こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

ゾンビになるまでにやりたい事は全部やっておけ「ゾン100 〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜」

「ゾン100 〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜」は、2023年8月3日にNetflixで公開された映画作品。

 

 ゾン100といえばアニメも実写も近い時期に解禁されたのだが、アニメの方はしばらく新作をやらないという困ったことになってしまった。先にアニメを楽しんでいたのだが、放送しないから実写の方を見てみるかぁ~。そうなったものだから実写をゆっくりまったり見ました。

 

 主演は赤楚衛二。赤楚くん、最近色んな所に出てくるな。売れっ子の仲間入りを果たしたようだ。

 最近は公文式のCMも出ているし。すっかりかつての羽生名人枠だな。にしてもニンテンドー64の羽生名人のゲームは面白くなかったな(それもそのはずでこの私、将棋のルールをまるで分かっていません)。

 

 映画内容は、ブラック企業戦士をしていた主人公青年が、世界のゾンビパンデミックを受けて精神の解放を迎え、そこからは自分のやりたいことをしっかりやって生きるという青春物語。

 人生は間違いなく有限だから、その終わりを迎える前にやりたいこと、やるべき事はさっさとやってはおけという良い事を言っているのだが、そこに至る入りの展開からとんでもない。

 

 順調にブラック企業で命を消耗させていると、前触れ無く街はゾンビパニックになる。そういやコレの説明とかは特になかったな。どこかの破滅主義持ちのマッドサイエンティストがウイルスでもばら撒いたのかな。

 

 主人公のアキラはブラック企業での生活に疲れ、自殺を考えるくらい精神的に追い込まれている。この状況から解放されるなら種類違いの絶望が来ても今よりはましという極限状態にある。可哀想。

 ゾンビに襲われる命の危機と隣合わせになったとしても、ブラック企業から脱せるならそれで良し。絶望第一章が終わって、絶望第二章の到来となったわけだが、それでも一章の終わりが見たい人間からすればもう何でも良い。そこまでの事になっている精神状態が異常なんだよな。

 私もゲームがしたいから学校に行きたくない時には、局地的地震か隕石落下で学校ぶっ潰れないかな~と思ったものだ。あれの拡大系の願いがアキラの現状。だからそんな心理もちょっと分かるぞ。

 

 どうあってもブラック企業から脱したいサラリーマンの悲哀がそこにあるという点は風刺がかっている設定なのかも。

 ていうか最近はアニメでもよくブラック企業事情が出てくるけど、こんな事って本当にあるの?私はホワイトしか訪れたことがないから、家に帰れないとかまでのブラックさとなるともはやファンタジー感覚なんだけど。 

 

 ゾンビにいつ噛まれて人間を卒業することになるのか分からないので、アキラはノートにやりたいことを100個書いて実行することを人生の目的にする。この生きている内にやりたい事を100個書いて実行していくっていうのは、昔見た洋画でもあった設定だな。

 で、この100個を思いつくのって結構難しい。アキラも実際には100個思いつかず、都度書き足している。考えれば100個もしたい事ないかも。1をとことんやってもいいじゃないか。そんな事も思えました。

 

 ケンチョ、リスクヘッジ姉さんを仲間に迎えると、恐怖のゾンビ映画とは思えないくらい爽やかにやりたい事をやっつける活動が描かれる。

 ベランダで肉を食うを実行する時には、こんな時でも塩やタレが切れていると妥協出来ずに危険な中買い出しに出ることに。そのグルメ感覚は結構分かる。

 アニメでは何かと脱ぎがちな男だったケンチョだが、実写ではちゃんと服を来ているお兄さん設定だった。

 

 中盤までは仲間で楽しく冒険だったが、そこからはまさかの小杉さん再登場で何か怪しい展開になる。あいつ生きてたのか。

 顔が濃いことで小杉さんて名前で、役者が北村一輝なのもやはり顔で決めたんじゃないかな。小杉さんで薄い顔の俳優を持ってくるわけないし。

 

 ゾンビパニック以降は、活き活きとした人間性を見せていたアキラだが、小杉さんとの再会で社畜根性が復活してしまう。事情が変わって前向きになったとはいえ、精神に残る恐怖はやっぱり消えず、また服従モードになってしまうんだな。ここに悲しき社畜マインドが見えてしまう。

 

 水族館に出来た小杉帝国に入っていく事で、中盤以降の新展開が始まる。小杉のヤツ、ムカつくぜ。

 小杉さんがゾンビまで労働力の一部に盛り込んで新ブラック帝国を作っているのは印象的。

 自主性なく言われるがままに働く人間もまたゾンビと同じような習性持ちだと言えよう。ゾンビまで労働させる施設で人間も同じくゾンビのように働いている。小杉さん的にはそんな感覚なのだろう。人の心が削がれた上司がいかにたちが悪いのかが見えてくる。

 

 この水族館では、ゾンビ化した上に足が生えたサメを相手取るスーパーバトルが展開する。ここがB級映画的にもアクション要素としてもハイライト。ゾンビにサメとかB級映画を湧かせる要素のコラボだからその手のマニアなら必見だな。私はゾンビもサメも好きなのでここは楽しく視聴出来た。

 

 ヒーロー志望のアキラがやたら格好良い対サメ用、またはゾンビ用スーツで大立ち回りするシーンがやってくる。ここは仮面ライダービルドでクローズに変身していた赤楚くんのヒーローアクションの見せ所だ。ライダー俳優の経験が活きたな。

 

 アニメだったらここは可愛いヒロインのシズク救出のために出動するのだが、実写だとサメに食われそうになっている小杉さん救出のためにアキラが出動する。救出対象が可愛いヒロインからクソ上司にチェンジしているので、ヒーローとしてもモチベーションがかなり変わってくるだろう。あれだけ悪さをした小杉さんだって助けてあげるアキラはなんて良いヤツなんだ。

 

 サメの倒し方は酸素ボンベを噛ませたところに銃弾をぶち込む以外に無いと思っていたが、これを見るに感電攻撃でもやっつける事が出来ると判明しました。これは後学のために覚えておこう。何かあった時には生き残れる知恵になる。

 

 すったもんだの騒ぎの末、水族館の小杉帝国は解散となり、各員は自らの意思でそれぞれの人生を歩むことになる。良かった良かった。ここで終わり。

 

 アキラは命の危機が迫ったヤバイ世界になった事で真に生きようと心を改めたわけだが、尻に火が着いてから動くようではまだまだ、そして火が着いてもなお動けないヤツはダメダメ。これを見るに、そういう学びがあった。

 思考を麻痺させて日々同じリズムでなんとなく生きているなら、死んでいないだけでまるでゾンビと一緒。思考して充実のマイライフを描き、それを辿ることこそ真に人間らしい在り方だと言えよう。

 自分らしく生きると決めたアキラ達と対比する要素としてゾンビが配置されているのだな~と考察出来た。

 人よ、ゾンビになっている場合ではない。人であるなら人たらしめるマインドを持って今をしっかり生きるのじゃ。そんな教えが聴こえて来そうな楽しいB級コミカル映画でした。

 

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