このお盆は普段の住まいから遠く離れた田舎に隔離された中で過ごした。これは兼ねてからの予定なので仕方なかった。急に閉じ込められたわけではない。
自分のパソコンがないことで、しばらくは外界からの情報が遮断された状態だった。もうホント外のことが分からん。
パソコンがないならYouTubeや放送中アニメも見れない。つうわけでいつもの趣味のことをやれずに暇になる。
でも何かしないとオタクは死ぬ。ということはないのだが、生きる元気がかなり落ちるのは確かな話。
田舎の親戚宅にもDVDプレーヤーといくつかのDVDディスクならある。昭和の時代から見れば新技術すぎて何言ってんだ?なこれらの発明も、BDの普及が終わってそろそろBD-Rの出荷も止めようっていう今見れば随分アナログ。
これしかないなら仕方ないじゃないか。放送中のアニメは見れないけど、古いDVDなら見れる。古いのも好きなので、せっかくの機会だし楽しもう。
そこで手に取るしかなかったのが、レイ・ハリーハウゼンが特撮演出を担当したクソほど古いSF作品。半世紀なんて余裕で過ぎているから、公開当時なんて誰も生まれてないぞ。←個人の世界での話。
で、楽しかったので連続で3本も見れてしまった。
いや~終わってみるとこうしか思わない。最高っすね!
ハリーハウゼン特撮、マジで最高。
モンスターがヌルヌルと歪な動きを見せるストップモーションの撮影技法はすごい。いつの時代に見てもこの歪さには得も言われぬ魅力がある。
この撮影方法って聞く所によるとかなり面倒らしい。同じモンスターが暴れる系でも東宝映画とかとは異なる魅力があるなぁ。
では楽しかった3作を振り返ろう。
『地球へ2千万マイル』(1957年)
金星探索ロケットが地上に帰って来て海に落ちた。そのロケットの中には、金星から持ち帰った謎の卵が。卵からかえった怪物は、地球の空気を吸ってありえん勢いでデカくなっていく。それが金星獣イーマだった。
招かれざる怪物のイーマがローマシティで暴れるのを人類達でなんとかするしかねぇ。
という大パニックモンスターアクションだった。
このクソ古い映画は、チビの時に父に教えてもらったものだ。人生で見るのは2回目で、私が初めて見たハリーハウゼン映画。なんか最近になってふと思い出して見たいと思っていたところでしっかり見れる機会が巡ってきて嬉しい。
金星獣「イーマ」の名前は本編では全く使われないんだよな。そこが意外だった。
父がイーマのフィギュアを買って所有していたので、それを見て名前も顔もめっちゃ覚えていた。
今回改めて映画で本物を見るといかにもモンスターモンスターな感じをしていて良いな。皮膚の怪物感も良し。イーマはベストモンスターだな。あのリアルな動きも良かった。
レイ・ハリーハウゼン関連のモンスターなら本作に出てくるイーマが一番良いわ。
金星に人類の未来の可能性を見て研究する流れで、イーマが地球に連れてこられて化け物として討伐されるのはなんとも可哀想。人類のエゴで地元を離れたわけの分からない場所で死んでいくイーマの運命には同情する。どうせ死ぬならたっぷりと親しんだ地でその時を迎えたいものだ。
最初はネズミくらいのサイズだったイーマが最終的にはゴジラみたくデカい化け物になるのにはワクワクした。
地球の空気は金星の命には劇薬らしい。マジでデカくなるスピードが異常。
後半でイーマが巨象と対決するアクションシーンは必見。象は可愛い。
ちょくちょく何かの映画で見るコロセウムを舞台に戦う展開も良い。あのコロセウムというのに何か言い知れぬロマンを感じるんだよな。好きな建造物です。
最後はコロセウム上部からイーマが転落して死んでしまう。人類とは親和性の低い怪物が暴れて最後は高い所から落ちて絶命するこの流れは、先輩SF映画「キングコング」ぽいな。多分オマージュなのだろう。
最後のシーンで人類の未来の発展のためには犠牲がつきものだ的なことを言っているのも印象的。本来なら罪のない金星に住む生物イーマが地球で死んだことがその現れなのだろう。なんとも物悲しい落ちが印象的だった。
『水爆と深海の怪物』(1955年)
水爆実験のため海の環境がおかしくなり、その結果クソデカいタコの怪物が出て来て人類を襲うというドパニック映画。
