こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

「アメトーーク ギャグ漫画サミット」を見てギャグ漫画って良いよなって思った話

 先日のアメトーークでギャグ漫画サミットを行っていた。いや~これは趣き深い。笑いを仕事にする者達が、笑いを学べる本を紹介しているのだ。となるとなんだか専門性が高い寄り合いにも思えて来る。

 

 ギャグを生む側の芸人達にとっては、笑いのセンスを磨く糧になるコンテンツとなるだろう。そして我々のようなお笑いを商売にしない者にとっても、人生にあれば嬉しいユーモアを身につけるバイブルになる。つまりギャグ漫画はなんだかんだで教養がある秀逸コンテンツなのだ。

 

 ギャグ漫画っておバカな内容が満載だけど、見世物として計算されたおバカな笑いはマジでバカなヤツには一生導き出せない。計算してバカを出せる同級生とマジでバカゆえ頭の演算機能がまるで働いていない同級生とでは、少し会話しただけでも物がまるで違うと分かる。本物のおバカと話すと逆に戸惑いと不快感から楽しめない。上品かつスマートに笑いを生める人間ってのは、なんだかんだで頭が良いのだ。だから私はギャグ漫画を成立させるだけの腕前を持つ漫画家ってすごいと思う。もちろんお笑い芸人もね。

 

 この私もたくさん漫画を読んできた。その中にはギャグ漫画も多く含まれる。とても好きなジャンルだ。今回はそれらの中から漫画好き芸人がイチオシを紹介してくれた。

 最近は漫画を読めていないから古いのしか知らないのだけども。そんな状態の私もしっかり知っているし思い入れのある作品として「世紀末リーダー伝たけし」「浦安鉄筋家族」「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」「ピューと吹く!ジャガー」が取り上げられていた。ここら辺りは全巻か、そうでなくとも結構ディープに突っ込んで楽しんだ。マサルなんて丁度今、自宅倉庫から発見されたのを読んでいる時期だった。何か嬉しい。

 

 令和時代になってこれら古い作品が特集されるのも嬉しいものだ。それぞれ懐かしいので私だって語りたい。

 

 たけしは、作者のしまぶーに色々あって途中で漫画がストップし単行本が未完になった。でもかなり後になって完全版がリリースされたので、そちらを全部集めた。この漫画は原作者がキャラ化されてめっちゃ出てくるのも印象的だった。

 

 たけしの「リーダーにらみ」のシーンはマジで顔がブスすぎてめっちゃ笑った。これは未だに笑ったネタとして覚えているので、現役の芸人が同じシーンを推してくれたのは嬉しい。

 友がうんこを漏らしたら己も漏らして友の恥をニ等分なりゼロにまで持っていく。そんなたけしの友情に厚いリーダー性にはグッと来たな。

 これも銀魂とかに見られるリズムで、~編と銘打ったバトル展開をやりつつも基本はマジでバカみたいな笑えるエピソードを追っていく。たまにレアな展開で心暖まる泣ける話もある。結構良い事も言っているからまるっきりバカ漫画ではない。

 

 車にはねられても普通に死なないたけしは、後に「スクールゾーンの奇跡」として語られた話とかよく覚えている。

 

 知る人ぞ知るたけしの爆笑ネタだと、ひっさびさのモゲラとか捨てレスラーも忘れられない。あれらはマジでこちらの発想に無いから登場してきた事に衝撃を受けた。

 この漫画にはボンチューとかマミーとかのイケメンの不良も出てきたが、数あるキャラの中でたけしが圧倒的にブスでおっさん顔なのがずっと面白かった。あの濃いヒゲ面で7歳の小学生という設定は衝撃的だった。

 他にもアフロのゴン蔵とかスケベな校長先生、意外性マックスな足マンとかも面白かった。

 

 エコ精神のたけしは、学校のノートに繰り返し文字を書くことで一冊のノートをフルに使用している。結果真っ黒で後になったら何を書いているのか分からない。私もあれに近いくらいノートの使い方がケチで真っ黒だったのをよく同級生に指摘されたものだ。

 

浦安鉄筋家族」は、とにかく絵が上手いと記憶している。女子キャラも結構可愛く描けるし、全体的画力の高さが目立つ。なのにめっちゃバカで下品なのが良いコントラストになっていた。これは年上のお兄ちゃんが買っていて読ませてくれた。 

 レスラーの猪木に顔がよく似ている国会議員の回は我が家でも評判が良く、たまに出てきてはとんでもない量のうんこをひり出して行くのが下品すぎて笑えた。

 アメトーークで芸人も推していた飛行機墜落後のうんこが走るあのシーンはマジで笑ったので私も覚えている。

 

 この漫画は基本的に小学生達がメインで出るのだが、忘れた頃にどこかのテレビで見たあの人にそっくりな変なゲストキャラが来るのがマジで面白かった。

 ボギー愛子、十三階段ベム、国会議員、花丸木くん、難波湾、畑松五郎、角田弁慶、

不二家ペロ、そして極めつけの一番笑えるキャラが春巻龍。マジで濃くてヤバい面々が出てくるすごい漫画だった。

 

 漫画家のベムが白い壁に黒いインクを飛ばしてしまった時に、だったら壁全部を黒に塗れば目立たないとか思って、全部黒に塗ってしまう回を良く覚えている。ページも真っ黒になるこの発想が狂っていたのはマジで笑った。たけしでも浦安でも真っ黒に塗るネタは何か記憶に残る。

 春巻龍が高速道路の真ん中や学校の屋上で遭難した話もマジで面白かった。舞台の規模をこれでもかと狭く絞った話なのに、発想は飛躍的すぎるからビックリだった。

 

