こしのり漫遊記

どうも 漫遊の民 こしのりです。

超能力要素が絡んだ愉快な三角関係ラブコメ「きまぐれオレンジ☆ロード」

きまぐれオレンジ☆ロード」は、まつもと泉によって描かれた漫画。

 週刊少年ジャンプにて1984年から1988年まで連載された。途中で一時休止期間もあったという。単行本は全18巻がリリースされた。

 

きまぐれオレンジ★ロード  1巻

 この夏に入ってからオレンジロードの漫画を読んだ。

 漫画も場所を取るから少しずつ手放して行こうと思う。でもせっかく買ったのに勿体ないってことから、売り出す前にもう一度読みたいよね。そういうわけで片付けの作業過程としてしっかり読んできた。

 

 単行本が35年以上前のものだから一目見て最近の本じゃないと分かるな。裏を見れば360円て書いている。おぉ、単行本にしては安い。

 我々が新刊を買っていた時代だと400円台だったし、今ならもっと高いのだろう。本もどんどん値上がりするよな。

 同期を盛り上げた作品にドラゴンボールキン肉マンとかがある。巻末の他作品PRコーナーを見ていると出ている作品が古い古い。

 オレンジロード本編に堀ちえみの「スチュワーデス物語」のネタや「ついでにとんちんかん」のパロネタが出るくらいだから、しっかり古い作品だよな。

 ここら辺の時代がジャンプ黄金期って呼ばれる時期だったのかな。

 

 久しぶりに読んでこいつは懐かしい。古いので当然リアタイはしていない作品だが、後にアニメになったのを再放送していたのを見てハマった。ヒロインの鮎川が格好良いし可愛いし結構エロいから興味を持ったんだよな。

 

 アニメを全部見た後に原作漫画にも手を出した。アニメだと春日くんと鮎川がくっついてひかるちゃんがエグい振られ方をするエピソードがあったんだよな。あれを見た時には悲しすぎて寝れなくなったものだ。確か劇場版エピソードだったはず。原作の先生もあのエピソードだけには怒ったと聞いたことがあるなぁ。 

 漫画の方はそんなエグさはなく、終始楽しい三角ラブが楽しめた。三角関係にしてはお気楽な作品だったよな。

 

 主人公の春日恭介くんはドジでスケベで冴えない優柔不断な青春ボーイ。このスペックの低さが結構等身大で愛せたかも。情けない点が目立つけど、結構優しくていい奴なんすよね。結果好きになる少年でした。

 この春日くんが不良少女の鮎川まどかに出会って惚れてしまうことで物語が動き出す。

 その後、色々な勘違いから鮎川の妹分の檜山ひかるちゃんが春日くんを好きになることで、厄介かつ楽しい男女三角ラブが続いて行く。この三人がメインで織りなすラブコメ作品となっている。

 

 最初は春日くんと鮎川が中3、ひかるちゃんは中1の段階から始まり、終盤では春日くんと鮎川が高3になっている。随分と長丁場な三角を続けてきたなぁ。春日くんもよくそこまで答えを引き伸ばしたなぁ。

 これが叶うのもひかるちゃんがとにかくお気楽で鈍いからだな。ひかるちゃんがもっと鋭い勘を持つ女に設定されていたらさっさと楽しい関係は終わりでマクロスのようなシリアスさか、それを越えて命がやばくなるスクイズみたくなっていったはず。

 マクロススクイズをめちゃくちゃ緩くした男女三角関係として楽しめます。←どういう紹介やねん。

 ひかるちゃんはとにかく良い子で春日くんには勿体ないくらいだった。それは鮎川も同じことだけど。

 

 この時代からも既に出ていた一つの答えなのだろうけど、一見して明らかに情けない男のことがどうにも嫌いになれず、それはそれで良いと思ってくれる女子は一定数いるようだ。

 ちょっとダメな男くらいが丁度良いという女子の趣味もある所にはあるんだなぁ。令和になってもそういうスペックの低い男と逆に高い女子とのラブコメがあるものね。

 まぁ野暮ったいことだとは思うけど、読んでいて普通に「鮎川とひかるちゃんならもっと良い男に行けるだろ」とツッコんじゃう。

 

 特徴の少ない春日くんに持たせた主人公特権が超能力を使えるということ。ここも注目ポイント。

 春日家は超能力者の血筋で、可愛い妹のまなみちゃん、くるみちゃんもかなりの力が使える。近所にバレたらもうそこでは生活出来ないことから、終始隠す態勢を取って忙しく青春を送っています。

