こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

清く正しく「ビーロボカブタック」

ビーロボカブタック」は、1997年2月から1998年3月まで放送された全52話の特撮テレビドラマ。

 

 一応メタルヒーローシリーズ後期作品という位置づけだが、前作の「ビーファイターカブト」とは打って変わって平和でコミカルな作風となっている。

 巨悪を打倒する従来の特撮ヒーローの流れ的にはビーファイターカブトで最後であり、ここからは系統を辿れど番外編的な感じもする。

 

 この作品は随分前にビデオで見たことがある。録画したものを親が見せてくれたのだ。

 丁度ダンゴロンが登場して団子を食いまくる回を録画していたので、そこの部分は結構覚えている。彼の食っている団子がとても美味そうだったことでも記憶に残る。それ意外の要素はほとんど知らない状態で見る。

 

 本作以前のメタルヒーローシリーズは全部DVDやBDが出ているのに、カブタックはDVDになっていない。なんでや。BDにしてくれ。

 今回視聴したところ、コレが大変面白くて気に入った。話もキャラもユニーク、特撮ものだからヒーローキャラはしっかり格好良く作っている。なんだかんだで東映特撮作品ってすごい。

 

 では、清く正しくカブタックな今作の感想を殴り書いて行こう。

 

(ANIMEX1200-181)ビーロボ カブタック MUSIC COLLECTION

 

内容

 

 ロボット工学者の高円寺博士は、謎の物体スターピースを探索するため、10機のビーロボを作った。その後博士は消息を絶ってしまう。

 

 ある日、ビーロボ第一号機のカブタックが博士の孫の譲少年の前に登場する。そのまま高円寺家に居座りながらカブタックはスターピース集めに邁進する。

 やがて他のビーロボ達も起動し、客員がスターピース集めを行う。

 同じビーロボでもスターピースを巡って揉めることがある。その際には審判ロボ キャプテントンボーグ預かりの下、客員が入り乱れて勝負を行うことになる。勝負に勝った物がスターピースを手にすることが出来る。

 

 毎度何かしらの勝負勝負の連続の中、カブタックは合計13個のスターピース収集に闘志を燃やすのである。

 

感想

 前作から打って変わって楽しいし可愛い。そんな世界観が良い。

 キャラや作風はロボコンぽい、高円寺家のホームドラマを楽しむターンも多くその点ではポワトリン的な楽しみ方も出来る。

 毎度のお話もキャラも普通に楽しくてずっと見れる。

 

 毎度やる事といえば、スターピースが現れる→皆で争奪戦→収集がつかん→トンボーグ登場→トンボーグが決めた勝負で所有者を決める→スッキリ平和に終わって楽しい。

 これの連続である。お決まりパターンが楽しく、決して単調で暇なことはない。

 

 このトンボーグというおっさんが曲者で、ビーロボではない謎勢力のくせして看板キャラ、看板要素にもなっている。かなり好きなキャラ。懐かしい郷里大輔ボイスも良い。  

 とにかく仕切りたいトンボーグの仕切り屋魂も面白い。こういう何にでも首を突っ込みたがるヤツがクラスに一人くらいはいそうなものだ。

 贔屓、不正は絶対に許さない鋼のジャッジマンソウルを持つ基本真面目なキャラなのだが、奥にツッコんで人を見れば結構フザてもいる。

 主人公キャラならともかく戦うビーロボではないこいつが後半にはパワーアップして帰ってくるのも面白い。作り手からも気に入られたキャラだったのだろう。

 

 トンボーグが仕掛けてくる勝負ジャンルは多岐に渡り、サッカー、相撲、バスケなどの色んなスポーツ、クイズバトル、カラオケバトルなど色々あって面白い。

 主役のカブタックが必ずしも勝利するわけではなく、誰が勝つかはその時次第。クイズバトルでは、自分でも答えを知らない問題を出して来るからトンボーグはやっぱりふざけている。

 個性的な連中が入り乱れて毎度騒がしく勝負をして勝者を決めるこのノリには「チキチキマシン猛レース」的なものを感じた。

 

 キーアイテムのスターピース集めにもドラゴンボールを集めるようなワクワク感があって良い。子供でも分かりやすい目的設定だった。

 このスターピースなのだが、とにかく得体の知れない謎パワーを秘めている。宇宙から飛来した物体であり、6万年毎に現れその効果を発揮する。勝手に物体に取り付き、取り付いた物体のスペックをファンタジー並に上げまくる効果を有している。

 怪獣のおもちゃに取り付いたら巨大化してとても強い怪獣になる。携帯電話に取り付くと、どこの誰とだって繋がる魔法の電話になるなどなど、何かにくっついて騒動の素になる。

 

