こしのり漫遊記

どうも 漫遊の民 こしのりです。

恐怖の超音波怪獣襲来!「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」

大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」は、1967年3月15日に公開された特撮映画。

 

 巨大な亀の怪獣ガメラ、そして平成になってもまた出てくる名物怪獣ギャオス、2大怪獣が初顔合わせを実現させた記念碑的映画が本作である。

 しかしコレ、60年代なんて古い時代の映画だったのか。もっと最近のかと思った。平成版ガメラでギャオスと対峙したのだって大昔のことだが、それよりもずっと古い1967年ってとんでもなく昔のことじゃないか。

 なんかすごいなぁ。こんなにも昔から楽しく格好良い特撮魂が映画界を盛り上げていたのか~。先人達には拍手と共に感謝を。

 

 本作がこの11月にYouTubeで無料公開された。タダ見出来るならめっちゃ見るべき派の私がコレをスルーするわけがなく、しっかり見て来るしかなかった。というわけで楽しく見て来たのである。

 こいつを見るのは人生で3回目。1回目はめっちゃチビの頃に父がVHSで見せてくれた。2回目は10数年前にDVDで見た。そして3回目が今回。今ではBD化が済んでいるとのことなので、YouTube配信されていた映像も大変綺麗。この画質のBDが欲しいなぁ。

 

 ガメラ、ギャオスは共にガチャポンのおもちゃのを持っていて、それでよく遊んだものだ。その昔、身内の上の世代の誰かがガチャを回して不要になった物が私の所に回ってきた。回して飛び出るガチャポンおもちゃらしく、色んな人の手元へと回っています。

 とまぁ色々思い出がある懐かしいのを久しぶりに見たらしっかり面白かった。90分くらいの内容だが、退屈なく楽しく見れたぜ。

 尺内で見せる起承転結のリズムが良いなぁ。コレは子供も大人も楽しめる良き娯楽作品だ。

 では今日も元気に感想と行こう!

 

大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス

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 当時の時代感といかにもな怪獣映画的雰囲気の出た映画ポスターがナイス過ぎる!

 これはオタクがワクワクするヤツ。

 

内容

 世は富士山噴火の時代を迎えていた。怖いですね~。

 炎もエサとして食っちゃうガメラは、噴火熱に誘われて富士山にローリング飛来してきた。今回作品でも調子よく回っております。

 同時期に超音波怪獣ギャオスの姿も確認された。航空機も真っ二つに切り裂くほど切れ味抜群の音波攻撃をかまして来るギャオスの登場はマジにヤバい。ヤツの襲来によって地上も空中も大パニックに見舞われた。

 人類は2大怪獣襲来の恐怖の中でも希望を捨てず、全てに対して何とかするため知恵を絞って戦うのである。そうでなければ、他の選択肢としては大人しく怪物に狩られるしかないのである。困ったもんだぜ。

 

 そんな厄介事と時を同じくして起きたもう一つの規模の小さい戦いが二子山の山村で展開していた。

 高速道路開通のため山を工事したい勢力と立ち退きを拒否する住民達、文明開化の中においては、いつの時代でも避けられない人類同士の抗争も描かれる。こちらの戦いも意外と見所です。

 

 今回の課題は、ギャオスの脅威と山村での立ち退き問題をなんとかすること。この2点に注目して楽しく見ていこう!

 

感想

 この映画を見るのは3回目だが、2回目を見た時からしっかり覚えていることがある。それがギャオスという怪物の生態を紐解いて行く展開。これがちょっと理科の授業みたく見えて面白い。

 ギャオス対策の会議シーンが結構印象的。ここでヤツについての解説が聞けるのは勉強になって良い。とにかく怪獣を知りたいというキッズの向上心を引き上げたところで満たしてくれる良き展開でした。

 その授業的展開の中で、ギャオスの骨格情報が開示される。これは貴重だ。ギャオスには首を支える2本の太い骨があり、これが音叉のごとく振動することで切れ味のエグいヤバヤバ超音波攻撃を出す事が可能となるのだ。

 ほぅ~なるほど。学者のそんな説明を聞くと、超音波発生の理屈が素人でもなんとなく分かってきて感心しちゃう。これは面白い。

 ちなみの私は理科なら生物学専攻だったのだが、こういうワケの分からん怪物の情報なんて出てくるわけがないから新鮮な思いで説明を聞くことができました。生来のインテリなものだから、創作娯楽に対してもこのようにちょっとばかしインテリジェンスを上げて臨んでしまう。

 

 この超音波光線の破壊力は凄まじいもので、物理装甲を無視して攻撃が入ってくる。あの鉄の塊の飛行機だって綺麗にスパッと行ける。怖いっす。

 ちょっと怖かったことで以前に見た時からも思い出に残っているのが、ガメラもコレで相当出血すること。ガメラの装甲も突破して出血を誘うこととなる。超音波攻撃で皮膚が破けたところから緑色の出血がドバドバくるシーンは痛々しい。

 ガメラが可愛そうだぁ~と思って見ていたキッズは私だけではなかったはず。

 

 多分コレを見たきっかけで音叉、そしてもう一つは三半規管というものを初めて知ったのだと思う。

 ギャオスをやっつける手段として人類が取った作戦とは、ヤツの三半規管を狂わせることだった。なんかこの作戦も意外だった。

 単純に武力でガンガン行くよりも科学めいた理屈で攻めてくるのが賢い。この作戦の説明シーンも授業っぽくてインテリジェンスを感じました。それを見たことでこっちのインテリジェンスも上がった。良きことだ。 

