こしのり漫遊記

どうも漫遊の民こしのりです。

緑が森は楽しい所「山ねずみロッキーチャック」

山ねずみロッキーチャック」は、1973年1月から12月まで放送された全52話のテレビアニメ。

 

 すごく古い作品なので、もちろん現役での視聴は出来ていない。しかし、チビだった頃に、親からビデオを見せてもらったか再放送だかで確実に見た記憶がある。なぜっていうと本作のOP曲を未だに覚えていて空で歌えるから。このOPがかなり楽しい。「まぁ~だだよ」のかくれんぼを楽しんでいる歌詞は子供心に刺さるものがある。

 

 最近NHKで再放送していた名作アニメ「SHIROBAKO」では、本作をパロったと思しき「アンデス・チャッキー」という作中作が登場している。老いてもなお天才の職人杉江さんが若き日に作画を手掛けた作品として紹介されたアレである。

 元ネタを知っているし、SHIROBAKOを見たら更に懐かしくなり、今一度本編を見たいと思った。

 そんな訳で、古い映像をすっかり綺麗にして新しくリリースしたBDでロッキーの物語を一気見した。

 

 子供向けに作ったものだが、大きくなってから見ても今一度胸に刺さるものがある名作だった。これは普通に面白い。一話完結で簡単なお話を見せていくものだが、ゆえに疲れず飽きず、連続して視聴することが出来た。一年をフルに使っての52話も放送された作品だが、10日くらいで見れた。一年を10日で見る時間のショートカットをしたことに、よく分からない満足感を得た。

 

 OPでデカデカと表記されている「カルピスまんが劇場」という枠で放送された作品である。何だその枠は?と思って調べてみると、これが後の世界名作劇場の枠になるのだとか。世界名作劇場という放送枠が既に大昔のものなのに、それよりもっと先輩枠となる。歴史があるなぁ。

 

山ねずみロッキーチャック [Blu-ray]【想い出のアニメライブラリー 第99集】

 本作は、アメリカに生息するといわれる山ネズミのロッキーを主役にして、緑が森の動物たちの暮らしを描くものになっている。

 ロッキーが親や兄弟から独立して緑が森で一人暮らしを始め、そこでガールフレンドのポリーと仲を深め、森に住む連中との間で起きる騒ぎなんかも目にし、とにかく暇のない暮らしが語られる。

 

 動物達が洋服を着ていたり、アクセサリーをつけたりしている点から、弱擬人化要素がある作品だと言える。ちょっとのおしゃれ感が可愛らしいものだった。

 登場する動物たちのデザインがとにかく可愛い。元気な作画で動き回る動物達に癒やしを貰える。

 最近は「ウマ娘」や「SHOW BY ROCK!!」を見てケモミミ娘に癒やしをもらっていたが、こちらはガチの獣なのでガッツリと自然の癒やしをもらえた。森の緑も良く見えることから、目と心に優しい作品だっとも言える。

 

 見た目はこうして可愛らしいものだが、森には草食、肉食の動物が共存しているため、皆がコミュニケーションを取る仲ではあるものの、なにかあれば食う食われるの関係性にもなるというシリアスな点も見られる。

 キツネのレッドは、他の草食動物と普通に会話しているけど、隙あらば主要キャラの捕食を狙う敵キャラに位置されている。そういえば、同じく動物アニメの「ニルスのふしぎな旅」でも、主人公たちを狙ってくる悪者がキツネだったな。

 

 色んな動物がいて、それぞれの生態系もやんわりと見えてくる点から、お勉強要素もあったと思う。

 ある動物が餌を取りすぎるために、他の動物の取り分がなくなって揉めるという込み入った事情も描かれている。この事情に、仲良く分けっ子して揉めずにやり抜きな、という人間の子供にも通ずる教育要素を絡めたような展開が見られる。

 

 子供向けな優しい作りばかりかと思えばちょっとそうでもないキツイ展開も見られる。それというのが、喧嘩をしてからのいじめ、いやがらせ的な要素が結構見られること。

 仲間内で悪さをする者がいたり、誰かの欠点を見つけると、よってたかってそいつを攻撃する展開も見られた。誰かをからかって皆で悪口を歌にして届けるなど、子供ならやっちゃいそうだけど、結構ひどい嫌がらせシーンも見られた。

 

 精神的に拙いキャラクターが多い。うさぎのピーター、かけすのサミー、リスのチャタラーあたりがそう。可愛いし好きなのだが、内面を見れば幼稚で確かにうざい。

 知りたがりゆえ、図々しく個人のプライバシーを考えずに何にでも頭を突っ込んでくるピーター、どうせどちらも大したことないのにどちらが賢いかと言い合って揉めるサミーとチャタラー、彼らのこういった幼稚な点を見ると、そういえば小学校の頃ならこんなやつがクラスにいたという親近感や共感も湧く。まぁウザいんだけども。そんな感じであの頃の優しく穏やかな気持ちに戻れる良さもある。

  騒ぎの中心になるやかましいキャラがいて、それを結構常識人なロッキーは冷静に見ているという構図になっている。その点で脇の連中の方がキャラが立っていたかもしれない。

 種族の異なる仲間達がたくさん集まっての生活となれば、揉め事だってたくさんあって不思議無い。それをなんだか解決して最後には皆仲良くやって行くという展開が良く見られた。動物のキャラだが、内面は実に人間臭いのが魅力になっていた。

 

 声優好きとして、視聴後すぐに思うのが、主要キャラを演じる声優達のお声がとにかく懐かしいということ。

 これだけ古い作品なので、出演者の多くが既に故人となっている。何だか寂しく切なくもなるが、お亡くなりになった人達が頑張って今日まで残した作品を見て感動する私がいることを思うと、ちょっと泣けてくる。

 ピーターは永井一郎が、ナレーションは麻生美代子が演じている。サザエさんの波平、船の夫婦の声がまた聴けて懐かしかった。

 色気あるお姉さんの演技に定評がある増山江威子が、ロッキーの可愛いガールフレンドのポリーを演じているのは意外。ポリーの声がすごく可愛い。

 

 今一度童心に帰れる良さがある作品であり、こんな混迷の時代に心の癒やしになる要素もあった。これは現代のちびっ子達にも伝えたい良きキッズ向け作品だ。

 この作品の次回作が『アルプスの少女ハイジ』であり、後半回の次回予告にハイジの番宣も流れている。次回作の紹介もそのままにBDに収録しているのを見ると、そちらも見たくなる。ハイジのBDもそのうち漁ることにするか。後半ではハイジの良さも伝える良き作品だった。

 

 

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