 ラブコメに少しの超能力要素も取り入れた意欲的作りになっている。

 

 春日くんの能力はテレポートだが、これの使い方もダメ男風味で面白かった。鮎川とひかるちゃん、それぞれとデートの約束をし、途中でテレポートして両方と忙しくデートするなんてこともしていた。真似することを勧められないサイキックなラブテクニックだった。絶対に疲れるだろうに。

 時にSF性を持たせた内容もあり。春日くんがパラレルワールドに行ったりタイムスリップしたりする話もあった。バラエティに富んだ発想で楽しく見せている。

 

 お前はしっかりしろ!と春日くんに終始ツッコミを入れるのが面白いラブコメだった。優柔不断でダメ男子なんだけど、なんだかんだ良いキャラで不快感なく愛せちゃうんだよな。それも春日くんの才能か。

 

 イケてるギャルが2人もいるのでお色気展開ももちろんあり。まぁお色気といえばのヤツは一通りやったかな。

 超能力の関係で子供と入れ替わる、その他動物にもなることで主人公とヒロインの距離がぐっと近くなるという「ToLOVEる」とかでも出てくるお色気手法も取られていた。こういうのは昭和でも平成でも令和でもその手の人間に受けますからなぁ。

 

 クールでグラマーな鮎川と元気な犬みたいにまとわりついてくる可愛いひかるちゃん、それぞれタイプが全く異なる。

 私はここでだと完全に鮎川派なので、鮎川のグラマー要素がふんだんに発揮されるお色気展開が楽しかったっす。アニメだと鶴ひろみがクール&セクシーに演じていてすげぇ良かったな。

 このずっと後に来る綾波とアスカどっちが良い論争みたいな感じで、当時のファンの間でも2人のヒロインのどっちが良いか論争とかがあったのかな?あったなら楽しそう。

 

 鮎川とひかる、それぞれがスケバン上がりというのも気になる設定。リアルスケバンを見たことがないからか、ちょっと悪いギャルになんかロマンを感じるんだよな。

 春日くんが転校してきたばかりの時には、鮎川もひかるも学校でこっそりタバコを吸っていた。中学生女子がタバコとか学校にバレたらガチの大事だよな。

 ここで春日くんが非行少女に放った言葉に注目。タバコなんて吸っていたら丈夫な赤ちゃんが産めなくなるというものだったのは印象的。

 まぁ非行を止めるための言葉だったので良いとは思うのだが、今の時代的に考えるとややセクハラでは?とも思える内容だったかも。だからこのシーンでは鮎川に殴られるんだけどね。

 当時このシーンを見ていたスケバン好き童貞ボーイ達は、同じ場面に出くわしたら「言ってみてぇ~」と思ったはず。そう予想します。

 

 ラブの力で非行少女も更生が叶う。春日くん登場で鮎川もひかるちゃんもタバコを止めていた。良いことです。

 でも酒は皆やるんだよな。当時はこの手の事に規制が緩かったのだろう。一度や二度でなく、全体として見て学生キャラの飲酒シーンが多い。メインの3人もその他クラスの仲間達も普通に飲んでいる。昔は今よりも子供とお酒の距離が近かったのかな。私は酒もタバコもやらないからよく分かんねぇや。とりあえずこいつら、酒をグビりすぎだとツッコミながら読んでいた。

 

 当時の学生の遊び場としてミラーボールがくるくるしているようなクラブが登場する。こんな所どこにあるねんと現代人の私は不思議に思って読んでいた。

 クラブでダンスしていたら照明が落ちてそこからはチークダンスタイムになるという。この漫画でチークダンスというものを始めて知った。

 時代が出るよな。当然だが家電とかの出てくるアイテムも古いし。こういうところでもレトロ作品ならではの懐かしみを感じられて良いよな。

 

 あと気になるのはメイン3人の男女のデート都合。全編通してラブコメっているからラブを育てるデートシーンも連続する。定番のボーリング、映画、遊園地はじめマジでどこでも行ってるな。外国旅行にも出ていたし。

 そこで思うのがお金の都合はどうなってんのってこと。昭和の子供はあんなにあちこち行けるだけ小遣いを貰っていたのかな。昭和の学生の小遣い都合からのデート都合についても考えることが出来た。まぁ考えて何になるのって話だけどさ。鮎川が喫茶店でバイトして学業成績も優秀なのは普通に偉い。

 

