こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

走り屋達の伝説 ここに始まる「頭文字D First Stage」

頭文字D First Stage」は、1998年4月から12月まで放送された全26話の走り屋アニメ。

 

 なかなかに熱い26話の物語は、ここより始まる峠伝説の序章に過ぎなかった(まだ2nd以降を見ていない状態で言ってる)。

 

 さてさて、言わずと知れた車アニメをなぜ今頃語りたいのか。それは簡単だ。今頃になってやっと見てハマったから。

 

 頭文字Dといえば、古本屋はもちろん近所の散髪屋、ラーメン屋、同級生のアイツんちやコイツんちとまぁ良く見るわ見るわな漫画なのだ。

 とにかく良く走る、ハチロクと呼ばれる豆腐屋の車がブンブン言わす。マジでそれしか知らん状況で平成を終えて令和に乗り入れました。そんな私は今時どこにあるの?なMT車免許持ちです。今じゃ時代はAT一色だものなぁ。

 

 この頭文字Dはとにかく有名で、良く名前を見るし聞くことがある。同級生の中にコレとバリバリ伝説をセットでめちゃ推してくるヤツがいたし、ウチのお兄ちゃんも珍しくこの漫画の事は知っていた。

 そこら辺のヤツらから面白い名作とは聞いていたが、こっちは他にも色々楽しむものがあったし、それになんつうかアレじゃん。絵のクセが全く弱くなく、華も他のキラキラした作品と比べると無いっていうか、まぁそんなミーハー心からくる食わず嫌いでノータッチだったんだよね。←反省。

 コレとカイジとかを描いている福本伸行漫画は、初心者には入りづらい絵なんだよな~という私のマジでちょっとの苦手意識が作品との接触を邪魔していたのだ。といっても福本絵は克服してカイジとか最強伝説黒沢も楽しんだし。カイジがイケるなら後は何でもイケルっす。←別にここら辺の作品の悪口ではない。

 

 丁度前期には、頭文字Dの続編的ポジのアニメ「MFゴースト」が放送され、それが面白かったのでDも見たくなった。

 そんなタイミングでYou Tubeにて頭文字Dが全話見れることを知ってしまったのだ。知ったなら全部見たいじゃないか。というわけで年明けから26話を2日で見て来た。私の視聴スピードも走り屋伝説並みにブンブン飛ばしている。

 

 これが思った以上に面白いっす。峠に魂を燃やす走り屋の青春、それも悪くないぞ!

 MT免許持ちのくせして青春は常にチャリで来た!な私には思い出シェアが叶わぬコンテンツだが、コーナーを攻めたりドリフト走りしたりに興奮する血は流れていたようだ。これは燃えるし、峠に置いて来たはず(←勘違い)の血が滾る。

 思えばセガサターンで「峠キング」や「湾岸デッドヒート」、あと「セガラリー」とかのレースゲームに燃えた青春も送っていたんだよな。潜在的に私にも走り屋魂が宿っていたのか。←納得。

 

 ユーロビートのご機嫌リズムに合わせて私のハートも心地よく揺れる。頭文字Dはそういうコンテンツでしたな~。

 

 じゃあ楽しかった頭文字Dの感想とかを書いていこう!

 

頭文字[イニシャル]D Memorial Blu-ray Collection Vol.1

 

内容

 高校生の藤原拓海は豆腐屋の息子である。

 豆腐屋の車に乗って家の仕事を手伝っていただけの彼が、いつしか峠の走り屋達の標的にされるようになるのだった。青春は何があるか分からないぞ。

 

 彼と腕を競いたいあちこちの走り屋達がレースを仕掛けてくる日々が続く。それを受けて拓海は、豆腐売りで鍛えた最強テクで猛者共をブッチ切るのだ。

 

 かくして豆腐屋の息子の藤原拓海は、日々豆腐を売り渡る内に得たスーパードライビングテクニックを峠に捧げるのだった。

 

 青春は豆腐と共にブッチギレ!そういう事を言っているアニメです(←拡大解釈かもしれないが、だいたい合ってるはず)。

 
感想

 まず絵にクセがあるなぁ。これも90年代アニメだったのか。この良い感じに古臭い技術の中でこれまた良い感じにクセのある絵柄でよろしい。

 

 しかし声優が豪華だな。この当時からでも有名人だった人達が集まってはいないか。声優好きなのでそこも嬉しい。

 

