こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

見よ、これがママだ!「ウィッチブレイド」

ウィッチブレイド」は、2006年4月から9月まで放送された全24話のテレビアニメ。

 調べたら原作はなんとアメリカのマンガらしい。それを日本風にアニメにしている。アメリカも上質娯楽の国だから侮れん。

 

 コレはかなり前からタイトルとキービジュ、能登麻美子が主演ということだけ知っていたやつ。いつか見たいと思っていたやつでもある。そのいつかが今年2月後半にやって来た。いざ見るぞ!

 

 で、見てみると大変良い。まず面白いし、絵柄が美しい。これといってマイナスポイントも無き加点の嵐だった。そして最後には感動出来ます。

 マイクール毎週数本のクソアニメも見て楽しんでいる身からすると、清々しくクソ要素ゼロの古いアニメに出会えて嬉しい。

 一昔前だったら今ほどクソアニメを楽しむ層も定まっていなかった。だから原作からしてもうクソアニメになると見通しが立つ物をポンポンアニメ化する習慣はなかったのだな。

 

 にしてもこのアニメ、期待以上に良かった。掘り出し物っす。

 もっともっと現代に名前が残っていても良さそうなものだ。再評価の時期を設けた方がいいってのなら、今こそ私が評価してやる。とても良いアニメです。

 

TVアニメ「ウィッチブレイド」Anniversary Blu-ray

 

内容

 舞台は近未来の東京。

 その東京は、6年前の大震災でボッコボコ状態にまで追い詰められていた。そこから復興が進んで盛り返し状態にある東京に、本作のメインキャラ 天羽雅音、その娘の天羽梨穂子の親子がやって来る。

 東京で新生活を送ろうと張り切ってやって来た親子にとんでもない未来が用意されていた。

 

 古来から女性のみに取り憑いて謎の超パワーを発生させる「ウィッチブレイド」というアイテムがある。それが雅音ママの腕に取り憑いて外すことができなくなる。

 ウィッチブレイドの力は使用者の攻撃能力を増幅させるだけでなく、精神も狂戦士に変えてしまう。心身共に化け物になれるとんでもない超アイテムだった。

 これを巡って社会の裏勢力抗争が展開し、その中で雅音は逆らえないウィッチブレイドの宿命を背負って日々戦いの中に身を投じることになる。

 

 バトルするしかない生活の中にあっても、愛する娘との生活を一番に考えて動く良きママの良き人間ドラマが展開する感動巨編である。

 荒んだ世を怒りの中で生きる精神的に貧しい人間達に向けては、精神の浄化コンテンツになるであろう物語になっています。

 

感想

 まずびっくりなのが、こういう話だとは思わなかったこと。

 キービジュを見れば、主人公がバトルスーツみたいなのを纏っていることから、まずバトルからは逃げられないコンテンツだとは予想していた。そして衣装の露出度もなかなかのものであり、普通に「おっぱい」の要素が出たスケベ要素もありなのだと期待が高まった。

 しかし単なるエロいバトルものにはあらず。女子が、しかもママが変身するバトルものという点が看板になる第一の要素となるが、それだけで終わるものではない。

 

 全話を通して作品の根っこにある要素は「親子愛」である。これがとことんまでに尊いものである点に心からホロリとなる。泣けます。

 中盤になれば実は血の繋がりが無かったと分かる雅音、梨穂子だが、二人の間には血を越えた素晴らしき親子愛があるのだとも分かって来る。

 己の全てを賭けてでも娘の未来を守る。そんな母親の矜持を示した清き内容に泣く。

 雅音ママの大きな愛に包まれた名作になっている。母は偉大だと今一度確認出来るものだった。

 

 愛を巡っての人間ドラマが見所。

 メインの雅音、梨穂子の親子に見るスマートな親子愛だけでなく、他を見ればややイレギュラーな親子愛も見えて来る。親子の形にも色々あると分かる教養コンテンツです。

 

