こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

チューンナップする走り屋たちの物語「よろしくメカドック」

よろしくメカドック」は、1984年9月から1985年3月にかけて放送された全30話のテレビアニメ。

 

 2クール+アルファという見やすいサイズだった。

 BDレコーダーのHDD残量が危ない中、うんさかわんさか放送される特番を録画してはさっさと見て消さなければならなかった忙しい年末を送った。毎年恒例のそんな時期のわずかな隙を見つけてさっと見たのが本作だった。車でレースをする話だっただけに、視聴速度もガンガン上げて一気に全話を片付けた。

 

栄光のゴールを奪え

 メカドックという流しのチューニングショップに務める青年 風見潤が、客の車をチューンナップする生活の中、自分でも愛車をチューンナップしてレース大会に出たりする物語である。車を巡って地元の暴走族、婦人警官、ガチのF1レーサーとも交流を深め、潤はチューンナップとレーシングのテクニックも磨いて行く。

 

 メカドックの事務所は横浜にかまえていて、そこで働く各人は、話に聞く「浜の走り屋」達の生活を支えることになる。

 私は横浜の地を踏んだこともなければ、走り屋全盛期であった当時のことも年齢からいって知ることが出来ない。多くの者が愛車に理想の改造を施す時代の流行りを見れば、当時の走り屋は金持ちだったのだなと思う。こんなのお金がないと出来ないだろうって思う。

 

 メーカーが完成させた商品にまだ手を加えたくなるのは、「自分が求める最高の一台を手に入れたい」という走り屋の心理から来ると本編で語られていた。チューンナップを行う者には、見栄だけではなく、それなりの矜持があるようだと分かる。意外と深い世界かもしれない。

 

 これまで様々な分野で「オタク」をしてきた私だが、車にはあまり興味がなく、登場する車の種類についても知らないものだらけだった。アニメに登場する車種はもちろん、エンジンやカスタマイズ技術についても、実在の内容が描かれている。

 ヨタハチ、セリカブルドッグなど、知らなかったけどここで学べた車の種類もあった。メカドックのネーミング入りのお店の宣伝カーでもあるピンクの「スバル360」だけは、昔集めたタイムスリップグリコのおまけにあったので知っていた。ピンクのスバル360はちょっとかわいかった。

 

 警察のお偉いさんの娘なのに、親の目を盗んで暴走しているヒロインの小野麗子の通り名が「女暴小町(すけぼうこまち)」だったのが印象的だった。優等生をやっていた私には関わり合いになることのないようなヤツばかりが出てくる話なので、女の暴走族を「すけぼう」と呼ぶことも本作を見て初めて知った。しかし女暴小町の小野麗子は可愛かった。

 

 メカドックの面々が、地元のおバカトリオの暴走族「松桐坊主(まつきりぼうず)」や交通巡視員の早坂優とワイワイやる序盤展開は楽しく、中盤からのキャノンボールレースやゼロヨンレースなどのレース大会編も楽しく見れた。

 第一話で潤が早坂優に「婦警さん」と言うと「巡視員です」と返されるやり取りが印象的だった。警察にも色々と役職があるようだ。車と同じく警察とも関わり合いになることがなかった人生だったのでここでも勉強になった。

 400メートル競争を行うゼロヨンレースについては、これを見るかなり前にPCエンジンゲーム「ゼロヨンチャンプ」を遊んで知っていた。しかし、このゲームだけのオリジナル競技だと想っていた。本当にあったんだ。

 

 整備士だった風見潤がドライバーとしてレースに参加し、那智渡や、「チューニングの神様」の異名を持つ渡辺俊光(愛称はナベさん)ら強敵レーサーと対決する流れも熱かった。

 レース大会編に入ると「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」や「新世紀GPXサイバーフォーミュラ」を見ているような感じになった。いつの世もレースものが流行るのだなと分かる。

 

 ラスト展開はかなり熱かった。若きチューナー達が、現在天辺を取っているナベさんを負かして引きずり落とすことが礼儀であり、良い引退の道を敷くことと信じてナベさんに挑戦する。

 最終回では、白内障で視力を失った状態でレースに挑むナベさんが描かれる。目を閉じ、脳内に記憶したコースを頼りにナベさんは最後の走りを行う。ナベさんを越えようとして彼に挑む若者達の青春も描かれ、なんだか泣けてきた。最終回ラストの潤達のデッドヒートのバックには主題歌が流れ、MVみたいな仕上がりになっていた。最終回は熱い展開で爽やかな終わりだった。

 

 熱き想いを乗せて走るチューナー達の青春が描かれた楽しい作品だった。

 

 メインキャラクター、ゲストキャラクターも含めて出演声優が豪華だった。今となっては有名人ばかりだった。ナベさんを演じた石塚運昇はこの時からでもおっさん役をやっていたんだと想った。

 

 

 よろしく俺にチューンナップ!

 

 

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