こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

三度味わうおもしろカッコイイ「超魔神英雄伝ワタル」

超魔神英雄伝ワタル」は、1997年10月から1998年9月まで放送された全51話のテレビアニメ。

 

 ワタルのシリーズは、昭和もマジで終盤が迫ったころから始まっている。今回見たのは平成に入って復活したシリーズ3作目。

 2が終わってから6、7年ほど経過しての復活アニメというのでそこもすごい。ワタル人気が続き、スタッフもやる気になっているのだと分かる。ここまで経過してまたアニメ化するってのもそんなに無いことだから、多くの者に愛され恵まれたシリーズだったのだな。

 世紀末くらいのアニメ界ムーブが今になってもぼんやり見えてくることでなんだか胸にキュンと来ます。アニメっていいよなぁ、オタク文化もいいよな~。

 

 ワタル無印、2、その他OVA作品は全部見たことがあるが、3作目の超がつくのは見たことがなかった。この度無事視聴できて嬉しい。

 

 5、6年くらい前にワタル1、2をBDで見た。楽しかったのでその勢いのまま3作目も見ようと思ったら、当時はBD化がそこまで止まりで超がつくシリーズはまだキレイな映像で見れなかった。

 なんでやねん!全部まとめてBD化しろや!と文句を言ってから早幾年。本当に時の流れってのは早い。

 ちなみに超のシリーズに行けなかったあの時には、コレの次にサンライズが手掛けた魔動王グランゾートのBDを見ていました。あっちはあっちでおもしろカッコイイ内容でした。どれもこれも愛しきコンテンツ達として強くお勧めしまっす。

 

 超魔神英雄伝も2019年にBD化していたのだが、それからなんやかんやあって見るのが2023年の終盤まで持ち越しになった。人生ってホント予定通りにいかないし、そもそもその予定だって組みづらい。

 超のシリーズは放送した時期にVHSとLDが出ただけでDVDにもなっていなかったという。DVD化をすっ飛ばしてのBD化だった。

 なんで長らくパケ化できなかったのだろう。旧作に比べて劣る駄作ではないと思うし、面白かったのに。そこは謎。色々事情があったのかも。

 

 ワタルを見たのも結構前なので結構忘れていたり、一方でしっかり覚えている内容もありで懐かしいぞ。

 ワタル初期の敵にクルージングトムというヤツが出てきて、そいつが乗り込むロボがセカンドガンだったのに笑った。絶対にトム・クルーズとその代表作のトップガンから引っ張ってきたネタやんけ。

 これの他にもシュワルビネガーっていう絶対シュワちゃんアーノルド・シュワルツェネッガー)からネタを引っ張ってきてるキャラもいたし。

 程よくコミカルで楽しいコンテンツだった。

 

 セカンドガンのネタで笑ってから今回「超魔神英雄伝ワタル」までの間に、本当にセカンドガンに当たるトップガンの新作も公開されたし。こうなったらセカンドガンは時代を先どったギャグになったな。

 ワタルといえば、シバラク先生が戦闘前に電話をかけないとロボを呼べない面倒くさい設定とこのパロネタを一番に思い出す。 

 それと内容は忘れてもワタル無印初代OPの「STEP」は未だに聴いている。名曲だからね。

 

 好きなネタなのでどうしても触れておきたかった。じゃあそんな過去シリーズにおける触れたい点に触れるのも終わったところで「超魔神英雄伝ワタル」本編の感想を殴り書いていこう。

 

 平成版のワタルも超おもしろカッコイイぜ!(←これ、ワタル的流行りワードです。覚えておこう!)

 

超魔神英雄伝ワタル Music Collection (オリジナルサウンドトラック)

 

内容

 戦部ワタルの生活にまたまた不穏な影あり。

 街の人々が急に荒くれ者になる謎現象が起き、我らがワタルも正義の心と勇者の記憶を忘れて悪に染まってしまう。

 これは創界山で悪さをする連中の侵略がワタルの世界にも及んだ証拠だった。

 

 創界山を支配するアンコクダーの侵略とは、人々から良い心を奪って悪人に堕とすことだった。このままではあっちの世界もこっちの世界も悪者だらけになってしまう。

 そこでシバラク先生とヒミコは、悪に染まったワタルの根性を叩き直して再び異世界勇者として創界山に招くのである。

 三人はまたまたパーティーを組んでアンコクダー打倒を目指すのだ!