 子供に愛情を注ぐという親として当たり前の行為がどういう感覚なのか分からないから知りたい。そんな事を思う蘇峰玲奈の母親活動記録に目立った違和感を持った。

 母から注がれる愛を渇望するまりあの暴走、マザーコンプレックスから常軌を逸した人工生命の増殖研究に没頭するファザー、ここらの人物に見る異常な挙動の根っこにあるのもやはり親子愛だった。

 同じ親子愛が原動力になっていても過程から結果までが異なる複数の人間ドラマがあると分かる。

 抱きしめるだけが愛なら望ましいところだが、それだけじゃない愛の形があると分かる。この辺りの親子愛を巡る人間ドラマには教養とリアル性があって見応えがあった。

 

 格好良くてエッチな玲奈が取ってつけたようなママ生活を梨穂子と始める展開は異常に見えた。だが一方では、割とリアルなママをやるのが下手くそな人間の心理が見えたかもしれない。

 玲奈は世間一般的に良き母親像はコレというものを実践して娘と向き合うが、ことごとく不自然。劇中に「生みの親よりも育ての親」というセリフが出てくるが、育ての親の雅音がいかに普通に上手にママをやっていたのかが分かる。

 娘に対する愛を実感したことで涙する玲奈の意外な挙動にもぐっと来るものがあった。時に人は、ただ愛しいだけで涙することもあるものだ。納得です。

 涙したことに対して、涙液の分泌が活発に起きている的な科学女めいたことを言ってるのが彼女らしくて面白かった。

 雅音だけでなく玲奈がママとして覚醒する点にも美しい人間ドラマが見えた。

 

 玲奈も美しくて格好良いので目の保養になった。クールでイケてるお姉さん声がハマる園崎未恵の芝居も良し。

 玲奈姉さんにはドキドキしました。部下の栞がガチゆりに達するレベルで玲奈推しなのも印象的。

 

 母の愛が欲しくてたまらないことで暴走を起こすまりあのキャラ性も歪で印象的。なんだかんだでこいつがラスボス枠だった。

 奈々様こと水樹奈々が演じるああいった暴れたキャラは珍しい。奈々様史上トップクラスに怖い狂人めいた芝居が見れた。

 

 その他にも技術開発を巡っての企業争い、サブキャラの充実など、色んな要素が良い具合にごっちゃになって2クール分を退屈なく楽しめた。

 最近は1クールの半分の段階でもう胸焼けがヤバい!というダメダメコンテンツもざらにあるから、2クール分飽きない内容なのが如何にすごいかが分かる。

 

 アニメーションはGONZOが担当した。一昔前ならGONZOアニメはだいたいイケるとオタクから厚い信頼があったらしい。

 GONZO作品なら過去にも色々見たが、振り返ってみればGONZOらしい要素がちらほら見えたような。

 親子愛の尊さを描く要素なら「SoltyRei」、レギュラーキャラに写真家かいる点、変態性と欲望を膨らませて攻撃してくる怪人が出てくる点は「SPEED GRAPHER」、寂しくも切ないエンドを見れば「クロノクルセイド」、タイトルの語感がなんとなく似ている「ヴァンドレッド」と、1作見ただけで他のGONZO作品を色々思い出す。思えばGONZO作品って粒揃いだったんだな。

 

 作品世界観も興味深くて印象的。

 東京タワーがなんとか残っている状態で、その周りはボッコボコになって水に沈んでいる。たまにこんな感じの東京が水に沈んでいる怖い近未来設定の作品があるよな。「AIKa」とかがそうだったな。

 

 1話目から興味深い揉め事が、主人公親子を狙って乗り込んでくるエージェントが「児童福祉庁」という機関の人間であること。

 震災で人がたくさん死んだ過去があることから、現在いる子供が大変貴重な存在となっている。ゆえに子供への管理、支援がなかなかに敏感。

 住居も決まっていなければ十分に育児に回せる収入もない。そんな状況であれば、例え本物の親であっても共同生活に待ったをかけてくる。ここまで熱心に児童福祉マインドを持って人んちの事情に首を突っ込んでくる組織も珍しい。

 安定しない暮らしの中で子供を連れ回すと、場合によっては実母が捕まる可能性もあると説明されている。なんか初っ端からすごい事言ってる。この世界の政府の都合も結構切羽詰まっているようだ。いつの世も子どもは貴重な次代の担い手だものな。

