作業をするなら竹内まりやの「SEPTEMBER」が必聴の季節になりましたね。一番寂しい月の到来です。
そんな時になって見たのが「仮面ライダー龍騎スペシャル 13RIDERS」。なんで今さらやねん。
今作は2002年9月に放送されたライダー作品のSP放送番。21年も前の作品なのか。新しく格好良く見えるけどしっかり古い。
最近だとバラエティ番組でセクゾのケンティが実はファンだと公言し、変身ポーズも全部出来るとノリノリで披露することがあった。
ギーツの映画版に龍騎がゲストで参戦するという嬉しいビックリもあった。
放送から20年経ったここに来て龍騎がまた熱い。私の中だとずっと熱い。
私は龍騎が大好き。私に限らずだが、コレを見たのをきっかけに特撮もの、ヒーロー番組に対する価値観が変わったという者も多くいたはず。そのくらいこの作品は革命的に何かが違う。その何かをしっかり知ったからには虜になる。美味しい仕様だ。
それまではライダーといえばずっとソロでやるもの、複数人登場する場合には少々揉めることはあってもなんだかんだチームでやっていくもの、そんな概念があった。
だがこの龍騎には13人という「多すぎだろ!」なライダー軍団が顔出し、それぞれがソロ戦力で戦うバトルロイヤル方式が設けられていた。13人でやりあって最後に生き残った1人は何でも願い事を叶える権利を獲得する。
ライダーとしてどころではない。朝に子供達が見るヒーロー番組として既存の定義を取っ払う事になった。この仕掛け、マジでおもろいっす。
リアタイしていた家の親も「コレ、教育的に大丈夫なのか?」と思いながらも楽しく見ていたとか。母は英雄になりたい東條くんの事が大変気になっていたらしい。アイツの頭のイッちゃい具合が愛せる要素だったよな。我が家の人間は諸々寛容で寛大です。
出てくる人間は色んなジョブ持ちで、ゴシップ屋、怖い警察、怖い弁護士、牢屋で死刑待ちの悪漢、占い師、鏡の中に引きこもったお兄さん、ゴロウちゃんなどなど、色んな立場の方々が登場して面白かった。
龍騎って何気に名セリフのオンパレ枠だったよな。神崎士郎の「戦え」は真似してめっちゃ言ったわ。懐かしいっす。
今だったらライダーで行う聖杯戦争、数がシスプリと思うヤツも多くいるはずだろう。色んな作品で良い感じに刺激し合ってそれぞれが良作になって行ってるのだと思います。私はサーヴァントも妹軍団もライダーも全部好きです。
そんな名作の龍騎をなぜ見ようと思ったかというと、親戚のちびっ子が読んでいた図鑑に載っていたから。ライダー全部載せ図鑑みたいなのを読んでいて、その中に龍騎のページもあった。ワンシリーズでめちゃ出てくるからページが華やか。
これを受けてまた龍騎が見たい。しかしまだまだ見ていない積みBDが私を待っている。龍騎を全話は時間的にきついので、だいたい50分くらいで済むSPを見てミラーワールドに浸るかぁ~となったのである。我ながら実に素直で理論的な思考回路。
この13人全部出しのSPは普通に伝説。
テレビ版だと全員揃っていないし、新ライダーが出た時には既に脱落者が出ていたことから対面した事がないライダーの組み合わせもある。それが13人全部出しになるとか豪華すぎる。全員揃い踏みはこのSPでしか見えない黄金の景色なのでそこに大きな価値がある。なんか一杯いるってだけで子供心的にはわくわくしたことだろう。
当時の本放送を録画したVHSが我が家に残っている。まぁDVDも持っているんだが、リアタイの臨場感も欲しいのでそっちを見る。もうCMからして古い。知らん大人がたくさん出てくる。
ライダーはニチアサ盛り上げコンテンツだが、この龍騎SPは平日晩の業界的に言う黄金の帯枠でドカンと放送した。またの言い方をすればゴールデンタイム放送。これはすごい!黄金の記録である。平日ゴールデンにライダーの殺し合いがお茶の間に流れたとはスマートに荒れた時代だな。
お話の内容はテレビ版からリセットされてイフの世界戦の第一歩から始まる。この仕掛けも面白いな。テレビの続きでなくコレはコレで一作で終わっているものだからビギナーでもなんとかついていける。
キャラは同じ人が出るけど別世界線ってことで、キャラの関係性や設定などはちょこちょこ異なっている。
城戸が龍騎になる過程もテレビと違い、榊原っていうお兄さんから龍騎を引き継ぐことになっていた。
この榊原って人は誰だろう。どこかで見たことがあるようで無いようで~とちょっと考えた結果「分かんない」となった。調べてみるとダイレンジャーのリュウレンジャーの人だった。龍繋がりでそう来るかぁ~。ダイレンジャーは見たけど同じ人でも結構雰囲気が違っているかも。ダイレンジャーは龍騎から遡ること10年くらい前の古い特撮だからな。