 全部で13個あるが、全部揃ったらどうなるのかは終盤まで謎。その謎の解明へと至る冒険感もまた良し。

 毎話1個ゲットだったら1クールで放送が終わってしまう。そんなわけで、極短い間しか効果を発揮でない「スターピースもどき」も多く存在する。ここは上手いこと出来ている。本物をゲットしたら願い事が一つ叶うというドラゴンボールみたいな特典もあり。

 

 カブタックはじめ全部で10機いるビーロボのデザインは最高に良い。最後に出来たテントリーナちゃん以外はノーマル形体からスーパーモードにチェンジする二段変形設計なっている。

 皆通常形態だとロボコンみたいな丸っこくて可愛い見た目なのに、スーパーチェンジを行うとすごく格好良い。トビマスカイは変化がちょっとしか見えないから別として、他のビーロボのスーパーチェンジ後の姿は抜群にデザインが良い。

 このくらいの時代から違和感なく実写に溶け込むCG技術が発達したようで、スーパーチェンジの変形シーンはCGで作られている。客員のスーパーチェンジシーンを見るだけでも燃えるものがある。特にコブランダーの足がぐーんと伸びる感じを演出した変形シーンが良い。

 

 いつも間抜けにカブカブ言っているカブタックも、スーパーモードになると声がイケボになる。ノーマル、スーパーで声優の芝居も変わってくるのでそこも注目ポイント。

 カブタック役の草尾毅の2種類の声が楽しめるのが良い。やっぱり声優ってすごいもので、演じ分けがはっきり出来ていると分かる。彼は譲くんの小学校の音楽の先生役で顔出し出演もしている。同じ回には歌手の宮内タカユキも本人役で出ていた。草尾毅が歌うOP曲は中毒性がある楽しい曲で好き。

 前作のビーファイターカブトにも声の出演で参戦していた遠近孝一が今作ではダンゴロンに声を当てている。この声も好き。ダンゴロンのスーパーモードも格好良い。

 他にも出てくる声優が豪華だった。

 

 メインのビーロボのデザインは可愛く、変形後は格好良くて美しい。この点が最高なのでおもちゃが欲しくなる。でも今だと買えないよな。我が家のお兄ちゃんがスーパーチェンジ後のカブタックのおもちゃを持っていた。

 

 ビーロボ達の周辺にいる人間のキャラも楽しい。

 ちょっと冴えないけどこれくらいがリアル性があって丁度良い譲くんのキャラ性には親近感が沸いた。

 第一話で譲くんがモスラのスリッパを履いているのだが、アレは見たことがある。親戚の誰かが持っていたはず。今だったらレア物かもしれない。

 

 ミスター朝日小こと吉祥寺蔵之助も良いキャラをしている。

 ヒロインの三鷹小百合ちゃんも可愛い。小百合ちゃんが放送開始からどんどんデカくなってるのも印象的。丁度成長期だったのだろう。小百合ちゃんの水着回もあるので、そこはちょっと良かった。

 

 ヒロインならテントリーナちゃんもロボなのに色っぽくて可愛かった。テントリーナちゃんがあちこちでバイトをしているのも印象的。週毎に色んな仕事をしている。夜にオープンの多分ピンクなお店の客引きバイトもやっていた。なんでもやるんだな。

 テントリーナちゃんが真面目に見えて意外と煩悩に素直な点も面白い。テントリーナちゃんがスターピースを使って勝手に願いを叶えてしまう回は問題回だと思う。豊胸のためにスターピースを使ってしまうという乙女の事情が過ぎる案件なので信じられない。

 その後の回では、安室奈美恵が妊娠して休業中の内に彼女に代わって売れっ子アイドルになろうとスターピースの力の借りようとする。その回では、カブタックは譲くんを東大に行かせるため、クワジーロはお世話になった大工の親方に重機をプレゼントするために戦うが、テントリーナちゃんの願いは私利私欲過ぎた。結果、街がピンチになったので、街を守るために願いを使う。カブタック、クワジーロは他人を助ける大切な願いを諦めるが、テントリーナちゃんはポスト安室奈美恵を諦めるとか言って共闘する。彼女の言い分だけ何か笑えてしまう。

 これを受けて安室奈美恵全盛期の頃の作品だったのだなと分かる。セガサターン安室奈美恵のゲームが出たのもこれくらいだよな。その安室ちゃんも休業から復帰した後にやりきって完全活動終了したし。今この作品を見たことによって確実に時が流れたと分かった。

 

 小百合ちゃんと喧嘩する金持ちお嬢様、ミスターに絡んでくるあきらくんも楽しいキャラだった。

 ゲストキャラの設定が後半まで活きていて、あきらくんの家の会社が倒産後の回では、お父さんが自宅で傘を作る職人になってすごく貧乏ということも分かった。別に無視しても良い中盤設定を後にも活かす無駄な作り込みが好きだった。

 