 

 こうして三度目の戦部ワタル英雄譚が開幕した。こんな超おもしろカッコイイ異世界ファンタジーなら見るっきゃない!

 

感想

 まずはいきなりワタルが邪気に当てられてグレてしまうのでびっくりです。前作ノータッチでここから見たお友達だったら、ワタルくんてド不良なんだと誤解してしまいそう。

 

 普段は正義に準じて爽やかに生きるワタルだが、悪モードもなかなかいい感じに見れる。田中真弓の悪いヤツの芝居もノリノリで良かった。

 

 ワタルらしいいつもの設定で、冒険は各界層をクリアして次を目指すものとなっている。ドラクエとかのRPGの感じで進んでいくのが楽しい。

 全部見ると実に爽やかな異世界冒険ものになっている。これぞ王道で安心して見れる。素晴らしいです。

 最近の異世界ものは、色々イジってネタだらけのカオス状態になっている。そこへ来るとこちらは、異世界ファンタジーコンテンツの汚れ無き原形にして完成形だな。

 今年に入ってゴミのようにたくさん(←中にはクオリティ的にもソレに並ぶものもあり)異世界アニメの新作が放送されたが、ああいうのを見た後にこっちを見るとすごく綺麗で品位のあるものに見える。こうなったら古いのに感覚的にはとても新鮮。

 

 王道は飽きたから面白おかしくイジって新しい風を吹かようとするチャレンジも悪くはないし時には必要だと思う。でもやっぱり一度完成形を歩んだからこそ王道ってのは振り返る価値があるんだな。古いけどとても良いものだもの。

  何事も軸ってのを見据えるのが大事だな。現在変な異世界アニメばっかり作っている者達は、一度原点に帰って一呼吸置くことで創作活動をもっと充実させて欲しい。

 何か色々見すぎて異世界にがっかりしたり疲れていた私の心をリフレッシュさせてくれるピュアさがある作品だった。好きです。

 

 昭和の頃と比べて平成のワタルの作画力が上がっている。作画めちゃ良いじゃないか。ロボット戦とかイカす。

 龍神丸の降臨シーン、界層の聖神にもらった力で龍神丸が変身するシーンなどのバンク映像は今見てもすごい綺麗だな。

 こっち側のロボも敵側のロボもちょっとチビなSD体型なのにしっかり格好良い。

 ワタルや虎王も気持ちイケメンになっているような。シバラク先生は相変わらずカバみたいなおっさんで安定の出で立ち。

 

 超になってからの目立った変更点といえば、シバラクが戦神丸を召喚する時の手順。

 過去シリーズでは公衆電話で呼んでいたけど、さすがに時代が進めばそれもメンドイ。テレカ代もかかるし。

 時代が進めば文明も発達し、人は確実に便利に慣れる。というわけで、今回からはPHSで戦神丸を呼んでいる。ピッチフォンとも呼ばれた2つ折り携帯よりも前のやつだな。私も塾の先生のヤツを使ったくらいで後は使ったことがない。今思えば塾での経験がレアいものとなった。

 ロボのPHS召喚に笑った。ていうかなんで戦神丸だけ戦士の一声で駆けつけてくれないの?