 愛だけでは安寧な親子生活は構築出来ないというリアルながらも野暮ったい点を突く設定だった。

 この「児童福祉庁」って実在しそうなものだから検索してみたのだが、なんか出てこないぞ。似た所で「こども家庭庁」ってのならあった。この手の政治、政策に関しては門外漢なので、そういう機関もあるんだくらいの学びになった。いろんな役人がいるんだな~。

 

 15年以上前の古めのアニメだが絵が良い。とても綺麗。特にヒロインのキャラデザは最高だ。

 雅音ママが、ママ味を感じるには遠い若々しいギャルの見た目なのが良い。まだ23歳です。

 しかしママのおっぱいと尻がたくまし過ぎる。すごい健康そうで病気しなさそう。

 同じビルに暮らす仲間達からは胸がたくましいからってことで「まさむね」とあだ名されている。まさむねを大変気に入っているスケベジジイのチョ―さんが面白すぎる。シリアス風味の濃いバトルものだが、たまにチョ―さんがバカをやるのを見ることで緊張感が一気にほぐれる。亀仙人を思い出すスケベジジイぶりだった。

 

 まさむねママはめちゃくちゃ格好良いママさんで心もママそのものだから高感度抜群だわ。性格はかなり図太く、じゃじゃ馬娘な感じもある。ボディにマッチした元気印ギャルで可愛い。

 そんな感じだから鷹山局長には山猿と呼ばれている。でもそんな鷹山が「山猿は嫌いではない」と言ってラブい感じになるのは名台詞であり、名シーンだった。良い事言ってる。女は山猿並みに元気で逞しいくらいがちょうど良い。

 

 この素敵ママ人間を若き日の能登麻美子が演じていたのに注目。これより後にはアイカツ、水星の魔女でもママ役をこなしていた。アイカツでママをやっていたのを見た時に、彼女もママをやるキャリアかぁ~と思ったものだが、それよりも5、6年前のココで既にママを経験していたのか。もしかして初ママ役なのかな。いずれにせよウィッチブレイドの現場でママ声優としての経験値を稼いでいる。後半なんて凄まじい程のママ熱演で泣けました。素晴らしい役者だ。

 

 娘の梨穂子も可愛くてめちゃめちゃ良い子。汚れ無き清潔感の固まりだな。演じた神田朱未のロリ声は可愛いしとても綺麗。

 雅音、蘇峰玲奈ら美しくもエッチなお姉さんの変身ヒロインが魅力的に描かれる一方で、こちらもしっかり良いのがロリ枠の梨穂子の存在。飯が作れるしっかり者の娘である点でポイントが高い。

 

 ここでは親子役の中の人二人が、近い時期に放送した「CLANNAD」だと同級生のJK役で共演しているんだよな。色々な役をこなすものだ。

 

 BDの映像特典で当時のキャストインタビュー映像が見れる。能登麻美子はじめ出てくる皆が当然ながら若い。

 特にまりあ役の奈々様こと水樹奈々の顔、めっちゃ若い。子供みたいやんけ。輝く童顔で弾ける魅力にときめきます。レアい懐かし映像が見れて良かった。

 

 私もママ受けの良い子どもをやっていたことから、自分の母親と大変仲が良い。親には産んでくれて、その後何の不足もなくしっかり育ててくれてマジ感謝!と日々告げている。向こうも産んで良かったと満足している。そんなウィンウィン関係の母への感謝を一層を感じるきっかけになったのがこのママアニメ「ウィッチブレイド」だった。

 改めて母に感謝しよう。今度小洒落た菓子でも買って贈ってやろう。

 

 母は強し。偉大で美しいものでもある。じゃあ大事にしてやろう。最後には母をやって良かったと笑いながら死んでいって欲しいものだ。そのためにもこちらは最後まで良い子どもをやって行こう。まぁ私は根っから良いやつなので、普通に生きてるだけでそこのところは及第点を余裕で突破出来るんだけどね。というプチ自慢を記して本日のママアニメ感想を終わろう。

 

 

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