こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

ぶっちゃけありえないシリーズ1作目「ふたりはプリキュア」

ふたりはプリキュア」は、2004年2月から2005年1月にかけて放送された全49話のテレビアニメ。

 

 皆大好きプリキュア。その歴史はなんと約20年も続いた。素晴らしいことです。私はプリキュアが大好きです。

 プリキュアアイカツ、プリティシリーズ、それら全ての放送が重なっていた時期が最強の女子枠時代だったと思います。今となってはプリキュアが唯一の生き残り。なんでや、日本から女児が減ったのか?

 もうこうなったら是が非でもプリキュアに頑張ってもらうしかない。プリキュアが女子枠の未来を担う重要な柱です。エンタメ界のエンタシスです。

 

 そんなプリキュアも20周年記念ってことで、現在は歴代戦士全部出しのスペシャルな映画が公開中。時間と金に余裕があるやつはとりあえず見て来た方が良い。

 

 世は周年を迎えてプリキュア祭状態。そんなこともあって歴史を振り返ろうと思う。私が見る次なるBDはこいつに決まった。記念すべきシリーズ第一作「ふたりはプリキュア」である。

 意外と最近までBD化されておらず、綺麗な状態でご家庭に届くことが長いこと叶っていなかった。とりあえずプリキュアは全部BDで出すのが正解。

 

 放送中の夏アニメが多すぎたこともあって視聴に結構時間がかかった。だいたい3週間かけて全話視聴した感想やその他関係ない話とかを書き殴って行こう。

ふたりはプリキュア~20th LEGENDARY BOX~ [Blu-ray]

内容

 美墨なぎさ雪城ほのか、2人の女子中学生が正義の戦士プリキュアに変身して悪者をぶっ飛ばす!

  ↑

 というのがめちゃ簡単な内容。もっと詳しく知りたいならウィキとか公式サイトで確認してね。

 

感想とか

 プリキュアとは一体何なのか。それはPRETTYでCURE×2なギャル2人組なのである。

 PRETTY、それは可愛い。CURE、それは治すとか癒やすを意味する。OP曲の歌詞にある通り、気になるあの子達は可愛いくて癒やしをくれる素敵ギャルズ。全く嘘なき内容。

 

 時代は21世紀に入り、放送した時期だともう人々も20世紀を忘れかけた頃だ。この時期にもなれば、奥ゆかしきやまとなでしここそが上等な日本女子という価値観はもはや古代のものとなっている。

 萌えを描く技術も深まった00年代前半ともなれば、アニメ女が可愛いなんてのは当たり前。それだけではもうオタクの需要を満たすには足りない。可愛いに何をかけ合わせればそれが叶うのか。答えはバトル!

 そう、プリキュアは可愛いだけではなく肉弾戦をバンバンやる格闘ヒロインなのだ。これが当時流行りの女子の在り方。それは今にも至る。

 

 銃とかビームとかでなく徒手空拳で悪を砕く。時代はコレを待っていた。待っていたものがハートにドカンとぶつかってくるとオタク達は大変喜ぶのだ。

 というわけで、女児を巻き込むのは基本として、加えて大きなお友達も引き込んで成功したのがこのバトルヒロインもののプリキュアだった。素晴らしい!

 

 女子だって戦うし強い!もう守られてばかりのお姫様ではない。立ち上がれ!ガールズビーアンビシャス!

 それくらいの気概を感じるアニメ的ニューウェーブの到来である。

 

 プリキュアの産声に見たこの熱に私は感動した。ただ荒い女は怖いけど、正義を重んじて拳を握るならそれは女子の魅力となります。プリキュアはとっても可愛い。

 

 久しぶりに見たら思った以上に肉弾戦している。

「制服着てても2人はむちゃくちゃタフだし」とOP歌詞にある通り、変身前からだって2人揃って結構動けている。変身していない時に敵に襲撃されても結構攻撃をかわせているのに驚いた。2人ともただの学生にしては基礎運動能力が高いのかも。だからプリキュアとして選ばれたのかも。