 

 冒険のパーティーはワタル、ヒミコ、シバラクのいつもの3人。今回はそこに加えてヒロインのスズメと謎の少年聖樹が加わる。

 ヒミコが安定してチビヒロインなので、もうちょっとセクシーなギャル要素が欲しい。そんな時にはスズメの合流が嬉しかった。しかしちょっと微妙なのは、スズメがめちゃ美少女枠ではなく、髪の毛が逆だった鳥頭でたらこ唇という特徴を持っていること。

 最初は女盗賊みたいなことをやっていて、敵か味方かさぁどっち?のルパンのフジコちゃんみたいなポジだった。

 ヒミコに「乳がでかい」とモロに指摘されている巨乳枠ではあるが、そこまで萌えない。

 お金にがめついガサツな赤髪女で声が宮村優子ということから、アスカ・ラングレーを思い出しもする。同時に傍にいるヒミコ役の林原めぐみポケモンでの持ちキャラのムサシの感じもちょっとしてくる。

 そういやワタルのパーティーにはエヴァヒロイン2人の中の人が揃っている。エヴァのちょっと後くらいの作品での共演になったんだな。

 

 ワタルのメインキャラにしては線が細くて静かめなイケメン枠ということで聖樹の合流が意外だった。聖樹役が伊藤健太郎なのも意外。他の作品だともっと太い声で悪い感じに聞こえる声を出しているイメージがある。聖樹のようなキャラをやるのはレアかも。ていうか彼もこんなに昔からいたのか。

 伊藤健太郎といえば、現在放送中の「16ビットセンセーション」で10億を溶かしてしまったゲーム会社の社長役をやっている。皆今も頑張って芝居しているんだなぁ。役者の歴史も長いぜ。

 

 役者の歴史を言えばワタル役の田中真弓龍神丸役の玄田哲章はコンビ役で共演しているのだが、最近放送したワンピースだとルフィとカイドウで敵同士の共演になっているんだなぁ。玄田哲章はどっちでも龍関係の役だし。

 ヒミコ役の林原めぐみ、虎王役の伊倉一恵、シバラク役の西村知道もワンピースに出ていたなぁ。

 そんな中の人の事情も見えて色々懐かしくなります。声優が好きです。

 

 内容は悪者の親玉を討伐しにいくという分かりやすいもので良い。各界層にいる聖者に出会い新しい力を解放して強くなって行くのもRPGのレベルアップ強化のような要素で楽しめる。

 今回のワタル達の冒険も面白おかしいもので、基本としてギャグやおふざけの要素がある。

 創界山の人々は良い心を抜かれ、かつての善人も今では信じれない悪者になっている。冒険で訪れる先々に癖のある悪人化したゲストキャラが出てくる。変な街、国に行って変なイベントも起こるので毎度飽きずに楽しめる。

 

 印象的なのは初期に登場するバンジージャンプの街の話。

 空中に浮いた都市があり、そこの土地は回転パネルみたいに簡単にくるくる回るようになっている。そこに定期的に飛行船がやってきて、地面を攻撃して天地をひっくり返していくのだ。すると人々の生活も天地が逆になる。皆足にロープをつけていつでもバンジージャンプが出来るように備えているのだ。

 この定期的に天地をひっくり返して人民をまとめて強制バンジーさせる飛行船の仕事が悪質すぎる。見る分にはシュールだけど内容としてはめちゃ酷い嫌がらせ。このネタには笑った。よく思いついたなぁ。ワタル史上一番住みたくない街だった。

 

 あとはコギャルとかアムラーがブームの時期だったから思いついたのか、性別関係なくみんなギャルルックスでないと捕まるみたいなふざけた街もあった。男性キャラはギャル女装して街に潜入することになった。シバラク先生の女装が汚い。

 

 とあるコンビニに行くと、そこの住民が皆商品にされて売られているというカオスな展開もあった。コンビニでなんらかの商品にされる、それはそれは考えると嫌な未来だ。

 

 途中で不思議な次元に迷いこみ、そこで1万年前のワタルの祖先だという戦士と出会う。ワタルの祖先はワタルそっくりだけど、シバラク、ヒミコの祖先のキャラは全然違う。

 二人のワタルが揃うこのSP展開は一話だけかと思いきやしばらく連続する。これ何の企画で誰なのさ?と思って調べると、1万年前の戦士パーティーは、ワタルのプレステソフトから参戦したキャラだという。さすがにそれは持ってないしやったこともない。まぁセガっ子だからなぁ。でもワタルのまぜっこモンスターていうゲームボーイソフトならウチのお兄ちゃんが面白がってまぜまぜと遊んでいました。

 このゲームとアニメのSPコラボも印象的。

  