 デカい回転台にギャオスを乗せぐるぐるブン回すことで三半規管を狂わせる大規模作戦には、インテリジェンスとユニーク性を感じた。

 

 ガメラ、ギャオスはそれぞれシリーズにおけるスター怪獣なので、やはりバトルシーンが楽しい。

 古いものだが、迫力が出るよう工夫した魅せ方をしているんだよなぁ。これだから昭和特撮は熱いぜ。CGへの甘え、妥協心の介入が一切許されない現場でよくやっている。

 ガメラがギャオスに齧り付くシーンは印象的。ここは覚えていた。ここが一番大怪獣空中戦をやっている感じがした。

 最後にガメラがギャオスを火山に引っ張り込むところも良い。ギャオスの断末魔として最後の超音波光線が飛び出るラストは良いなぁ。死闘の落ちとして爽快感と心地良き余韻があった。

 

 ガメラファンの英一少年が、意外と大人達の作戦立案のアシスト役になっていた。ガメラ映画ではキッズもサブ主役って感じだな。

 ガメラは炎が好き、ギャオスは夜しか行動しない、ギャオスの名付け親になる、回転台作戦のヒントを出すなど、色んな面で英一くんが役立っていた。

 この手の特撮ものだと女、子供が邪魔というか、厄介イベントを呼ぶトリガーにもなりがちだが、彼は結構良い役回りだったかも。

 健康そうな肥え具合が可愛い少年だった。そんな彼への好感度が結構高い。

 

 2大怪獣の空中戦と並行して描く地上の民の戦いも面白い。怪獣が飛び回る空の下でもそりゃ生きている地上民は日々色々と問題がありますわな。

 規模のデカい戦いと狭い戦いの2つを対象的に見せるこの仕掛けも面白いなぁ。チビの頃に見た時には、立ち退き問題なんてどうでも良いことだから印象に残らなかったが、今見るとこれはこれで面白く感じる。

 高速道路を作るから山村からの立ち退きを言われた民達は、市長を中心に徒党を組んで工事反対活動を展開させる。まぁ分かるよ。

 バリケードを作ったり直接工事作業員と対峙したりと、結構元気且つ大胆に動いている。

 これがちょっとばかし大人の闇の世界の事情に見えて来るのが印象的。これもこの手の問題におけるあるあるなのかな~。というのが、立ち退きは承認を渋って後回しにするほど、その時出る立ち退き料が上がるとか上がらないとか。そんな内容が出てくるのだ。

 一回断って再度お願いがあれば、その時には色をつけてくるやもしれない。住民サイドでは、そんな感じでマックスまで金額を出させるタイミングを見図らっているのだ。

 なんか卑怯臭くはあるが、まぁ住処を明け渡すってのならそんだけマジになっても不思議ないのかもしれない。

 

 市長を中心に「立ち退き承認するのは今ではない」「もうちょっと粘ればもっと金が入る」とか皆さん揃って会議しているのがなんか悪者っぽい。こういう寄り合いシーンもなんかレアだな。

 ギャオスの問題が深まって工事どころではなくなったら、それはそれで金が入らないで困ってしまう皆さん。そうなったら一行は市長の交渉に問題があったとか言って市長を攻めてくる。このやり取りには人の強欲が見えてちょっと汚らしい。

 市長を責める住人に対して、じいさんを虐めんなと言っておもちゃを投げる英一くんの姿に胸が痛む。私もおじいちゃんっ子だったからなぁ。

 そして皆が退散した後になってそのおもちゃを拾うじいさん市長に見るちょっとの悲しみも思い出。あの市長も喜怒哀楽を出す良いキャラとして味付けが完成していて良かった。

 最後はそんな市長も欲の皮の突っ張った事をしていたことを反省し、ギャオス襲来はそのきっかけとなったと悔い改めていた。心の学びです。

 立ち退かないぞ!と主張するのも一つの権利行使として当たり前のことなのだろう。だが、それを良い事に金をせしめるという欲望を出しすぎると、バチ当りな事になるのかもしれない。そういう風刺的な学びもありました。欲を出すのも程々にってことは、どこぞの寓話でもよく言われていることだよね。

 とは言っても、親しんだ故郷を譲り渡して後にするのなら、それ相応にかなりの想いがある。そう市長の娘さんが話していたので、まぁ皆さん心にはお金以外にも色々複雑な事情をお持ちのようだ。立ち退き問題という、これまで私の人生において問題にならなかった事が学べるのもこの作品の持つ良さの一つでした。

 

 誠実な人柄を持つ男前の工事現場主任も印象的。彼は良い男だった。

 いつギャオスが襲撃をかけて来るか分からないが、雇い主からの正式な撤退命令がないなら危険でも工事現場から離れない。その意志を持って仕事に当たる彼は素敵です。責任感の薄いサボりたがりな私ならすぐに逃げます。私は責任感が薄くサボりたい心を持つ人間だが、責任感が強くてしっかり仕事が出来る人間のことが好きです。

 

 というわけで、超音波怪獣の進撃と立ち退き抗争が楽しめる名作特撮映画でした。この良さは22世紀までバトンリレーして伝えて行こう。私はテイクオーバーゾーンの職人と呼ばれたくらいにバトンを渡すのも受け取るのも達者。そしてなにより足が速いのが武器です。

 

 

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