 作品キーアイテムになったのが鮎川の赤い麦わら帽子。冒頭で出てくるこのアイテムが後には重大な伏線回収アイテムにもなり、最終回まで関わってくる。

 この要素にだけ「ONE PIECE」を感じる。主人公とヒロインが出会った最初の場に麦わら帽子があり、最終回で2人が同じ場で再会した時にもその帽子が出てくる。これには出会いの地で貰った思い出の帽子を持って最終的にはシャンクスに会いに行く思いでいるルフィの心を思い出すじゃないか。というワンピ好きならではの勝手な考察。

 

 最終回ラストで見せた春日くんと鮎川のキスシーンは美しい。そのバックに書かれるポエムも心に響く。

「夢のような80's(エイティーズ)このときめきは……忘れない」

 このフレーズで締めます。ホント心が純とした感じになる。

 

 締め方が爽やかで良かった。春日くんは鮎川とくっついてひかるちゃんが振られることになるけど、ひかるちゃんがホント良い子だから後に暗黒チックな揉め事に発展することなく爽やかに締めれた。ひかるちゃんもモテるから言い寄ってくる男子キャラが複数人いる。すぐに良い出会いに迎えそうです。

 

 アニメだとこれよりもっと後のストーリーがあったり、未来から大人になった春日くんが来たりとかの独自の展開もあったんだよな。アニメもまた見たくなった。最近になってBDボックスも無事発売したし、そちらの綺麗なバージョンでまた見たいものだ。

 それとアニメのOP曲に使われていた中原めいこが歌う「鏡の中のアクトレス」はアニソンらしくからぬおしゃれ格好良いポップソングでかなり好きだった。今も聴きながらブログを書いています。サビ入りの時に言う「アハハン!」のところが良いんだよな。

 

 原作のまつもと泉先生はお亡くなりになってしまったが、こうして良い作品を残してくれたことには今になっても感謝。私はこの作品を見て楽しんでときめきました。

 時代を越えて人の心や記憶に何かを残せるのってすごいことだよね。最近なんて昨日見たのに今日になったらもう覚えていないやっていう変なアニメや漫画もあるからね。

 

 そんなまつもと泉先生の人となりを少しばかりは知れる作者メッセージコーナーも当時の単行本にはあった。好きな音楽についてだとか、作品についての意見、仕事場の環境はこんなのだと紹介するコーナーなど、作者について知れるコーナーも今になって読んだら面白い。もっとチビの頃には漫画本編だけを読んであとの文字のコーナーなんてどうでもいいと思って飛ばしていたものな。

 興味深い内容といえば、作風について読者や会社からこんな意見があったと発表したことがあったこと。

 オレンジロードはキャラの学年が変わることで、サザエさんとは違い時空が前に前に動きキャラも成長して行く。それを視覚的に見せるため、後半の巻で春日くんや鮎川の髪型を変えることがあった。しかし、その際には周囲から受けが悪かったと作者自ら発表している。で、髪型を直したのだという。こういう裏の都合を表にしっかり書いて発表していいんだ。作者の心も見えてくる作者担当コーナーも今読んでみると良いものだ。

 

 本編とは関係ないところで一番インパクトがあったのは、単行本の巻末にある読者意見投稿ページ。これ、すごいんだけど。

 なにがすごいかっていうと、ファンが送った感想はそのまんま表記し、その横には本人さんの名前と顔写真、県と市町村までの住所も載っていること。

 ここまでの個人情報バラしは現代社会では考えられない。ていうかそもそも自分の顔写真もセットでファンレターを送るものなのか。古い時代のそこの感覚が今となっては新感覚だな。まぁ聞いた話によれば、昭和だとスポーツ選手やアイドルの住所がタウンページに載っていたこともあったとかいうので、このくらいの個人情報管理のガバさは普通だったのかも。

 にしてもめちゃくちゃ顔が出ているからこれには「時代だな~」という感想が浮かぶばかりだ。ウチの親や兄弟に見せたら晒しっぷりがすごいと笑っていた。

 

 こんな感じ

  ↓

 

 ここに名前と顔が載っている人達は今でも元気なのかな。これを見て本人に突撃するとかいうオレンジロードマニア向けの動画企画なんかをどこかの底辺動画投稿者がやりそうなものだな。

 名作なので後に文庫版などで復刻しているが、さすがにその際にはこのコーナーの収録はカットしていることだろう。

 

 というわけで読者も一緒になって盛り上げたオレンジロードという名作が大変楽しかった。私も読者投稿コーナーとかを含めた作品全部がくれたきらめきを忘れない。

 

 

 

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