 敵側のドナルカミファミリーも魅力的だった。後半に行くほど向こうサイドのファミリー劇が濃く見えてくる。

 最初はアンコクダーの指示で世界を支配する闇のファミリーとして描かれていたが、実は皆本当は良いやつだった。徐々に良い心を取り戻して最後は良きファミリーに戻っていく。そしてとてもハートフルになる。このファミリーの存在も暖かいもので良かった。

 

 ドナルカミファミリーの三人の子供達 ドラン、ドルク、ドードはそれぞれ良いキャラで見せ場があったし、各員の乗り込むロボも格好良い。

 

 ドランがファッショナブルなお姉で声が神奈延年なのは印象的。ドランって結局ワタルのこと好きだったぽいな。顔が悪くて一番悪役って感じだった。

 

 ドルクが良かった。最初はアイアンリーガーのあいつみたいな格好のボーイッシュなドルクが、実は金髪女子だったのは嬉しい。真のヒロイン枠じゃないか。スズメよりも好きでした。

 最初は悪の心に支配されていたドルクを聖樹が愛の力で救う物語が美しかった。二人のキスシーンもあったし。後半は二人のラブストーリーに純としました。

 にしてもドルクの覆面解放からのパーティー合流が遅かった。もっと早くに合流しても良かったんだぜ。

 

 ドードーは虎王と絡むことで美味しくなった。ドードーをなんとかする過程で、記憶操作されて敵になった虎王が突っ込んでくる面倒事も展開するから大変だ。

 ドードーと虎王は仲が良いな。この二人の絡みは結構好きだった。ドードーが虎王の事を好きになる自然な流れが見えたからこそ、後半の二人が戦うシーンも熱くなったのだと思う。

 虎王が悪から解放されるのも結構長いターンを待ったな。聖樹やスズメの持つ謎の解明も意外とかかった。これらキャラの持つ重要性が見えてくるところも面白みだった。

 

 序盤はおふざけもありだったが、後半展開はシリアスさと熱があって面白い。ドナルカミファミリーの家庭問題を収めてからのボスとの最終戦の流れは熱い。ラスト10話くらいは熱い展開が楽しくてノリノリで見れた。

 ボスまでたどり着くために、シバラクや虎王が体を張ってワタルを先行させるところとかはとても熱い。

 

 終盤に迫ったところでタイトルの「超魔神」になった龍神丸が降臨するところが格好良い。そして美しい。これがワタルロボの完成形か。感動しました。

 

 最終回の爽やかさとワタルがちょっと大人になったと分かる頼もしいようで切な寂しい描写に胸がキュンと来た。良い最終回だ。

 この世に多くあるファンタジーもこのように爽やかに後味良く締めるべし。

 ていうか異世界の揉め事を片付けた後にちゃんと日本に戻ってエンドなのが意外と珍しい。今ある異世界冒険ものは、そもそも帰る道を断った基本設定が敷かれたり、一生向こうでウロウロして投げっぱエンドだったり、帰っても居場所がないヤツが帰りたがらないとかだから、このオチまで行く現代異世界ファンタジーはなかなか無いのかも。

 異世界で冒険して日本に帰ったらちょっと心が大人になって成長が見える。そういう教養のある爽やかな内容が好ましい。ワタルは教養あるコンテンツでした。

 

 音楽だと三重野瞳が担当する前期OP「ひとつのハートで」が大変良かった。歌も歌うし、脚本を書いてプリパラとかで楽曲提供もするすごい人だ。ワタルで鍛えられた才能ですね。

 

 というわけで、令和に見てもワタルはおもしろカッコイイ。こういう爽やかな作品はとても好きです。

 懐古主義を言いたいというそれはそれでわたしの「ひとつのハート」というものがあるのかもしれないが、これはそういうの抜きでも素敵なコンテンツです。古くても良いものは良いのだ。

 今年で35周年のコンテンツなのでたくさんのおめでとうも言っておきたい。ありがとうワタル。超おもしろ格好良かったぜ!

プラモデル 超魔神龍神丸 HG 「超魔神英雄伝ワタル」

 

 

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