ウチの父のうんちくで知っていたが、タコの怪物は予算の都合で足を8本用意できず6本しかないんだよね。大人の都合が見えますなぁ。
でもタコってストレス衝動からの自傷好意や飢えを凌ぐためにも自分の足を自分で食っちゃうことがあるって聞いたこともあるような。だとしたらあのタコの足が8本以下なのにも納得ですなぁ。
タコの怪物の研究シーンが結構詳しく描かれている。その中で日本の学者からも意見を聞いたという内容も話されていた。おぉ、何気に日本もこの名作に関わっていたのか。なんか嬉しい。
研究の中で注目点なのは、放射能の効果で異常発達した巨大タコが出てきたのではなく、化け物タコはどうやら最初から深海にいたということ。マジかよ。怖いよ。
放射能の害によってそれまで普通に食えていた餌が食えなくなる生態系の異常が起き、その結果タコが人間を餌に認定して襲ってくるようになったということになっている。パンがなければケーキを、魚が食えなきゃ人間を、そんなわけで我々人間が危ないぞ。
触らぬ神に祟りなどありえないわけで、人間さんは食われるべくして食われるようになったって感じだった。タコが普通に生きていく環境を軍事実験で奪ったからこうなったんだぞってことだな。怖いっす。
タコと仲良く。そんな生きる上での概念が学べるものでした。
タコが大きな橋を割る、海から触手だけが伸びて街をウネウネと動き回って破壊活動をするなどのドパニックアクションには今更ながら興奮した。タコのウネウネ動きは良い。
東宝特撮映画でもタコの化け物はご機嫌に特撮シーンに貢献してくれたから、やっぱり世界的に見てもタコの持つモンスタースキルは凄いのだな。
水爆の弊害で海からヤバい怪物が出てくる、ラストは人間が海に潜って生身で直接怪物を攻撃するなどの要素は、これの一年前に公開された初代「ゴジラ」みたい。ちょっとはゴジラの要素を借りたオマージュ作品なのかな。
『世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す』(1956年)
タイトルがなんて大仰なんだ。しかし未だに空飛ぶ円盤ってのはよく分かっていない謎なので、何も間違いないタイトル。
タイトルのままの内容で、空から謎の円盤が襲撃してきて人類を脅かしまくってくれる。それをなんとかするというSFアクションなお話。
人知の遥か外にある力をもってして人類を黙らせるという円盤サイドが用いる怖い外交内容を見れば、これより数年前に公開された「地球の静止する日」という映画を思い出す。
円盤から降りてくる宇宙人がコテコテのソレで弱そうだけど、謎に不気味。ああいうオールドな見た目の円盤乗りも良いものだ。
地球人と違い円盤に乗っている宇宙人は聴力が弱く、それを増大する装置を持っている。他にもすごい翻訳機を持っているなど、SFならではの設定がなんか面白い。
円盤は1機のみではなく、複数機で攻めてくるから終盤の二者間対決シーンは見ていて面白かった。
円盤からデカいモンスターが出てくるわけでもないので、先に上げた2作と比べるとかなり地味。だが知性ある脅威と交渉しつつも最終的には殺り合うというスリルがある点からこれはこれで面白いと思えた。
今見ればちゃっちい特撮だが、これはこれで味があって心に染みるぜ。
まとめ
とりあえず3本それぞれに味わいがあって好きだな。いや~面白かった~。やっぱりいくつになっても特撮とかSFは最高だな。このワクドキを忘れた時が人として心の死に時だな。
親戚のガキの子守りミッション中にあったので、周りがうるさい環境で見ることになった。ホント、ガキって1日中うるさいんだから。まぁそんな元気な所も可愛んだけどね。
そういった時には、字幕が出る洋画が良いかな。そういう変わった気づきもあった。最悪音が聞こえないでも字幕が出れば事態が理解出来るし。
この時代の洋画ってどのジャンルを見てもなんか心に染みて良いんだよな。BSプレミアムでもここらと近い時代の古い作品をよくやっているよな。最近忙しくて映画を見れていないので、またああいう古臭い映画を楽しむのも良いかも。
とにかくハリーハウゼン特撮は最高最強!まだ他にもたくさん見たいぜ。それもまた今度だな。
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