 主人公の藤原拓海がもっと冴えたヤツなのかとイメージしていたら全然違っていて、ハンドルを握っていない時間はボサ~とした眠そうなヤツだったなぁ。言動もなんだか眠たげで、この感じを三木眞一郎が演じたのが意外。ハキハキしないぼやぼやした感じの喋りの芝居だから、彼の芝居としては珍しい部類かもしれない。三木眞一郎といえば冴えたるイケメンボイスだからな。

 

 ヒロインの茂木なつきの声が川澄綾子じゃないか。ここが一番ときめくポイントかも。

 車とむさい男ばかりの作品でギャルはマジで貴重枠。清涼感あるギャルを清涼感ある川澄ボイスで魅せるのは良き。マジで今も昔もずっと声が綺麗だな。めちゃ好きな声なので嬉しい。コレに出ているのは知らんかった。

 98年だから川澄綾子もまだ新人時代くらいかな。貴重な若手時代の芝居だぜ。

 

 賑やかしキャラのイツキが好き過ぎる。こいつ面白い小僧だな~。拓海がハキハキしない分イツキがうるさいから総合的に雰囲気が締まる。ギャルゲの主人公の隣にいるうるさい相棒枠にすっぽり入っているぜ。この愛しい3枚目感がやっぱり愛しい。

 

 イツキ、池谷、健二の3人が集まって喋るシーンが結構ある。良いトリオだ。この3人に見る地元の兄ちゃんがリアルにだべっている感が好き。

 3人それぞれを演じる岩田光央矢尾一樹高木渉の競演もなんか嬉しい。それぞれ親近感が湧く芝居で、一般人をやればしっくり来る声なのも好き。それもちょっとガラの悪い連中をやらすと光るんだよな。

 

 物語の中でやっていることは、各走り屋チームでどれが速いかという競争。ちょっとチンピラ抗争のテイストも感じるのだが、緊張感はそうでも暴れた感じはない。

 

 地元チームによそから来たチームが仕掛けて来る。ホームで負けてたまるか!と走り屋のメンツをかけて挑戦に臨み、峠が戦場と化す。こんな感じの連続。

 元気なスピード狂だからこそ成せるハイカロリーな青春だ。図書館で本を読む系のインテリ文学青年の私には1ミリもなかった青春風景。ここまで遠い世界だと大変興味が湧いてしまうぞ。文学青年ってのは、己の知らん世界を知りたい好奇心とインテリジェンスの塊なのだ。

 

 こういう世界があったんだなぁとただ珍しく思う。複数のチームが登場して対決する流れが楽しい。

 同じ県とか市にこういうチームが複数あって、互いが意識して峠バトルするなんてことが今日にもどこかで起きているのだろうか。

 これが貸し切ったレース場でなく公道でやっちゃってるのがすごい。警察とか来ないのかな。すごいスピードでぶっちぎっているので速度違反だろうに。

 

 峠でやることだからモニターなんてなく、試合の様子はトランシーバーで連絡係りが皆に届ける。ここが新作のMFゴーストとの違いだな。あっちはドローンで車を撮影して皆にも映像が見えるようになっているからな。90年代の野良レースと現代なら技術に差も出るわな。

 

 ていうか皆ある程度のお金と命知らずな図太さを持っていないと入っていけない世界だよな。

 若いのに一丁前にマイカーを持っているとかすごいぜ。考えてみれば高校生のイツキがなんとか1台ゲットしたのも偉いよな。目標を持ってバイトして親とかも納得させて大きな買物する行動力は素晴らしい。今の子供にもこうして掴みたい物のために苦労して人生を歩むガッツがあるのだろうか。イツキはなんだかんだしっかりしてるよ(←何様?)。

 

 ブンブン飛ばす連中ならもっと乱暴者だらけと思いきや、意外と皆さん真摯に競技に取り組む高潔な走り屋だった。そしてギャルの走り屋もいたし。「よろしくメカドック」で言っていたけど、ギャルの走り屋ってスケぼうって言うんだよね。

 

 本能で速さを求める熱血系もいれば、高橋涼介のように理論で走る爽やか系インテリもいた。色々いやがる。

 その中でも序盤の庄司慎吾はクソ野郎だったけどね。でも拓海に敗北し、池谷に介抱されてからはちょっと良いヤツになっていた。基本的に好感度の良いキャラばかりかな。

 慎吾と中里が表向きには不仲を装って実は魂では仲良しという設定に萌えました。慎吾が最初はクソなのに後には好きになって今ではすっかりお気に入りキャラ。一番友達にかなりたいキャラかも。

