聴。そんなの出てたのか。テレビ版だってマイナーなのに、追加の総集編まであったとは知るきっかけが少なすぎる。
テレビ版が2000年3月に放送を終え、そこから約2年後の2002年に発表された作品である。
「BLUE GENDER THE WARRIOR」と銘打って、装いも新たにあのグロアニメが帰ってきた。
久しぶりにこの世界観に触れたが相変わらず酷いなぁ。虫の化け物に地球が征服されまくっている状態が酷いってだけの話で、こういう作風自体は好き。
相変わらず肉団子なアニメだなと振り返る事が出来た。見た人は皆そう思うのではないだろうか。
テレビ版全26話をサクッと振り返る事が出来る総集編であり、いくつか新作カットも用意している。
そういえばこんな話だったなと振り返る分には良いが、さすがに飛ばし過ぎ感がある。
宇宙に上がってからの振り返りは雑で、テレビ版の重要な事件が丸々すっ飛ばされている。セカンドアース合流後には、主人公以外のスリーパー達が重要人物として登場して話に絡んでくるのだが、そいつらは存在自体がカットされている。いけ好かない点もあったがやり手だったトニー、結構可愛くて祐司とちょっといい感じなりそうだったアリシアがいなかったことになっている。ここまでざっくりのカットは可哀想。
テレビ版では不要なまでに生々しいエロ描写(←嫌いではない)が挟まれたが、こちらではそこもざっくりカットになっている。確かに物語の大筋をサクッと振り返るには邪魔な要素だったかもしれないが、エロとグロがせめぎ合って生まれた作品美が本作の味だった。そんなわけで本来よりは薄味な総集編となった。
新作カットは新たに楽しめる要素で良いが、その都合で話自体もちょこちょこ変わっている。どうせ死ぬのは一緒にしても、死に方が違っているキャラがいたりした。
変更点で最初に気になったのは祐司の髪。テレビ版では最初からモミアゲ+猿感な見た目だったが、こちらではコールドスリープから目覚めた時にはめっちゃロン毛になっている。眠っている間にそこそこ伸びたというリアル性を求めた改変だったのか。このウザったい髪の毛は、旅の途中に散髪することでいつものモミアゲに戻る。
祐司ってやっぱりテニプリのタカさんっぽいよな。主人公が格好良くないというのもテレビ版の頃から続く印象深い要素。
困った事にオチも変えている。この点が一番印象に残る。
壮大すぎるお話ゆえ、ゆっくりと26話放送したテレビ版でさえオチについては「ちょっとよく分からない」という感想が出てくるものだった。それがこちらではもっと分からない。
祐司、マリーンがブルーの大群に囲まれてもう終わったなと思った所で、祐司が謎の覚醒を迎えたっぽくなってブルーが逃げていく。そして終わりというものだった。ハッピーエンドなのかどうかも謎。
テレビ版では理解が足りなかった部分を補完するのが目的の新作ではなかったのか?
こっちのオチを見たら混乱が加速する。
作品に登場する敵のブルー、こちら側の兵器のアーマーシュライクの各種デザインは結構好き。
敵はキモくてグロいが、どこかしら芸術的センスを感じる良きものだった。アーマーシュライクもシュッとした感じのスマートなデザイン性の中に強さが見えて格好良い。
バトルシーンもいくつか追加シーンがあり、そちらではアーマーシュライクがより格好良く見えた。
こんな終わったような世界で猿っぽい主人公が活躍する救いの少ない物語だが、その少ない救いがヒロインのマリーンの存在だった。可憐で儚げ、それでいてとても強いヒロインである。
目的達成のために死者が出るのは仕方ないという命を軽んじたような発言をしたマリーンを裕司が殴るシーンがあった。ここではお前みたない猿っぽいヤツがマリーンを殴るなと思った。
マリーン役の桑島法子の透明感と色気のある声質は良し。久しぶりに聞いた主題歌の「解き放て!」は力強い一曲で良いではないか。
本作は2031年の世界を描いた作品である。そろそろリアルでもそこに迫りつつある。2031年が来たら皆にこの作品を振り返って再評価してもらいたいものだ。
それにしても最近では架空の未来世界にリアルが追いついた事で時の流れを感じることが多い。エヴァの世界線の2015年なんてめっちゃ遠い未来って思っていたのに、もうとっくに追い越したもんな。
2031年が平和である事を願おう。
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