 

 このように見た目の可愛いギャルがかなり本格的にバトルを行う新時代の作風について、当時の女児達はどのように受け止めたのだろうか。

 女児として当時を生きた親戚のお姉さんに話を聴いて見た。

 彼女が言うには、前作の「明日のナージャ」が神っていたため(←個人の感想)、次の放送作品のプリキュアの受け入れが困難だったという。複雑怪奇な乙女ハートにはそういう都合もあったみたいよ。

 プリキュア初視聴時に彼女が思った内容を録音しているので、それを文字起こしして以下に記します。意外と真面目な取材班です。

 ↓

「何よこのゴルフ女と化学女。今度は蹴る殴るのこんな野蛮な女達がニチアサを盛り上げるのね。もう嫌っ、ナージャはどこ?ナージャを返して!」

 とステレオテレビの前で文句を言ってたらしいです。実に正直。

 

 ちなみにゴルフ女とはなぎさちゃんの事である。当時お初だったラクロスを知らずにゴルフだと勘違いしたそうな。まぁ分かる。

 そういえばなぎさがラクロス部に入っているのも珍しい設定。ぶっちゃけ当時から今日まで謎のスポーツだよな。遂に学校にそんな部活は出来ず、体育でもなかったし。もっと言えば人がやっているのを見たこともない。私は山で育ったのだけど、都会の子供なら当たり前のように嗜んでいたのかな。

 たくさん生きてきたけど、このアニメと「猫の恩返し」でしかラクロス女を見たことがない。猫の恩返しって主人公のあの子がラクロス部で長いラケットを持っていなかったら肝心な猫を助けられていないよね。あの長さである事が大事だったラクロス女不可避アニメだった。あちらも良き作品でした。

 

 そんな感じでゴルフにラクロスにとにかく文句を言っていた親戚のお姉さんだけど、見ていく内に可愛いし熱いのでコレもありかも。闇の力のしもべじゃないけど、ここはとっと心変わりだ!となったとのことです。重ねて実に正直な生き方でグッドです。

 

 そんなこんなでナージャ信者も取り込んでプリキュアは大きく育って行きました。ちなみにナージャ声優の小清水亜美は、初代プリキュアでもちょい役で出ているし、後のシリーズではちゃんとプリキュア役として帰ってきた。これを受けてナージャ好き諸君は感激したとも聴きました。人にも時代にも歴史ありですね。

 

 最初のシリーズは「ふたり」に拘り、徹底的にバディ仲を深めて行く事を描き、そこを大事にしている。

 ほのか、なぎさは中2だが、前年はクラスが違ったことで当初はほぼ面識がない。

 ほのかの方は男子にモテモテで博識なことから「うんちく女王」の通り名を持っている。つまり有名人。初っ端から星についてのすばらしきうんちくを披露している。私が知る中2といえばアホの極みみたいなのがほとんどだったので、その中にあっては確かに賢い。

 なぎさには女子のファンが多くつき、女子にモテるけど男子にはモテない。だからなんとかなれって思っている。マインドとしては等身大な乙女。そんなことないだろう、絶対可愛いって!と思って私は見ていました。

 どっちもイケるけど、どっちかっていうとなぎさ派かも。

 

 意外だったんだけど、変身の掛け声が「デュアル・オーロラ・ウェイブ」なんてものだから2人セットでの変身となる。一人で勝手に変身するパターンではない。セット変身オンリーなのって昨今だと珍しい。結構不便だよな。

 じゃあ性別が女になって変身後も個体で動けるバロム・1みたいなものだなって父親が言っていました。その「みたい」から遠ざかる要素が結構入っているのだけど。昭和の人なら女版バロムとして楽しめるのではなかろうか。

 

 ブラック、ホワイトは単純に色違いのコスチュームではなく、ブラックはへそ出しルックス、ホワイトは隠している。これについては「何がどう?」と問われると答えづらい良き違いがあると言えよう。

 