 骨董屋の小金井さんも良いキャラをしている。彼の立派なお店が後半になると火事で燃えてしまう。後にはボロボロの仮店舗を出していた。小金井さんとあきらくんの家の不運が目立っていたのが記憶に残る。

 

 ダンゴロンと相棒になった婦警のみきさんは勤務態度が悪い不良警官で面白かった。

 ダンゴロンの設計の不完全な要素は、女子の見分けが出来ないこと。誰を見てもみきさんと言う点も印象的。コレ、結構共感できる。私も女子の事は結構同じに見えてしまってよく人を間違う。普通に叱られるから人の事はちゃんと覚えよう。

 悲しいのがみきさんのフェードアウト。ダンゴロンが婦警ロボットから受けた情報で、みきさんは農家をやるから警察を辞めて田舎に帰ったと知った。これは無理やりな設定をさらっと言っただけで中の人の事情で降板だったのだろう。事前挨拶をなるエピソードもなく、サイレントフェードアウトとなった。

 

 しっかり特撮する要素として、中盤から登場する巨大ロボにも注目できる。特撮オタはだいたいデカいロボが好物。

 カブタックはデカいカブタックのようなドデカブタック、シャークラーにはトンデモジョーズの専用マシンがある。途中で考えるのを投げてしまったかのようにも思える結構スマートなネーミングセンスで良い。冗談みたいな名前でインパクトがあることから覚えやすい。 

 気になるのはトンデモジョーズの見た目。これはガオハンターやないか。これの5年後くらいにガオシルバーが乗り回す愛機に良く似ている。これをヒントにガオハンターが誕生したのかもしれない。ビリヤードがしたくなるぜ。

 ドデカブタックのスーパーチェンジがこれまた豪快。すごいデカいのにしっかり回転して変形する。変形後はバスターオーレンジャーロボぽい。

 

 メカニックならカブタックのサポートロボのデンデンローラーもセンスが良い。これもオーレンジャーで登場したジャイアントローラーの進化系みたいな感じだった。もっと気軽に乗り回せる実用性の高いジャイアントローラーの感じがあった。段々出番が減って行ったけど、それについてはデンデンローラー自身も最近出番なくない?と愚痴っていた。 

 

 意欲的にネタ要素に走ったことで印象深い回が映画「北京原人」とコラボした回。

 この映画は結構アレな感じだったらしく、私は見たことがないのだが、しっかり視聴した父が言うには「なんか変な映画だった」ということである。機会があればこちらも見てみよう。 

 この回では現代に蘇った北京原人がそこらをうろつく騒ぎが起きる。鳴き声の「ウパー」しかいわない。ちびっこ原人なのだが、これが後に売れっ子声優になる小野賢章だったのは驚き。どんだけキャリアがあるんだ。子役をしていたとは聴いていたがこんなにチビの頃からやっていたのか。この原人のガキの役から発して後には黒子のバスケジョジョで主役を張るようになるのだから未来は分からないものだ。声優好きなのでこの事を知れて嬉しかった。

 

 最終的に13個のスターピースが揃った時には、スターマインドというふざけた見た目のおっさんが出てくる。これが守護神らしい。ふざけた見た目だが一応ラスボス。ラッキィ池田が演じている。 

 変身したスターマインドはレッドパンチャーを銀色に塗りたくったような見た目だった。

 

 スターマインドは長年生物の歴史を見て来たことで、人間こそが地球を壊すと知る。だから滅ぼすと言い出す。

 最終回の勝負だけは、これを止めるため普段揉めるビーロボ全員が結束してラグビーバトルを行う。やっと壮大な特撮ワールドになってきた。

 

 いつもは敵対するコブランダーに対して、地球を守るために協力してくれるなら好物のスイカを全部やると言って男を見せたカブタックの姿がちょっと格好良い。コブランダーも、喧嘩しても同じビーロボだから心の奥では皆繋がっていると熱い言葉をくれる。コブランダーがずっと子悪いのに最後は結構格好良い。

 最終回はコマンダーの力に頼らずカブタックと譲くんの友情パワーのみでカブタックがスーパーチェンジを完成させる。あそこはちょっとぐっと来た。

 

 友情の結束が生んだ一幕に感激したスターマインドは、地球にもこの素敵な精神があるならまだ大丈夫。滅ぼすのはやめようと言って事を収めてくれるである。

 スターマインドが認めた人が友を思う素敵な心をいつまでも忘れてはいけない。

 

 最終的に作品が言いたかったのは、地球に生きる者同士が互いを信じて手を取り合い平和を作る事が大事だってこと。良いことを言ってる。特撮は教養だからな。見て良き学びがなきゃいけない。

 

 というわけで清く正しくカブタック!と己に言い聞かせて素敵な明日を迎えるための糧としよう。

 

 スポンサードリンク