 これも覚えているのが何をどう見てもサザエさんファミリーをパロったキャラが出てくる回。

 カツオくん、ワカメちゃんっぽいけどオリジナルよりずっとブスなのが出てきて、サザエさんぽいオバハンはまるでバーサーカーのように暴れ回って小鉄達を苦しめた。

 この回のラストも印象的。サザエさんの偽物をマンホールの底に沈めて撃退したように見せかけておいて、最後は地下を割ってサザエさんの手が地上に出てきて小鉄が「死んだぁ!」みたいな驚愕の表情を浮かべて終わる。あの顔も面白かった。サザエさんパロ回は酷かった。面白かったけども。

 この回とか不二家のペロちゃんをパロったのもそうだけど、この作家先生はネタの大元から怒られた事がないのかな。

 絵が上手くてキャラを可愛く描く技術は持っている。でもブスを描く時の画力が特にトップギアだから面白い。

 

 

 うすた京介氏が手掛けたマサルさんジャガーさんもヤバい。

 このシュールかつ前後一貫性の無い変化球のギャグは当時だと斬新だったのではなかろうか。とにかくパターンや掟のない意味不明な笑いを生むのに定評があった。

 

 マサルジャガーも言動に前後一貫性がなく、理不尽なまでに暴力的な笑いを生む。とにかくこういう言動のキャラを作ってくる作家の発想が良い意味でしっかり狂っている。まともの外に出た発想でこそこの業界は勝負が出来るし、それが叶えば人は面白いと心から思えるものだった。

 既出の概念以外にも大きな学びがあると知れるある意味教養のある漫画だった。

 

 マサルさんでは終始「なにそれ?」となるセクシーコマンドーという謎競技がテーマだった。都度その場の雰囲気で崩しては立て直す謎多き基本設定に変化球なユーモアがあった。

 とにかくこういうワケワカメな世界観の構築が出来るいい加減な発想の連続が奇跡だなと思えるものだった。ずっと訳がわからんが続くのだが、最終的に全体的を見れば「これはこれで良いじゃない」となってしまうからエンタメってすごいって思えた。

 

 マサルさんよりも後になって描いたジャガーさんは、ジャンプ本誌のケツの数ページを彩る謎時間だった。こちらもカオスすぎてすごい。

 この人もマジでバカみたいな世界とキャラしか描かないくせして絵がすごく上手い。やっぱり絵描きだから内容はアホみたいでも見せる物はパッと見て綺麗なんだよな。

 

 ジャガーさんでは、ハマーこと浜渡浩満という名前にさんずいがめちゃ多い駄目忍者キャラが最高に笑えた。このキャラは傑作だと思う。

 同じ時期にジャンプでやっていた「NARUTO」と同じくジョブは忍者なのに、中身はクズいしザコだし卑怯だし色々残念すぎる。作中屈指の誰からも軽んじられるギャグ漫画に最も向くキャラ性を持っていた。

 そんなハマーもCDを出してスマッシュヒットさせた功績を持っているのが笑える。シングル「なんかのさなぎ」の内容なのだが、マジでイミフ過ぎて笑えた。よくコレがヒットしたな。

 歌詞に「それ、なんかのさなぎだったんじゃない?」と出てくるのだが、最近やっているドラマの「それってパクリじゃないですか?」を見てこの変な曲の事を思い出した。

 アニメ化した時にはハマーを演じた小西克幸がちゃんと歌ってCDにもなっている。小西氏は「俺は今何を歌わされているのだろう?」と不思議に思わなかったのかな。

 

 このジャガーさんも掟破りの破天荒ギャグものでやり口がすごいし酷い。

 新章に入ったところで、多分オチまで持っていくのが面倒になったのか、オチを回避して次に行くという反則的戦法を取ってくることがあった。

 漫画の途中で急に絵が終わり、作者のメッセージが表記される。その内容が、自分は悪党に捕まって自由に描けない状態で参っている、だから途中で終わる的な事だった。まるでスティーブン・キングミザリー状態なんだけど。で、本当にそのまま尻切れトンボでそのエピソードは終わってしまう。このふざけたギャグが会議で通る世界が愛しい。ヤバい。

 

 話の筋としてコレをやる予定だったジャガーさんが、勝手な思いつきで当初の予定を無視して全然関係ないことをやり始めて、当初の目的は投げっぱなしみたいな演出もあった。例えば買い物に行く予定が、公園で野球をやっているのを見てそっちに夢中になって結局何も買わずにそのまま家に帰るみたいな。この計算されたのかどうかも謎なテキトー緩い流れは作品独特のもので面白かった。

 

 ジャガーさんならニャンピョウの妹を助ける話とか謎の生物クヤシスが絶滅する話とかはマジで笑った。クヤシスが超キモい。

 

 単行本が意外と長く続いたジャガーさんだけど、最終回はマジイミフだった。オチまでふざけていたなぁ。

 何気に要潤主演で実写映画化もしている。あれも謎な出来で、いくら有給休暇があってもまた見ようとは思えない代物だった。

 

 番組で取り上げていないけど個人的にグッと来たギャグ漫画なら「魁!!クロマティ高校」や「スクールランブル」もギャグが効いていて良いと思う。

 スクールランブルは女子高生がたくさん出て来る萌えなラブコメ要素が強いが、ギャグものとしても魅せ方が良かった。

 

 やっぱりギャグ漫画って良いな。私はとにかく楽しい事を命ある限り追求したい人間なので、楽しい成分がたくさんのギャグ世界をしっかり愛している。人生の中でそれらに触れてユーモアを学び、自分の中で育てて来て今がある。良き青春だった。

 

 日本よ、笑いで包まれてこれからも栄えあれ。

 こんな感じでまとめてギャグ漫画の思い出を終えよう。

 

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