 ちょっとメタいネタも印象的。 

 この手の変身ヒーローものって何で最初からヒーローは変身ポーズを知っていて、その後の口上もスラスラ言えるのかって気になることがあるよね。鋭い視聴者はそんなことも思っちゃう。

 そこで変身するなぎさ本人も、初任務でセリフが頭に入っていてポーズも完璧に取れちゃうことについて「何で?」と自問している。

 こういう触れると野暮ったい所にツッコむ点はユニークでオタクに受ける。

 

 最初は関係値がほとんどゼロから始まる2人だから、序盤を見ると今では考えられないくらいよそよそしい。~さん呼びで距離感がある。

 2人はプリキュアとしての任命がなければ仲良くなって行くようなタイプではなかったかもしれない。序盤の方では2人のタイプが全然違っている事を濃く描いている。

 全然違う2人だけど、プリキュアがきっかけとなり繋がって深まっていく。その過程を描くターンが美しい。純粋に見れば麗しき乙女の友情物語、ちょっと不純に見ればユリリズムの芽吹きが見られる良きストーリー性だった。

 

 2人が喧嘩して仲直りする回がとても良かった。それなりに揉めます。

 その結果、喧嘩して自分達がこのままバラバラになることこそが一番ありえない。その答えに達した2人は「~さん」を取っ払ってなぎさ、ほのかとファーストネームで呼び合うようになるのだ。あそこには感動しました。こんなにキュンと来るなんてぶっちゃけありえない。

 男女問わず、人が関係する中で呼び方が名字からファーストネームに変わるタイミングってメモリアルで大事な瞬間だよね。

 

 プリキュアもオフ時にはただの学生だから学校生活に忙しいし、遊んで恋だってしたい。しかし敵はそんな都合などお構いなしに向かってくる。

 乙女の青春ライフが確実に圧迫されることで、特になぎさの方がかなり精神的に来ているように見えるシーンもある。結構シリアスな問題だ。

 なぎさは愛しのふじぴー先輩と一緒にいる時、ラクロスの試合時にも襲撃を受けて大変。キレるのも分かる。戦う使命を背負った乙女の悲哀も見えてくるニチアサ枠。大変だ。

 

 文化祭回ではなぎさがロミオ、ほのかがジュリエット役で皆大好きロミジュリ公演を行う。これは分かっているなぁとしか言えない配役。

 なぎさの演技が結構棒という設定も可愛い。この芝居の本番中にも敵襲がある。

 今回ばかりは人前で変身しても舞台の仕掛けってことでイケる。そう判断した2人は、文化祭で変身して天井もぶち破って戦います。絶対騙せないだろうってレベルで大暴れしていた。この回が可愛いし面白くて好きだった。

 

 プリキュア各員に与えられる携帯電話的アイテムの中にはミップル、メップルのお喋りネズミズが入っている。メップルはうざいけどそこも含めてかわいいやつ。こいつらが出会う度にイチャつくのがちょっとうざいけど、そこを上回って癒える要素がある。

 メップル役の関智一の発声はスネ夫の時と同じ感じだな。この時はまだスネ夫就任前だったはず。

 ミップル役はしんちゃん声優の矢島晶子だけど、同じとは思えないくらい声がか弱い。声優って色んな芝居をするんだなぁ。

 遅れて登場する次なるお喋りネズミのポルンも可愛いけどうるさい。人前で喋るな、出てくんなを言っても何かと黙っていない。ポルンがめっちゃ大口開けて叫ぶ所が印象に残っている。口がデカいんだな~。池澤春菜のチビガキ声は可愛くてよかった。

 お喋りネズミ達のボスとなる光の園のクイーンが、今だったらちょっと違和感あるCGで描かれる巨人だったのも印象的。時代だな。

 

 この番組のグッズは予想以上に売れたという。私は買っていないけど、多分ミップル、メップルが入っている携帯ぽいアレとか、ポルンは入っているパソコンとかがヒットしたのかもしれない。

 