この時代に見る実写とCGの合成具合も結構良い感じ。00年代にも入ればCGもかなり自然に映し出せるようになってるのなぁ。後半に出た大蜘蛛の怪物が結構格好良い。ガイが蜘蛛に食われているのを見ると。いい気味と可哀想が半々の複雑な気持ちになる。
久しぶりに見ても蓮は荒れたイケメンだな。結構ゴツいバイクに乗っている。チビの時に見たら喧嘩っ早い蓮がちょっと怖かったりもした。しかしやや高めの良い声しているな。
この世界線でも手塚が変身するライアの役回りが不憫。テレビ版よりも雑に始末されているな。テレビ版で手塚が言った「俺の占いは当たる」はマジで名台詞。テレビ版でライアが脱落した時は本当に悲しかった。
13人が勢揃いなのが本作の売りだが、この当時だとテレビではまだ出てきていない面々も初顔出しが叶ったことで更に見る価値があった。中でもベルデはテレビでも劇場版でも会えないココだけのレアなライダー。ベルデが好きな人はコレを鬼リピするしかない。
13人ライダー全部デザインが良いけど、カメレオンを模したベルデのスーツもかなりイケてる。めちゃ良いじゃん。
ベルデがかなり目立っているのも本作の特徴。しかしこのベルデ、覚悟を決めてワル路線を行ってる。めちゃ悪いヤツだな。手塚も蓮もコイツにトドメのダメージを食らっている。
ファイナルベントがキン肉マンの必殺技みたいな分かりやすく物理の暴力で逆に怖い。爆発は無しで、首の骨を攻めて仕留めているような。ファイナルベントは全部怖いけどコレが一番くらいたくないと思う。
変身者の怖い社長の高見沢を演じた黒田アーサーが怖くて嫌になったものだ。
人間は皆ライダーだと例えて競争社会の恐怖とキツさも伝えた闇の社長論も記憶に残る。子供番組でよくこんなこと言わせたな。今思えば志々雄真実も同じような事を言っていたな。
怖いといえばやっぱり浅倉威。こちらの単発SPの短い時間の中でもしっかり怖い。浅倉がシンプルに怖すぎることから当時は苦情の電話が多めに鳴ったと聴いたことがある。超有名な逃亡犯だからな。
蓮が脱落して城戸がナイトに変身するというシーンは胸アツ。これは思い切った展開を用意したな。
ナイトサバイブはマジで格好良い。本作で一番イカスデザインかもしれない。
そして思い切ったといえば、視聴者投票によって話のオチを変える番組企画。これはすごく面白い仕掛けだな。こんなこと滅多にないことだろう。
城戸がナイトに変身して戦いを続けるか、ミラーワールドを封印して戦いを終わらせるか、2つの世界のどっちが良い?と視聴者に投げかけ、オチは投票で決まったという。
放送版の戦いを続けるエンドだとナイトサバイブを囲むライダー達全員がファイナルベント発動準備に入り、ナイトは剣を抜いてそこに突っ込んでいく。気になるそこで話は終わり。
これを見たウチのお兄ちゃんが「コイツこの後即死だろ」って言ってました。確かに集団ファイナルベントに剣一本は無理っすね。
放送版では戦いを続けるに決定したけど、前もってどちらの映像も用意しているからもう一方はパッケージを買えば見れる。
戦いを終わりにするサイドのオチは怖い。こっちはバッドエンドだろ。ミラーワールドを閉じた後の世界線でもまた戦いに巻き込まれて結局「戦わなければ生き残れない」の作品キャッチコピーのままの流れになって行く。また戦いが始まったことで城戸は発狂して叫び出し、そんな救いがない感じでエンド。怖いって。
こちらのエンドでは高見沢が言った「人間は皆ライダー」のフレーズが再び木霊する演出が取られる。
高見沢の言葉も案外真を突いたもので、ライダーバトルはどこの誰がなるか分からない、誰でもなる可能性がある、じゃあ皆ライダーで戦いから全く無関係の立場でいるのは難しい。なんなら人間の社会って戦場じゃね?私もライダーとして戦ってね?そんな人かライダーかの戦い理論スパイラルに落ちていく……。
高見沢のあのセリフが後で効いてくるんだなぁ。社長だから見ている景色が違うのかも。
当時は今みたいにデータ放送とかSNSで気軽に投票出来ないから電話やネットで応募だったという。当時だと携帯やパソコンを持っていないことでネット環境にない家も結構たくさんあったと思う。昔は電話していたとか今では考えづらい。
諸々新しい挑戦の企画だったんだな。
そんな放送背景も面白いし、やはりライダーは格好良いので集まってバトルするシーンには湧く。50分くらいの短い作品だが濃密な特撮魂を感じる面白い作品だった。
また時間があれば全話行きたいところだが、この暑い夏にはSP一本だけだな。やはり龍騎は名作だ。
スポンサードリンク