 慎吾役の藤原啓治、拓海の親父役の石塚運昇ら亡くなった名優の声がまた聴けたのは嬉しかった。

 

 絶対に車の事をよく知っている人物が描いていて、その点で専門的な用語や展開もある。しかし私もとことん車に興味がないから全然知らん。

 86があれば85もあったのか。イツキが用意した車が85だったのは間抜けな展開だが、素人目にはそんなの確かに分からんことだよな。

 この当時ですら86はクラシックな時代遅れだと言われている。それで勝ってきた拓海はなかなかやりおる。

 

 強い86ではあっても、あくまで豆腐屋の社用車。しっかりお店の名前入りで猛者と走っているのが微妙に間抜けなんだよな。あれに乗って彼女とデートも行くしで、目立つだろうに。

 でも敢えてダサい仕様でカッチョいい車をぶっちぎるのにも勝利の美学があると思う。そこがオタク的、マニア的な魂に火をつける要素でもあるよな。飾らない美や強さに魅力があるのだ。

 

 肝心なレースシーンはCGで描くのだが、まぁセガサターンの時代だからな。というわけでどうにもセガサターンぽいクオリティのCGで車が走っている。最先端技術と比較すればなんともショボいが、これはこれで味わいがある。この時代で行ける分は出し切っているのではなかろうか。

 レースのここ一番でご機嫌ユーロビートをかける演出はナイスだな。一見結びつきが想像できないものだが、ちゃんと結ばっているなぁ。激走カーとノリノリユーロビートにベストマッチを見た。

 この演出に最初に「イケる!」と思ってGOを出した人のセンスよ。良いセンスだ。

 どこかで聞いたことがあるノリノリ曲が聴こえるレースシーンが熱い。思わずパラパラを踊りたくなっちゃう。

 

 猛者共が次々仕掛けて来るのをかわす拓海のドラテクがすごい。

 親父の修行でコップの水をこぼさず運転しろというのは、いかにもな修行の感じがする。水をこぼさない系の修行って他の作品でもあったよね。でもコレが叶えば揺れが少ない同乗者を疲れさせない運転が叶って良いはず。真似しても良いかもしれない。

 

 拓海は物語開始時に18になって免許を取ったばかりなのに、その段階で運転歴が5年あるとは不思議な設定だなぁ。

 13歳の中学生だった頃からこっそり豆腐屋の車を運転していた拓海の隠された過去はヤバいだろ。よく警察にバレなかったな。これも時効?になるのかどうか知らんが、なかなか攻めた設定。親父がGOを出したのも結構寛大だな。息子の安全を考えたらイカンでしょ。

 

 MT車を子供が運転するなんてムズそうなのによくマスター出来たものだ。

 恥ずかしながら、私の場合最初はエンストしちゃって半クラッチがムズいぞと悩んでいた。まず発進からコツがいるものな。比べてAT車なんてマジで簡単操作になったものだ。

 でもクラッチが繋がって「あっイケる!」となったあの感覚は確かに気持ち良い。ここが走り屋に繋がる第一歩である。クラッチが繋がらないと走れないしね。

 

 車に乗っていない間の人間ドラマも見所だぜ。

 拓海となつきのラブな話も展開します。こっちでもブッチギレ。

 冒頭シーンで、高校生が一生懸命バイトしても一ヶ月で10万そこそこしか稼げないと言っているが、なつきはパパと会えば都度30万もらえるという。すげぇな。

 で、このパパなんだけど、続柄でいうパパなのか?とちょっとよく分からない感じもする。なんでたまにしか会ってないの?

 

 池谷と真子ちゃんのラブな物語も良かった。釜飯屋の看板の下で運命の出会いは微妙に間抜けだが、まぁそんな感じで地味な所に幸福の種は落ちている。

 ていうか池谷めちゃ良いやつだよな。クソ野郎の慎吾にも優しかったし。モテると思う。

 

 真子役の根谷美智子のあの感じの芝居は珍しいかも。もっと強気でハキハキ喋る女の役のイメージが強いから、それとは逆のココでの芝居はレアだったかも。印象に残りました。

 

 熱いヤツ程よく走る。それが分かる面白いアニメだった。

 こういうのって意外と無い作風だな。最近転生アニメばかりで日本を忘れていたので、日本の峠でバチバチする古いアニメが逆に新鮮だ。

 峠に燃やす青春も間違いなくイカす。次のシリーズも見ていこう。

 

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