 地球に攻めてくる闇の勢力はドツクゾーン、そのボスはジャアクキングドツクゾーンから放たれる毎度のゲスト怪物はザケンナー。割りと簡単なネーミング。

「どつく」といえばダウンタウンの浜ちゃん。浜ちゃんが言ってるのを聞いて覚えた言葉だから浜ちゃんの領域かよとバカな事を思ったものだ。

 ドツクゾーンが狙っている7つの宝石「プリズムストーン」の争奪戦になる展開も分かりやすく楽しめる要素。お宝を7つゲットはドラゴンボールの頃から皆な好きなやつ。

 

 ドツクゾーンの戦士で人間界では中学生をやっているキリヤくんの存在も忘れられない。

 ほのかと深く関わることで人間の良さを学んだキリヤくんは、闇の心に真心を宿して良いヤツになっていく。でも悪にはお決まりの鉄の掟がある。裏切り者がのうのうと生きていけるわけがなく、彼は始末されてしまう。

 粛清は絶対であり逃れることは出来ない。全てを悟ったキリヤくんは逃げ隠れせず断罪を受け入れるのだ。なかなか潔い退場、ゆえに悲しい。そんな彼の運命にも胸熱くなるものがあった。

 ほのかちゃんも彼の事はかなり気にかけていた。その結果あっち側とこっち側の戦士同士で真心キャッチボールが叶ったのは良き点だった。

 なぎさよりもメンタル面でお姉さんだったほのかもキリヤくん退場にはかなり胸を痛めていた。心の強い女の弱った所が見えるのは印象的。不謹慎だけどそういう点にもちょっと萌えます。

 キリヤくんは最後には転生して日本人の子供になったようだ。転生したキリヤくんを見つめるプリキュア2人を描いた最終回は切なくもあり、心が暖まりもする不思議な感じでした。

 

 後半から追加されるドツクゾーン3戦士の内、女子のレギーネは可愛かった。

 人間態では気弱でボソボソ言う女だけど、変身したらめちゃブチ切れている。こういう極端に異なる2面性を持つヤツはやばいから注意した方が良い。同級生にも何人かいたっけ。

 この3人はそこらの人間の中から闇の力が覚醒して向こうに仲間入りしていた。最初に出て来た元会社員のジュナを見た時には、なんかシュワちゃんぽいの来たって思った。

 3人揃ってどこかにあるいい感じの屋敷に住んでいる。前半クールの5人幹部よりも生活感が見える点に親しみが湧くキャラで良かった。

 屋敷に捕まったウィズダムとペットのオウムのやり取りも何気に毎度の面白みだったかも。

 

 最後はプリキュアがボスを倒して元の世界に帰ってくるが、メップル、ミップルは故郷に帰らず地球に骨を埋める覚悟を決め、遂には完全沈黙してしまった。餌をよこせとうるさかったネズミもあのようなお別れになると寂しい。でもコレ続編があるからな。

 戦いが終わり普通の生活に戻って進級したプリキュア達を描く最後はなんか切なげ。でもこの未来が守れて良かった。

 

 あの最終回でも綺麗に落ちているから、当初は1作で終わるつもりだったのかな。人気が出たのならどのようにでも続けることは出来るだろうから、それがないとしたらあの落ちで別に文句はなかった。ただの少女に戻るのが到達点としてはベストだものな。

 

 ただの乙女である事こそが愛しくて大事な時間。その想いが見えるED曲が好きだった。OPがすごく有名だけど、ED曲「ゲッチュウ!らぶらぶぅ?!」も良い。

 正直で等身大な乙女心と遊び心を含んだ歌詞には、なかなかイケてるテクニックが見える。チョコ食べまくるの落ちはギャルの平和時間過ぎて和む。

「戦うより抱き合いたい」。明るく流すように歌っているこの部分に最大限の乙女の願いが込められている。良いフレーズだ。地球全体で見てもこの内容を実行出来るのがベスト。

 

 偉大なる1作目となっていて楽しめました。

 だってやってらんじゃない!なんて言わずにこれからもずっと輝けプリキュア

 

 

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